ルームチューニング〜そして得られた至福・安らぎの時(完)〜 2005年2月13日 |
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先般我が家のオーディオルームのデータ計測が実施された。気持ちの良い環境の実態は果たしてどうなのか興味津々であるが、詳細はサーロジック社村田様の分析を待つことにして小生でも分かる範囲のことを今までのルームチューニングから得た結論を踏まえ、述べたいと思います。
データによって実に様々なことが暴かれ、最終的な詰めの作業としての良い指標となりました。そして今までお教え頂いた諸々のこと(同社サイトにも詳しく書かれている)が具体的に少しは理解出来たかな、と言う感じです |
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それは
■ 1.機器類は、左右どちらかの壁際にセットするのが望ましい。(SP間乃至は部屋の中央等は音場の最適化に対し障害がある)
■ 2.リスニングポイントは前後の奥行きサイズの1/2,1/4のポイントを外す。(定在波の節では低音が聞えない)
■ 3.SPは後方の壁から離す。(後方の壁が平面であるとステージの奥行きが出ない。スピーカーを壁際に置くのであれば拡散パネルが必要、パネル無しならフリースタンディングへ)
■ 4.リスニングポイントも壁から離す。(定在波の腹は低音過多で逆位相のような圧迫感を伴う)
■ 5.部屋の中央にテーブル等置かない。(床から時間の異なる二つの反射音が届くと、低音楽器が地面に着地しない)
■ 6.カーテン類を始め、ソファー等吸音材は撤去。(吸音は最終段階で微調整要因とする位で、先ず吸音ありきではない、と言うことを肝に銘じておきたい。あくまでも最低限必要なものに止める)。以上のようなことです。守られていたのは
< 2.>位で他の要因には悉く抵触していたのですが、現状のままで計測して頂きました。

T.データが示す内容
F特に関しては何と16〜20KHzまで略フラットとのこと(それがどうしたと言われれば、何も言うことはありませんが)。聴感上で納得の行く気持ちの良い状態が一部ではあるがデータで証明出来たかな、と言う感じです。(他のデータは手元にないのと小生のレベルでは解説不能ですので、改めて本サイトに掲載して頂く予定です)
U.リスニングポイント等の変更
現状のリスニングポイントは後方の棚(座った状態で頭より上はオープンスペースのスキップフロアになっている)から1mも離れておらず、信号が棚等の反射から回り込み混濁していたことが判明。早速前方に移動,2/3のところにした(データ上もスッキリしている)。
又、我が家では部屋の中央に大きなテーブル(アフリカブビンガ材製)があり、サブウーファの超低域の回り込みを排除する為に右後方へ移動等まだまだ改善すべきことが多い事実が判明。
この後の聴感上の感じではスッキリ感が増し、従来のリスニングポイントから1mSP寄りにしても音量を下げずにそのままOKと言うのは、チョット不思議な感じ。リスニングポイントが前方へ移動したのに伴い、後方に余裕が出来たので棚の上にLVパネルを内側凸にセットしたところ、反射拡散により高域成分が上から降って来るようにより改善された。又センターの一番下に設置してあるLVパネルには連結用の穴が空いていたのでそこに角棒を差し込んだところ、よりボーカルが前面に演奏陣が後方に定位するようになり、奥行立体感が増した。
V.反省とより高いレベルの構築
< 4.> < 5.> は修正したものの < 1.> < 3.>
< 6.> については我が家の構造上のこともあり現状改善出来ず、課題となって残ります(
< 3.> は可能)。 しかし、前回ご報告した構造上の問題等とも絡めて考えてみると、今後再度オーディオルームが作れるようなことがあれば、より理想的なレベルの高いものが出来ることが判明した訳で小生としては資金の面で99%無理と思うが諦めないで一縷の望みに託し楽しみにしたい。
W.音場決めの方法
前述のようにF特の良さが判明したが、聴感で追い込んだ納得の行く音場がデータでも一部であるが申し分無い結果となったことは「聴感上の気持ち良さをデータにより裏付けることが出来た」という意味で重みがある。逆にデータ優先だと、旨みの成分である反射・残響音等が反映されていない場合でもF特が良いことも充分あり得るのでミスリードする危険性が大いにある(データはあくまでも裏付けの説明資料であって主役でない、データを操作して良くしても本来の意味で改善されたとは言えない)。
即ちF特フラット自体は部屋の環境(含むチューニングの実行)が整っていなくても音場調整機能等のシステムにより見かけ上のデータを良く出来る場合(所謂つまらない音になる)があるので必ずしも良い環境を意味せず喜んでばかりいられない、と言うことです。
X.見当違い
前々回ご報告の中で基本はライブ仕様と言って我が家は充分にその範疇に入ると思っていたがとんでもない、逆にデッドであった。詳細は別途掲載予定であるが、その中でも低音域の残響時間が短いことは低音の切れに繋がっており、強烈な低音とさりげなく且つ爽やかに力を抜いてフッと息を吹きかけるような低音と言う全く両極端の魅力(上質な低音?)を併せ持った表現が出来る要因になっているようにも思える。
板張りの部屋は響きが良くライブであると今までずっと思い込んでいたが、全くの見当違いであった(正体はフラッターエコー)。その為設計時点で響き過剰をコントロールする意味でわざわざ天井は穴開きボードに指定し余計にデッド化させると言う体たらく(思い込みと無知は恐ろしい)。たまたま傾斜天井で高さが普通よりある為、大きな弊害は出ていないようだが出来ることなら重ね張りして穴を塞ぎ、二重にすることにより板振動を抑え強度アップを図った方が音質的には良い。
結果として大き目のキャパに助けられて事なきを得ているが、良かれと思って実施したことが全く正反対のことだと指摘された時は、穴があったら入りたい気持であった。改善点は嫌になる位多い。こんな状態でも、聴感上もデータ上も納得の行く良い結果になったのは前述のように、大きめのキャパと傾斜天井・後方がオープンスペース(一つの空間と見た場合、前後の平行面は無い・・・隣接の空間の壁面はオーディオルームに対し全て斜めになっている)と言う開放感に加えルームチューニングが先ず先ず的確であった結果ではないかと思われます。
Y.(ささやかな)夢見る理想形態
まだまだ試してみたいことは一杯あるが、中々出来ない事情(資金の都合が付かない)もあり、サイトの他の方の様子を参考にさせて頂き、より高いレベルの到達点を目指したい、と思っています。纏めとしては前回ご報告の部屋の構造に加え、前述の<
< 1.> 〜 < 6.> の項目を加味した環境を作った上で、ルームチューニングを徹底する。
小生の考えている(ささやかな)理想形態として、キャパは床面積約30畳程度(W・Dは5.4x9.0m)、容積約250m3(W・D・Hは5.4x9.0x5.5m(傾斜天井(5x6m)の為単純平均5.5mとして計算)の空間で、外壁は鉄筋コンクリート作りとし、内側を板張りとするもの。(2面の壁を若干傾斜させるので計算結果より容積を減らした)
天井高(現状と以前(マンション時代の2.4m以下程度))の差は歴然としており縦方向への広がり感が全然違い、音量の増加がそのまま圧迫感に繋がらず爽やかに吹き抜け、且つ高域成分については降ってくる状態が良く感じられることです。それ以上に今回考えている5〜6mの傾斜天井は優に2階分ある訳で、更なる広がり・抜けの良さを味わえるものと思います。
外壁と内壁の間は空気層を充分取り、柱と桟木を多用し板壁の厚さも24mmは確保し、固くしっかり作る。(板振動を減らす)
これにより、超低音域・低音域の逃げ場が出来ることになり、過剰なブーミーさから開放される。鉄筋コンクリートむき出しのままだと、逃げ場がなくなりライブ過多となる。又、機材の搬出・重量等加味、床の強度とラーメン構造(部屋全体が太鼓のように鳴る)を避ける為にも1階にオーディオルームを作る方が(作業的にもコスト的にも)合理的。
床厚も24mmは確保し床自体の強度を十二分にとる(床下の柱も多くし、根太も太く且つ縁切りが出来るように工夫して不要な響きを地中に逃がし床鳴り・床振動を極力抑える)。又、正面SP側の壁には窓を作らず(明かりにより視覚を奪われるのと作る意味が無い)、左右は原則対照形(シンメトリー)とする。L字型等大きく左右の形状が異なるような変形ルームは避ける。(バランスが崩れる)本件のように一方を若干傾斜させるのとは意味が違う。
以上はあくまでも我が家の構造上の長所・短所を踏まえた上今までのルームチューニングを経て得られた私見であって評価機関でオーソライズドされたものではありません。(為念)
一方、こんな大きな空間・構造は誰にでも容易く得られる仕様ではなく、その意味では一般的とは言えませんが、世の多くのオーディオマニアの機器に投資する金額を推測するに充分可能な方も結構いらっしゃる、と言うことです。本当に音楽を楽しみたいのなら、トータルコストを一定とした場合、矢張りプライオリティは変えるべきです。極端なケースであるがこう言う空間では最低限のセットでも音楽は十分楽しめますが、逆パターンのプアな空間に幾ら高級なシステムをセットしても、投資コストの期待感から不満ばかりが募り結論はいつまでも見出せない、と言うことです。(ブランドの揃い踏みだけでは良い環境は絶対に得られません)
それに空間と言うものは今までのサーロジック社のチューニングキャンペーンのサイト等を見てもお分かり頂けるように改善されたと言っても、ベストな状況にはまだまだ道遠し、と言ったことが良く分かります。我が家を含め、問題が多過ぎるからです。つまり、全ての根幹となっている「部屋の状態」によってチューニングの難易度も全然違うと言うことです。
小生も含め、オーナーが喜んでいるのは現状に比し、短時間で飛躍的な改善が見られるこの事実に大変満足(他の多くのレベルアップの仕方では如何せん、全体像を見渡している訳ではなくしかも枝葉末節的なことと効果があるのかどうかも分からないものが多過ぎ、イメージのみが先行して一人歩きをしているのに過ぎない)
しているのは事実ですが、実はまだまだ上の状態がある訳です。
現状を更に高みにレベルアップさせる為には矢張り、環境のオーナー自身(マニア自身)が微に入り細に入り、改善する努力を惜しまないことです。本物を得る為のショートカットは無い。しかしながら前述のような構想から容易にもっと上の姿が予測出来ることも事実で、まだまだ理想の姿には程遠いと思われるが可能性で言えば現状尤も良い環境と言えるチューニング済みの部屋を容易に上回ることも出来る訳です。ですから、チューニングで仮に60〜70点の結果にまで追い込んだとすれば、私見のような「良い部屋であろう」状態からスタートすれば、その上の80〜90点も夢ではない、と思います。(人間の考えですから、100点は有り得ないが)
Z.出会いの大切さと本質の見極め
これは夢の世界としても、可能性はある訳で早くそういうオーディオルームを拝見したいものだと思います。音楽をこよなく愛し楽しみたい方でこの意見にご賛同頂け、環境の改善に情熱があり資金の工面出来る方(含む豊富な方)は是非トライして見て下さい。(実施の際はまだ抜けていることも多いと思われますのでサーロジック社にご相談して見て下さい、より的確なアドバイスが頂けることでしょう)
今までは余りにも、指標が少なく個別の問題の対処に資金と時間を取られ過ぎ、中々マニアの方でも自信を持って部屋を作り上げられた方はおられなかったと思います。そして完成した今も・・・。
小生自身、約2年半前に出会ったサーロジック社製品、その後直接お話しする機会を得た村田様との出会いがなければ、世間に対しこのようなこともお話出来ず、多分今頃は悶々と頭を悩ませているか、諦めて熱も冷めているかのどちらかでしょう。
そしてこのような意見が言えるようになった自分自身にもっと吃驚している訳です。
東京でのマンション時代(アナログ全盛時代)、カートリッジ・ターンテーブル・アンプ・SP等夫々の専門の方達とも親しくお付き合い出来、それなりにオーディオライフをエンジョイして来ましたがそれも今は懐かしい思い出で、そう言う経験があったからこそ今があることも事実です。出会いは大切ですが、出会いから得られた諸々の中でのプライオリティを見抜く力が更に大切であることを改めて痛感させられました。
尤も、つい最近まで(即ちサーロジック社村田様を除いて)全体像を考えた環境作りなど提案している方は小生の知る限り只の一人もおられませんでした。(以前(サウンド)トータルコーディネーターと言いましたが、この場を借りて訂正致します。サウンドトータルクリエイター、と)
Z.感謝の気持
最終段階まではまだまだ相当道のりは遠いが、姿が見えて来た(自らの実現は前述の通り難しいが)と言うことと、現状が常識的には相当満足出来る納得の行く状態(聴感とデータの一致具合)になったと言うことが矢張り最高に嬉しいことです。参考にして頂ける方が、一人でもいらっしゃると幸いです。
最後に的確なアドバイスにより短期間のうちに納得の行く環境に改善出来たこと等、村田様には本当に感謝しております。
この一人の方との出会いは何にも増して大きな力となりました。小生は金も力も無く住まいも田舎の山の中(所在地は静岡県口伊豆)であり、得られたノウハウ等フィードバックするにも限界がありますが、熱烈な支持者・応援団の一人として今後もこの趣味を通し、微力ではありますがサーロジック支持者の拡大を図れれば、と思い興味がありご希望の方には「チューニング済みの環境」下での音楽をお楽しみ頂きたいと思います。
このような方法しかご恩に対するお返しの仕様がございません(計4回に亘る報告も文章(+データ)だけでは音楽そのものは味わえないですから)。村田様におかれては製品の開発・HPの管理・全国無償ルームチューニングキャンペーン行脚等、傍から見ていても大変なハードワークですので、何卒お体には充分お気を付けられ、チューニング材を始めサブウーファ・デジタル機器の開発をお願いしたいと思います(益々充実したツールを提供することで多くのユーザー並びに検討をしている方には選択の多様性も含め、喜ばれることでしょう)。
本当にありがとうございます。今後とも色々とお教え頂きたく宜しくお願い致します。
追伸
そうそう大切なことを忘れていました。今から、約8ヶ月位前から急速に状態が改善したのには大きな要因がありました。それはSPの買い替えです。小生も実はコテコテの自作・改造派だったのです、以前は・・。 最後までSP(自作・・・ユニットはチューン済み、箱はメーカーにオーダーのミズメ桜材の特別仕様)に関しては音の良さ(あばたも笑窪状態)を気に入って長期間使い続けて来ましたが、フルレンジと言うこともあり帯域の壁に突き当りLVパネル・SWの導入を以ってしても一皮剥けないことがSPそのものへの限界を感じるところとなり、村田様のアドバイスも考慮のうえ、逸品館の清原さんに相談して小生でも購入可能な中級クラスのPMCのOB−1に決めた結果、加速度的に世界が変わった訳です。再生帯域の問題等、自作では解決出来ない部分も多くあることを痛感させられた次第です。
勿論小生より数段能力の高い自作マニアが多いのは事実でしょうから断言はしませんが、それでも基準(リファレンス)として一定の評価を得ている製品には一個人の能力を凌駕している可能性が高いのは事実でしょう。比較材料として導入の上、自作に励まれるのもご自身の技術の一層のレベルアップに繋がるのではないでしょうか。今まで散々失敗を繰返し、散財をしてやっとここまで辿りつけた小生の偽らざる気持です。ご参考になれば幸いです。(人それぞれ考え方は違っても、時間とお金の大切さはお分かり頂けると思います)
本稿は今回をもって終了とします。今後前述したような、新しい環境・システムの導入等エポックメーキングなことがあれば、又気持を新たに投稿したいと思います。4回に亘った長文を最後までお読み下さった方には大変感謝致します。
有難うございました。
以上

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