お住まいは静岡県の熱海の近くです、東京近郊なので複数回伺って、その度に気になるところを少しだけ(パネルの高さを変える、音の障害物を移動するなど)修正して、後はオーナーにお任せでチューニングしたオーディオルームです。かれこれ1年半くらいになるでしょうか (2004年秋) ・・・

 音楽志向のオーディオルームとして完成の域に達したと思っています。ハイエンド機器を寄せ集めた抜けるような青空の音とは言えませんが、とにかく音楽が楽しい!

 やや硬めで超低音のエネルギーが強いサウンドですが、一日中聴き続けても疲れを感じない上質な音楽に仕上がっています。

 「話だけでは、納得の行かない方も多いでしょう。提灯記事じゃないの?。
よーく分かります。今まで散々裏切られて来ましたものね。お互い。ご興味のある方は、機会がありましたら、拙宅へお越し、味わってみて下さい」 (レポート1文中より抜粋)

 とのことですから、ご都合を伺ったうえでご紹介いたします。  

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ルームチューニング〜そして得られた至福・安らぎの時(U)〜 2004年11月20日
   

 その後のチューニングによる変化度合いの報告です。
納得の言ったレベルからの更なる高みへの挑戦はある意味怖いもの見たさのような気分でどこまで行けるのか、興味津々の日々です。

スタートは吸音素材の撤去から始まった。
 即ちカーペットの取外しをやってみたところ充分出ていると思われた低域の力強さが更に全く、と言って良い程のエネルギーの増大に結びついたのです。当然と言えば当然でしょうが、薄いものなのでビックリ。不思議なもんですね。

 チューニングがきちっとなされると下手な吸音素材は必要悪になると言う良い見本のようです。


T.LVパネルの効能
 その上で新たにオーダーした我が家向けの特別サイズのLVパネル(高さを少し抑えたもの)を棚の上に置き、今まで置いていたパネルを下に持ってきて二段構えにして上段の物を奥へ下段のものを手前にセッティングして音出しをしてみたところ今までやや出過ぎの感があった音圧が適度に緩和、奥行き感が増し更に立体的になり、低音域の音階はごった煮状態(比較すれば、の話し)だったものがそれぞれの音階として表現されるように改善された。

 低音域の音階が明快に良く表現されるようになればなる程、音楽表現全体にこれ程好影響を与えるのか(どんどん気持ちが良くなる)と言うことが良く分かる結果となりました。

U.部屋(キャパ)の貢献度
 音量が増えても超低域〜超高域迄の繊細・微小な音がマスクされずにスッキリと味わえ、してやったりの感じ。
結果論ですが、我が家のように木造建築でフローリング仕立ての場合、床下の柱の本数を多くして床鳴り(太鼓鳴き)が長く続かないようにする(出来れば、縁切りが出来るような根太の構造を工夫する)等の対策によりクリアーな音場は実現出来ると思います。

 我が家は一応オーディオ用の部屋として作りましたが、コストの関係と当時は建築屋の理解も思うように得られず、結果的には前述のこと位しか出来ず,壁等も極めて普通の板壁です。しかしLVパネルのお陰で特に変な共鳴や定在波等の影響は出ず、ぶりぶりと言った低音が出ているにも拘わらず、床振動は勿論、壁振動も感じられずに極めて心地よく音楽に浸れている状態です。

 ここまで来ると極限はどんなものか。勿論容易には到達出来ないと思いますが,LVパネルの効能を100%引出すべく、チャレンジしてみたいと思い考えを廻らした(現在9セット使用)結果、更に激変した状態を創り出してくれた我が家最新のLVパネルのセッティングをご紹介致します。(未知の部分はまだまだある)

● 全てのセッティング位置は部屋のF・R間の前面1/3程度に集中。その中でのセッティング場所は

イ. メインSP周囲(従来通り)
ロ. センター(前述の通り二段構え)
ハ. メインSPの前方に台車(昔のダイヤトーンの2S−305等の専用台)の上に斜め置き(リスナー側を下げる)
ニ. SWの中央ややリスナー側に床置き真ん中持ち上げ(リスナー側とL・R外側を下げる)
ホ. L・RのSWの前(L・Rとも外側を下げる)に床直置き

 イ〜ホは何れも効果絶大。柔道の判定用語で言えば「一本」。
これに比し従来設置していた中間・後方L・Rの壁側とリスナー後方の設置は「効果〜技あり」程度の感。

● それではイ〜ホについて少し詳しく説明します。

イ. 既に確立した感のある基本設置パターン。これを端折っての設置ではチューニング効果は画竜点睛を欠く形となり、外せない一番の要である。
ロ. 当初高め(60cm)のパネルのみの設置。我が家独自の構造に注目、前述の通り別注仕様で低めのものをオーダー二段構えに前後をずらして設置。奥行き感(厚み)が増した。
ハ. 音の滑り台効果とでも言いましょうか、より滑らかに音が流れて来る感じで本来、マスクされ勝ちで聴こえない背景音の雰囲気が良く出て来る。音楽表現が単調でなく複雑ながら実に味わい深いものになる。
ニ. 超低域の音階・ハーモニーと言った普通出ていないし、聴こえないレベルの解像度が増したのか、爽やかに感じる。低域はドスンドスンとかドゥーンとかズシィーンと言ったような誇張感のある鳴り方だけではないと言うことが良く分かる。(言葉での表現は難しいが)
ホ. 同上

V.ソフトの再評価
 今まで購入したソフトの再評価をしなければならない位の鳴りっぷりに変化し、只今順次聴き直しているところです。良くこのソフトがこんな音を出す、何て言いますが小生もそれは以前から認識していることでシステムが変わればそういう現象が現れるのは不思議でも何でもありませんが、システムの変更なくして同様以上のことが確認出来るのは本当に音の伝達のマジックとでも言いましょうか。上手くコントロールされれば(単純な反射によるある部分の強調等が排除され、複雑な反射をすることで上手くブレンドされる)される程音楽表現も一変、何度も聴き直したくなるソフトに変貌する可能性がある。

W.表現力の違い
 好き嫌いもあり、又双方の評価の差は関係ありませんので例えとして適切ではないかも知れませんが、水彩画と油彩画の違い。 又、小生は写真も趣味であった(只今は休止中)ので分かるのですが、ニコン製のカメラで撮影したものとライカ(M6)で撮影したものでは矢張り前述の絵画の世界と同様、立体感がまるで違います。(この場合は厚みのある立体感の事だけを言っており、油彩画のごてごてとどぎついことの部分は考慮しておりません)

 音楽は見えないし、香ってくるものではありません。しかし耳を通じて心の奥底の琴線に触れ、あたかも芳醇な香りが漂ってくるような味わい方も出来るのです。高い表現力があってこそ想像力を膨らませる立体的な訴え方をし、深い次元での鑑賞になり得るのです。

X.結論
 普通以上の部屋(構造・キャパetc)と超個性的ではないシステムであれば、これに追加するものは優れたSWとLVパネルによるチューニングで深い感動を得られることと思います。(勿論、強度等良く検討された部屋はLVパネルの使用量が少なくても高いレベルに到達することは可能)
 今一、思うように表現してくれないと悩んでいる方は勿論、そうでない方も同好の志レベルの付き合いも大切でしょうが、その内の本の一部の時間を割いてサーロジック社の無償ルームチューニングキャンペーンをお受けになられることで、「楽しい音楽の世界」のドアが開かれるのです。

Y.その他
 今まで余り見受けられなかった衝立様のものがオーディオルームに入り込むのは何か聖域を汚されるような違和感をお持ちの方が多いのでしょうか。美的?センスかどうか分かりませんが、受け付けられない方がおられるのは事実のようですが、元々オーディオ機器そのものがズバリ、無骨そのものであり、良い音楽環境を手に入れる為であれば充分容認出来る範囲内のことのように思われますが如何でしょうか。

 ま、小生はそんなこと全然気にならない、と言うよりむしろ良い音楽環境入手の為であれば極めて小さな問題と思っているのですが。・・・

閑話休題
 良い音楽環境を手に入れる為の条件とは次の3点に要約されるのではないでしょうか。

@ リセット出来ると言うこと
 自分の考えのリセット。システム構成のリセット。今までの経験のリセット。等々色々なリセットが考えられますが、ある意味、これが出来なければ難しいのかもしれませんね。小生の希望は飽くまでも、この趣味をお持ちの方が早く、安価に良い音楽環境を現実のものにされて楽しい時間を過ごして頂きたい、との一点のみです。他の方法で同じかそれ以上のことが得られれば、全くそのことをとやかく言う積もりもありませんし、そんな資格も持っておりません。

 小生はオーディオマニアの一人であって、特別経済的に恵まれた訳でもなく裕福でもありません。好きだからこそ続けられたこの趣味。お金の使途を限定して集中させた結果、現状のシステムが構築出来た訳で、納得の行く結果に結びついたものと思っております。(システム自体は特に問題ではないと思います)

A バランス
 言い古された言葉ですが、音楽鑑賞(だけでなく、この世は全て一定のバランスの上に成り立っていると言っても過言ではありませんね)に必要なことは各種のバランスが良好であればある程良い結果になり得ると言えます。それは

イ. 直接・間接音のバランス
反射・攪拌による直接・間接音の絶妙なブレンドのバランス   

ロ. 帯域のバランス

帯域(低・中・高域)のバランスに加え,最も必要なものは超低域の再生です。漂う雲海の上に聳え立つ富士山のようなピラミッド型のバランス(当然、低・中・高が富士山そのもので、超低域が雲海です。我が家からも時々見られる風景をデフォルメして、イメージしてみました)   

ハ. 部屋のキャパと音量のバランス

床面積ではなく、容積が充分(個人差はあるでしょうが)な場合では、始めから結構良い音がするのではと思われている方が多いものと思いますが、そんなことはありません。拙宅でも13年前にある程度色々なことを加味して作ったこの器(部屋)でしたが、当時と比較すること自体、ナンセンスと思われる位の大きな差があります。音量としても現在出しているレベルと比較してメモリで2つ半ぐらいは違います。音量が上げられると言うことは機器の能力に問題が無ければ、チューニングの成果に他なりません。悪かった時点の原因は何だったのでしょう。反射のバランスの悪さに尽きます。上げると五月蝿く感じて頭が痛くなるほどでした。今は気持良くて眠ってしまうほどです。きちんとチューニングすれば、音量は上げられ、五月蝿さは逆に反比例して感じられなくなります。

ニ. 聴く側のリスナーとしての心根のバランス

リスナーの心根としては眉間にしわを寄せて粗捜しをしているような聴き方はとても疲れるもので全然楽しくありません。そんなことはそれこそ専門の方に任せて、我々は楽しく聴こうじゃありませんか。「音が苦」ではなく、「音楽」として。

BLVパネルによるチューニングとSWの導入
 前述の@とAを参考にして良い音楽環境を手に入れて下さい。その手段はズバリ、チューニングとSWの導入に尽きます。現在、小生はSWを2台使用していますが、小生使用のプリはプリアウトが一組2CHしかないので、当初L・Rをモノーラル接続していたのですが、これでも1台使用より、余裕度において圧倒的な違いを見せ付けたが、SWの端子類を見てヒントを得て、村田氏に問題ないことの確認を得て接続方法を変更しました。

 即ちモノーラル接続までは一緒なのですが、その後SWのL・Rをお互いにL同士・R同士と言うように串刺し(タンデム仕様)接続したもの。1台にL・R接続したのと同様のこととなり、更に量感・余裕度も増し、「超低域の揺らぎ」をより堪能出来ることとなった。この状態で今は聴き続けているのですが、ある時、2台のSWの入力を絞ってみたところ、今まで感じたことの無い位の表情の変化に驚きました。

 それは今までが健康体のはちきれんばかりの肉体の持ち主が、一挙に痩せた半病人になってしまった感じなのです(気の抜けたビール以下とでも言いましょうか)。超低域(SW)の影響力がこれほどとは、導入して以来今まで当然の如く聴いていたので正直、その実力を改めて認識した次第です。SW使用による他の帯域へ与える影響はまるで音楽が変わって仕舞う位の凄さと言うことです。

 そして色々と遍歴をしながら、電源ケーブルの類は極めて当たり前の標準的なものに落ち着いてしまいました。それは普通の元々同梱されている類のもの。一部CDPとプリについては20年以上も前に作った自作のものを使用(SPも同様)。ラインについても特別高価なものは使用していません。

 高価で最先端の類のケーブルの共通点としてはどうもハイ上がりのシャリシャリ感が強いようです。元々だらしの無い音の場合はこれでしゃっきりするのは理解出来ますが、標準的なシステムであれば、これは不要であり、却って音を硬質化することになる「だめケーブル」と言えます。

 最後に電源工事のことですが、専門業者に依頼され実施されている方もおられると思いますが、かく言う小生も電力会社と直に交渉し、近所の親しい電気屋さんにお願いして、同様の工事を実施致しました。コストは約1/3(電源工事をメインにしている業者に比し)で済みました。

 結論としては確かに元(上流)のレベルに余裕が出来、安定感を始め結果オーライです。ただ、飽くまでも基本部分の改善(基本編)に過ぎず、これで全てが上手く纏まると言うことではありません。誤解のなきように。従って実施する意味はありますが、ベーシックなものに掛けるコストとして程ほどにしたいものです。余剰資金でチューニング等を実施(応用編)し、もっともっと音楽を楽しむ環境を得るべきです。

 要は余りシステム関係にコストを掛けないで良い音楽環境を得られる方法があることを知って頂きたいのです。チューニングも纏まり、システムの違いにより更なる変化(激変とは違う、持ち味の変化のようなもの)を必要とした時に改めてお気に入りの機器を購入するのもこの趣味の夢の一つです。(勿論、従前と同様お気に召されるかどうかは、機器の持つ能力によって出たとこ勝負の感じになると思いますが、基準が目の前にある訳ですから、心配は要りません。いつでも元に戻せます)

 今までやって来て感じたことは、キャパ:システム(含む電源):チューニングの比率は4:2:4(本当のところチューニングは5位と思っているのですが、キャパ前提で成り立つものだから4とした)システムのウエートが低いのは皆さんよくご存知のようにどんな高級なシステムを組んだところでそのままの状態では満足な結果が得られず、チューニング効果の比ではないと言うことです。

 前回のコメントでも述べましたが、自己満足で終わりにしたいのであれば、何も言うことはありませんが、歴史が教えてくれる「戦争」のようにコストを掛けただけではただ空しさばかりが残り、充足感が得られません。悪循環を断ち切るためにも早く、良い音楽環境を手に入れて、至福・安らぎの時を迎えて下さい。

以上

追伸
 それでは簡単に小生の部屋の姿(プロポーション)を示したいと思います。
床面積は約18畳弱、キャパは110m3程度の床・壁・天井全て板張りのライブ仕様です。ただし、隣室とはカーテン間仕切り(スキップフロア)のオープンスペースなので約30畳程度はあると思います。

 結果的にLVパネルによるチューニングが出来るとしても、部屋はデッド仕様より、ライブ仕様に限ります。これからオーディオルームをお造りになられる方はこの点も勘案の上、サーロジック社にご相談されると宜しいと思います。所謂専門業者といえどもこの辺りのノウハウは特に持っている訳でなく、デッドにすれば部屋が鳴かないので良いとか言っている程度で見当違いも甚だしい限り。(音楽の楽しさがなくなってしまう)




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