お住まいは静岡県の熱海の近くです、東京近郊なので複数回伺って、その度に気になるところを少しだけ(パネルの高さを変える、音の障害物を移動するなど)修正して、後はオーナーにお任せでチューニングしたオーディオルームです。かれこれ1年半くらいになるでしょうか (2004年秋) ・・・

 音楽志向のオーディオルームとして完成の域に達したと思っています。ハイエンド機器を寄せ集めた抜けるような青空の音とは言えませんが、とにかく音楽が楽しい!

 やや硬めで超低音のエネルギーが強いサウンドですが、一日中聴き続けても疲れを感じない上質な音楽に仕上がっています。

 「話だけでは、納得の行かない方も多いでしょう。提灯記事じゃないの?。
よーく分かります。今まで散々裏切られて来ましたものね。お互い。ご興味のある方は、機会がありましたら、拙宅へお越し、味わってみて下さい」 (レポート1文中より抜粋)

 とのことですから、ご都合を伺ったうえでご紹介いたします。  

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ルームチューニング〜そして得られた至福・安らぎの時(V)〜 2005年1月24日
   
T.本来の姿
 ルームチューニングとは再生音楽を本来あるべき・持っている姿を取戻す為の手段なのです。現状は殆どの場合、大いに問題がある「間違いだらけのオーディオルーム」なのです。機器に関しても例外は勿論あるでしょうが、現在の良心的なメーカーのスペックは殆どの場合必要以上にオーバースペック(データが信頼出来るものであれば、の話し)で音楽鑑賞に必要な条件は略クリヤーしていると言っても問題ないでしょう。

 しかし、現実問題としてそのシステムでの再生はどうか、と言うと例外なく皆さん悪戦苦闘している訳ですね。現在進行中の、LVパネルによるチューニングでやっとこのことに気が付きました。システム構成に何の変更も無しにどんどん表現能力が良い方向に変化する現実を目の当たりにして凄いことであることに疑いの余地は無いのですが、これは実はシステムの持っている本来の実力をどんどん引出して来ているのに過ぎない(これ自体が凄いことなのですが)、と言うことなのです。

 システムを構成している機器たちは訴えていますよ。
私達はあなたの知らないもっともっと良い音楽を奏でているのにどうしてそれを発揮させる環境作りをしてくれないの!(悪の元凶は部屋なのに)と。今は部屋(環境)にコストを掛ける時代です(豪華にすると言うことではありません)。素晴らしい機器をお持ちで納得の行かないあなた。

 より良い音楽が聴きたかったら、先ずは部屋の改善(チューニング)をしましょう。あなたの愛器は間違いなく嬉々として歌い上げてくれることでしょう(システムには問題が無いから)。要するに普通又は病んでいる肉体(部屋)がトレーニング・治療(チューニング)によって鍛え上げられた肉体・健康体(良い環境)になって行くのと同じことなのです。

 部屋(環境)の多くは、普通乃至はそれ以下の状態から少々気の利いた対策がされている状態が殆どで音楽を楽しむ環境としての配慮は充分なされていないと言う訳です。このままでは及第点は得られません。そんな中、今までの常識で部屋作りをされた方で雑誌にも取り上げられた方も大勢おられると思われますが、皆さん殆どの場合、特に音響対策は施していないとのコメント。

 それは言い換えると今までやって来たことで何か足りない部分があるのだが、それがはっきり、部屋のことだとは分からない(言えない)ジレンマ。掛かった資金を考えると、よく出来た、と自らに言い聞かせなければ引くに引けない思いで一杯だからです(所謂デッドな部屋、ドーム型天井、船底型天井、台形型天井、普通の直方体の部屋etc)。

 LVパネルによるチューニングはそのような現状から脱却する為にも体で言えば最低限先ず健康体にし、更に鍛え上げられた肉体へ変貌させよう、と言う試みなのです。当然症状により、手当ての仕方は違って来ますが、基本的なパターンは略同じです。健全な精神(楽しい音楽)は健全な肉体(チューニングして正常化された部屋(環境)に宿る(でこそ本来の力を発揮させられる)、訳なのです。

 要するにやっと当たり前の状態に戻って来ただけのことなのです。それほど、部屋の影響力は大きいのです。ただ単に吸音素材を充填すれば良い、とか言う短絡的な発想による部屋作りは考えただけでもぞっとします。これは全然対策になっていません。




U.部屋の構造
 直方体をベースに考えた場合、最低限天井は片流れの傾斜天井(リスナー側高く)とする。これ+可能な方は前後(リヤ側)左右のどちらか一方の天井側を広くさせた部屋を作る(元の部屋に内張り状態で対応可)。構造はとにかく硬く、叩いてこつこつ、と言った短い響きの仕様にする、等が良い。

 部屋の基本はライブ仕様に限ります。(ライブな部屋は後での修正(微調整)は容易だが、デッドな部屋は作り変えた方が良い位,面倒である・・・音楽を活き活きとさせることが極めて困難)

V.反射間接音
前述の構造によりランダム反射するようになり、悪い見本の部屋のケースで言う、反射間接音はパターン化されて堂々巡り(フラッターエコー)するか、一点に集中してピークが出来る等全く問題外の悪い部屋の状態を最低限回避出来る。

W.リスニング状態
 天井は出来るだけ高くし、SP間を広く取る為、左右幅を大きくする。奥行きが有る程度あれば横長仕様でも良い。SPは出来るだけ壁から離し、リスニングポイントも奥行きの2/3程度の位置にし、後ろ壁から離す(信号の回りこみにより混濁感が生じるのを回避)。機器のセットはSP間、乃至は中央から外し、左右どちらかの壁際にセットする。

 我が家の場合、前述T〜Wの状態には程遠いが特に問題となるのは左右の平行面程度だったので左右の対策を施すことで、早目に正常化(に近い程度で万全ではない)することが出来たのではないかと思います。(構造体の強度は普通ですが、LVパネルのお陰で事なきを得ているようです)

X.今後の方向
 今までのことから、システム構成に最初から多額の資金を投入するのははっきり言って勿体いないことが分かります。そこでもう部屋(オーディオルーム)がある方の場合に最適のサービスがサーロジック社の無償ルームチューニングキャンペーンなのです。これから部屋を、と言う方はこれを前提にご相談されてから取り掛かられるのが最善のしかも最短時間で良い環境が手に入る方法かと思います。

 所謂、専門書?専門業者?(吸音をベースに設計する)とは歌のタイトルでは無いが最早「TIME TO SAY GOODBYE」です。肝心要の部屋がプアであれば幾ら良いシステムをセッティングしても当然実力を発揮させることは出来ません。

 さあー、答えは出て来ました。本当に音楽が好きなあなたなら見逃しはしない筈。グレードアップのプライオリティを変え、今までの拘り・先入観をリセットしてお試しになられることをお薦め致します。先ず部屋作り(ある方はチューニングの徹底)、システムは現状のまま、ここから第一歩が始まります。チューニングの後お気に入りの機器へ買い替え等レベルアップとやらを実施すると、それなりに機器の個性が絡み合って、上手く行かないケースもあるかもしれませんが、それは大した問題ではありません。もう基準が判明しているから、逸脱していれば、修正するだけのことです。



閑話休題

T.オーディオ=恋愛?
 オーディオって、とっかえひっかえ、又は複数台を気分で楽しむ、と言う人間世界で言う恋愛状態と一緒ですよね。アクセサリー類(ケーブル等)の変更なぞは正しく、恋人にプレゼントをして気を引く様に似ていて面白い。しかも人間世界と同じで、いつまでもこれを続けていれば、いつかは疲弊し、別れる。(オーディオってやってもやってもこんなものかなー、って諦めに近い感じを抱いてやめてしまう)。
結婚生活とも同じでベースがしっかりしていないと、何れ破綻(離婚)してしまう訳です。

U.アイデアと工夫
 漸く今まで味わったことの無い土台のしっかりしたオーディオ世界いや、音楽を味わえる環境が手に入る時代になりました。
今こそ幅広い視野でオーディオを見つめ直す時かも知れません。何てことの無い小生のシステムでもこんな物凄い音(従来比)が出せるようになったのは勿論LVパネルによるチューニングの賜物です。

 ある一定のレベルに達した後のチューニングも勿論サーロジック社のご協力なくしては有り得ないのですが、それはパネルのセット台数が基本パターンの3セットあれば、使用前使用後の激変振りが体験出来ることの説明はもう不要かと思います。(サイトに詳しい)

 しかし、その後の発展度合いは矢張り部屋独自の構造(秘められたポテンシャルの開花に結び付く)とセット可能な場所の確保の自由度が多ければ多い程、更に大化けする可能性が大であることが判明したのです。ある程度の時間を掛けてじっくりアイデアを駆使して取り組めば更に良い結果に結びつく、と言うことです。

 我が家の場合、前回ご報告致しました様に、それ以前の設置方法からの変更により更なる激変振りを体験致しましたが、その後更に貸出しを受けて、チューニングをした結果、更に1ランクアップ致しました。チューニングによりレベルアップすると言うことはシステム内の音楽情報処理能力は至ってまともなのです。効果が現れないようなケースであれば、部屋そのものの構造が素晴らしく良いケース以外(殆ど無い)は、逆に最悪の部屋で少々のLVパネル投入では埒が明かない程酷いか、あるいはシステムの担保している周波数特性等各種スペックに問題がある為と考えられる。

V.音楽を楽しむ
 今までチューニングによる音場再生はサウンドイリュージョンの世界であると思っていましたが、ここまで楽しく、爽やかに音楽をリスナーに訴え掛けてくれるようになるとこれはもう魔法でもマジックでも無く、現実の話としてソース(我が家の場合,CDのみ)の持つ可能性・能力の物凄さを再認識させられる吃驚仰天の事実なのです。

 今までCDの中には余り聴くのが楽しくない、言い換えるとどこかにピークがあるような伝わり方をして五月蝿く感じたり、平板な素っ気無い表現をしていて好印象を持てなかったものがおいおぃ、どこにこんな超低域〜超高域+背景情報etcが入っていたの?と認識を変えさせられるソースがどんどん増えてくる有様です。すべからく超低音・低音はうねりを伴う迫り方でぐいぐいと押し寄せる荒波の如く波しぶきを立ててテトラポットに砕け散る感じの有様。

 こんなの聴いたことが無い、と思わせるに十分な迫力・説得力のサウンド・ウエーブが普通に聴き流していたソースで体験出来るようになったのでした。

 小生のシステムでこうなのですから、世のマニアの素晴らしいシステムではどんな風に変貌を遂げるのか、その意味では素晴らしくチューニングされた部屋であのSP、あのアンプ等と言った垂涎の組み合わせシステムではどんな表現がされるのだろうか、等々他人事ながら本当にわくわくどきどきさせられます。

 本当に質的レベルが高いものであれば当然反映度も飛躍的なものになり、その真価を発揮することでしょう。先ずは現用の愛器に思う存分活躍出来る場(環境)を与えて誰に聴いて貰っても吃驚させられるようなものとなった場合に改めて、次のステップ(音質不満による買い替えではなくタイプの違うシステムを楽しむ)に進めば良いのではないか、と思います。ただ単に高級システムを組み合わせただけのことでは、到底出し得ない再生音の形が完成する訳です。

W.今後の楽しみ(願望)
 ルームチューニングとは個々(機器)の能力、集団(システム)の能力を発揮させる必要不可欠な環境作りのツールです。と言うことでチューニングが完成したかどうかは小生の能力では判定出来ませんので、近い内にサーロジック社のお力を借りてデータ的にも問題点はないか確認されれば、次のステップとして、近いか、遠いかは別にして将来(資金の都合が付けば)、それこそ素晴らしい機器の持つ力の影響力(タイプの違うシステム)も試してみたい願望はありますので今現在を楽しみながら想像も付かない「高みの領域」をも夢見ている訳です。

 豊穣な響き、とりわけ超低音、低音のそれは再生音楽を活き活きさせ弾んだ響きを演出し何より思わず、にっこりしたくなるような気分にさせられます。音が綺麗と言うようなただ単に、去勢されただけの美しさとは、全く別物です。

X.結論
 素材(機器)が普通でもアイデアとセンス(チューニング)で美味しい料理(素晴らしい環境)が作られることを思えば、良い部屋(環境)があれば、それだけ手間も省けてより以上のチューニング効果が最大限発揮されたオーディオルームが完成するのは当然で正に料理と一緒です。三位一体バランス良く手当てすることが一番大切なのです。

 ですから、素の状態に高級機器で固めたシステムよりも低コストの機器でもしっかりルームチューニングした状態の方がより良い音楽環境が得られる訳です。皆様にも是非この感慨を味わって貰いたいものです。





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