<オーディオ日記> 〜音のみちしるべ〜 (伊豆の国発 2005年3月編)
T 高域補正プロセッサーなるBBE882を外す。理由はLVパネルで充分チューニングが進んだと思われる為、遠回りとなる余計な信号経路を短縮化した方が更に純度が高くなると見た為であり結果は予想した通りとなった。
確認ソフトはサリーナ・ジョーンズとクルセイダーズのCD。まるで違う訴え掛けをしている。(以前聴いた)同じアルバムとはとても思えない。ホンの少し構成が変わっただけなのに、まるで違うシステムで聴いているようだ。
このサウンドに浸っていると改めてルームチューニングの必要性を痛感すると共に信号経路のシンプル化に加え、同経路上での補正等は妄りにやってはいけないことを改めて教えてくれます。
U 今夜は松居慶子のピアノを聴いています。先日我が家のHP記事を見ていらっしゃったW氏からお借りしているものです。小生も今、オーダーしています。ソフトに関しては訪問客のお気に入りのものを聴かせて頂けることもあり、見知らぬ分野やアーチストを知る絶好の機会となり、小生のレパートリーの拡充にも繋がり感謝しています。
V 葉加瀬太郎、カサンドラ・ウイルソン、サラ・マクラクラン、トニ・ブラクストンを聴く。
BBEを接続していたことで、ノイズ等が増えることにより音の硬質化が加速されていたのではないかと言うことをふと考えてしまった。
トーンコントロール・イコライザー等よりはましだが、ブーストすることにより高域を補正していた訳で音質に少なからず、影響を齎していたことは事実だろう。事実外してからは、以前よりは優しく・穏やかに訴え掛けてくる。この事実が第三者により確認されれば、HPの「やや硬め」の表記が変更になるかも知れない。
ま、それはどうでも良いことだが・・・。
BBEのことは補正機能に比し、音質劣化のことは微々たることのように書かれていたが、環境が浄化されて来ると、少しの劣化要因も大きな差として暴露してしまう。怖い世界だ。
W 今日はサーロジック社村田氏を始め、Iさん(S誌に登場)・Wさんが一緒に顔合わせ。
13:00 〜 16:15 まで我が家でのヒヤリング。内容はCDPとUPLの違いと電源ケーブルの違い、CDとSACDの違いをチェック。我が家での結論は、CDP、電源ケーブル何れも我が家で使用中のものの方が良かった。又、CDとSACDについてはCDの方が良い結果になった。多少期待していたのにチョット拍子抜け。(UPLのグレードのこともあり断定は出来ないと思うが)
17:15〜19:45 までIさん宅で試聴兼データ確認。

小型SPの雰囲気を超越したクリヤー且つ音像も適度でこれはこれで充分楽しめる。只問題は、ご本人がサーロジック社製のSWを聴いてしまったことである。ご本人宅でのデモと我が家での試聴である。幾ら良いと言っても小型SPでは50Hz以下の低音・超低音は出ない。それによる雰囲気の差が耳にこびり付いてしまっている。お部屋は立派だし、今後どうされるのか、他人ごとながら気にはなります。
22:15〜23:05までYさん宅。

ハイエンド構成のラインナップ(勿論部屋はチューニング済み)。一言で言うと大人の音。破綻なし。SN比抜群。サウンドプレッシャーは物凄い。
我が家と比較するのはおこがましいが、敢えて言うと部屋のキャパが少し小さいので音の密度の凄さが部屋中に充満して抜けるところが無く圧倒され、ほっとするのではなく息を潜めて聴いてしまっている感じ。(他人の家と言うこともあるのでしょう、聴いていて余裕が無かった)
我が家は部屋のキャパに余裕があるのでこの位のシステムがあったらどんな感じだろうか、と言う楽しみがあるし、Yさん宅では逆にキャパが倍位あればどういう変化を遂げるのだろうか、と言う楽しみがある。この場合の確率、我が家はゼロに近く、Yさん宅は大いにあるのでHPでも言っている最高の状態で聴いてみたいものである。
一つ確信出来たのは以前から思っていたことであるが、システムのグレードは個々の機器を基本的に同じレベルにしないと本領を発揮しない。従って例えばSPだけ奮発してもSPの本領は発揮出来ない、と言うこと。(システム構成の中の低いところの実力は出切ってしまうだろうが上位部分の実力は当然完全に反映されたことにはならない、過渡的には有り得る話だが)
世のハイエンドマニアに教えて上げたい。前述のYさん宅のようにシステムの拡大解釈として、部屋(環境)のチューニングが適切に行われないで只単に高級機を組み合わせただけでは真価は発揮されません。持つだけの喜びに終わってしまいオーディオを楽しむと言う道からは外れ宝の持ち腐れになるのです。でも楽しいですね。おなじCDがこんなにも違う表現をするなんて。
我が家のお気に入りCDを持って行ってゆっくり聴いてみたい家が近くにあることが分かって嬉しいです。許されるなら是非再訪したい。
T 今日は特に効果がある使い方をしていないSPバッフル板(予備材:ミズメザクラ材とカリン集成材)の使い方を検討してみた。(貧乏性なので、「先ず手持ちの材料で実験」が基本姿勢)
1.メインSPの外側LVパネルの上に反響板として設置。(カリン集成材)
2.リアのLVパネルの上に同じく反響板(やや下向きに傾斜)として設置。(ミズメザクラ材)
3.特殊強化木の小片をフロントセンター床のLVパネルの前に床強化の意味で設置。
1.〜3.は全部設置してから試聴したので個々の変化度合いは分からないが(確認しようと思えば出来るが、些細なことなのでしない)、昨日までに比べ高域の艶やかさ・低域の鮮やかさが増し、全体としてクリヤー且つ響きが良く表現されるようになった。
セリーヌ・ディオンの新しいソフトは声が優しくとても好ましい。
松居慶子のソフト(ライブ盤)は出色の出来。(最近聴いた中でのベスト1)
U トニ・ブラクストンを聴く。
以前とは低音の響きが違う。勿論声にも艶がより良く出るようになった。
上旬WにYさん宅で聴いたものと同じソフトだが、環境によって全然鳴り方が違うことはその時点で分かったが、中旬Tに反響板等一部変更したことによりホンの少々ではあるが、近づいた部分もある。
低音域全体としての響きは我が家の方が好きだ。(自己満足)
全体としてはグレードの差が如何ともし難い差となって現れているが、資金力の差と理解して我が家は我が家の出来る範囲で音楽を楽しむことにしよう。
このソフトの状態でSWの前面の反響板を傾斜させた置き方から「べた置き」へ替えた。この方がスッキリする。床鳴りも減った。超低音は本来無指向性なのだから我が家のように傾斜天井の場合、床はそのままの「べた置き」で良いと言うことの様だ。その方がこの特殊強化木の比重の高さも利いて柔な床の補強にも繋がって、鳴きが抑えられている様だ。このままで暫く聴いて見よう。
V 強化木の向きを縦置きから横置きに変更。
この方が、SWのパワーの反射を幅広く捉えてより良い雰囲気に繋がるようだ。
W 昨日サーロジック社村田氏からヒントを頂いたので早速、SWの入力を1メモリ下げ、出力のメモリを逆に1メモリ上げ聴いてみた。雰囲気はこちらの方が良い。
X 昨日のレベル変更の範囲は全く問題ないとのこと。(出力レベルを上げ過ぎると歪が出易くなるが、超低音域では耳で判断出来ないレベルと)本日はSPZの金属板をSWの内側から前面に変更。もう1枚を中央のLVパネルの前に設置。この方が押出し感が強く更に気持ち良い。
T センター最下段のパネルを(元)木製パソコンラックの上にセット。高さが上り、中段のパネルの高さと大部分が重なる形になった。音は厚みと力感が増し傾向としては好ましい方向への変化となった。その他の艶っぽさとかには特に変化は無い。当分このまま聴いてみよう。
SWは無指向性なのだから、SW間にLVパネルを同じ高さでセットする必要性はない、と思われる。それ以上にメインSPの音場創成に役立たせる方が得策と言うもの。
U 下旬T以降同じ状態で聴いている。HPに掲載最後のリポートCに比べ、相当変化していると自分では思っている。これはYさん宅の試聴の効果でもある。
今までは他人のシステムを聴かずして、チューニングに勤しんでいたことで結果は良くはなったが、耳と言う最大の武器を比較・参考にする、と言う意味で最大限活用し切っていない中でのチューニングであった。(当地へ来て以来始めての他人宅訪問で、それ以前を通算すると約10年位殆ど出歩かず仙人暮らしの状態(特に当地へ来てからは、庭の造作に時間を掛けオーディオに関しては殆ど進展なし)であった)
こういう音楽の鳴らし方と言うものがあると言う意味で、他人のシステムを聴かせて頂くことは矢張り参考になると言う良い事例である。(当然村田氏によるチューニング済みのお部屋での話し)
自分の好きな音の傾向と言うものを他人が持ち合わせていることも当然ある訳で、その日(上旬W)以来その傾向に近付きたくて始めた挑戦であった。
システム価格の差は如何ともし難いが質的レベルで欲しい部分の雰囲気(低音のある一部分の表現で超低音域とは違う)が近付けばとの少々無謀な挑戦である。これは大変ではあるが、楽しい作業でもある。
V 約半月に亘る確認作業の結果、我が家のSWのポジションが決定した。(ソフトによりドン、とかドワドワという様な要するに好ましくない音が出たのを回避出来たということ、つまり入力オーバーだった)
本来CD製作の段階で不要な超低域の入力過大部分をモニターで確認出来ず取り切れずそのまま残ってしまったのを高性能のサーロジック社製SWは再生してしまい前述のような不快な、時には心臓に悪い位の大きな音で再生されることがあったもので、勿論メインSPだけでは何の反応もない。(因みに我が家のSWは15Hzから再生、同社の上位機種は10Hzから再生)
試行錯誤の結果、我が家は入力11時、出力15時少しに決定(以前は入力・出力とも13時少し)。これはSWの上流に当たる機器類の出力レベルとの関係もあり全てのユーザーでポジションは違ってくる。安心して聴くことの出来るポジションを発見出来たことは素晴らしいソフト(症状が出ているものでも全編がそう言うことではない、そのアルバムの一部、我が家での確認結果は全てが1曲のみであった)を勘違いにより失うことだけは回避出来た訳で大変良かった。
症状の出たソフトは相当数あり、国内・輸入盤双方にあった。はっきり何曲目と分かっているものは2枚のみ記録しておいたので記しておきます。
FOUPLAY/JOURNEYの1曲目(BMG輸入盤)
CELINE・DION/A NEW DAY (LIVE IN LAS VEGAS)の14曲目(SONY輸入盤)
他のソフトはポジション決定後の試聴で全曲通して聴いても出なかったので敢えて元の設定に戻し、不快感を味わうこともなかろうと記録しておりません。悪しからず。
1. LVチューニング以前
30数年の内約8割方は自作・改造にオーディオの楽しみ方の原点?みたいなものを見出し自己満足に浸り、他人のシステム(当時は部屋の環境のことなど考えもしなかった、只単に狭いよりは広い方が良いか、位の認識で個々の機器のレベルがイコールグレードの高いオーディオとの誤った認識に基づく錯覚の時代でもあった)を聴いては悔しがったり、又はほくそえんだりしていたものだった。
2. LVチューニング実施後
音楽を聴く上での環境整備ということを痛感させられ、今までにない本筋を突いたアプローチの仕方があることを教えられました。
当然この作業により、環境が改善されたことは事実ですが、今まで考えたことのないもっと大事で大変なことを知らされることにもなったのです。
それは既存空間の改善は最低限必要ですが、それを実施したことで改善度合いがあまりにも凄いことを知り、言い換えると既存空間では矢張り限界があることを知ることにも繋がり、出来ることなら最低限、特性・構造・強度等のことを加味した部屋作りから始め(勿論これだけでは完成したことにはならない)LVパネルを完全に補助のツールとして使用することを意図した空間が必要と言うことを結果的に知らされてしまったことです。(既リポートで記述済み)
3.他の空間での音場体験
2.の実施後チューニング済みの他人の空間での音場体験をすることで様々な味わい方があることを知り自らの音場のコントロールにも影響が出て来ました。
本来自らが追い求めていた雰囲気が他人の空間で実現されていることも充分有り得ることで、情報源としてこれ は大きな収穫です。(自らの環境に安住していた為に気が付かなかった部分で特に不満がなかった為に余計に思 いが至らないことにも繋がった)
全てを同じにすると言うことは空間とシステムの違いにより不可能と思いますが、又それは言い換えると必要のないことでもあるので、その中のホンの一部、尤も欲しい部分の取り込みを工夫することで希望する音場空間の完成に更に近づける訳です。
これはチューニングが前提となっており、今までの機器の買い替えによる挑戦ではなし得ないことであります。
4.サーロジック社村田氏の存在
現在、日本で一番多くの空間(環境)の違いを体感し、それをまともな方向へ導いて来られた氏の実力を利用させて頂いてより良い環境を醸成しようではありませんか。
利用されることで(場合によっては有償のこともあり得るでしょうが)販売店(含むオーディオルーム建築設計事務所)・評論家・ライター等の指導に比べ結果的にも比較の対象にならない位、モノ凄い改善効果が得られる訳です。
<販売店> せいぜい自らの店内の空間の処理までで他人のことを手がけノウハウを得ているとはとても思えません。そして自らの空間に対しても最高水準で実力を出し切ってユーザーに対し最高の姿を提示しているとも思えません。殆どの場合商品の陳列・接続・切り替えサービスをしている程度に過ぎない。
スタッフも我々個人のユーザーよりも多くの機器を扱える環境におられ(当然のこと)、少しばかり情報が多い程度でしょう。
<オーディオルーム建築設計事務所>
基本的にデッドな処理を優先的に採用した所謂本末転倒的な環境作りに邁進しておられ、とても音楽を楽しく聴く環境作りを志向しているとは思えない。
表面的に美しく仕上げることが良い環境作りになることではありません。本当に分かっているのでしょうか。(好みの問題ではありません。本質的な大問題です)
<評論家・ライター>
自らのオーディオルームか所属の雑誌社のオーディオルームでの試聴と言うことで空間(環境)の在り方そのものの修正等方向転換が図られるほどの能力を持ち合わせておられるとは思えません。
そんな中での機器の試聴記事(評価)は的を射たものと言えるのでしょうか。(今までの記事内容から推察して)
以上経験の豊富さと元々持っておられる能力・資質の高さとの相乗効果も相俟って恐らく村田氏を超えられる方はおられないと思います。
ハイエンド派も自作派もピュアオーディオ派も挙ってご利用になられることで見違える程の素晴らしい音場が得られることでしょう。
小生の記述により更にご本人の多忙が極まりご迷惑になると申し訳ないことですが、世の為、人の為と思い記事にしてしまいました。勘弁して下さい。
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