無償ルームチューニング 08

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サウンドステージは初期反射音が醸し出すもの
 日々変化しながら少しずつ改善され、いつとはなしに組みあがったLVパネルによるサウンドステージ。この形を見るだけで音のステージが聞こえてくるようである。推奨セッティングとは随分違うように見えるかもしれないが、ポイントは押さえられている。

 SPの後ろから左右側面に-spパネル(高さ不足はリスナー後上部の拡散スカラホールが補っている)、センターに3段タンデムの-ctパネル、床にGallery-basso、サウンドステージに深みを加える左右壁面のLV600-ctパネル。




伝送特性
 15Hz〜20kHzまでほとんどフラットで定在波の影響も軽微です、やはり傾斜天井は有利ですね。常々感じることですが、聴覚がOKを出した部屋はそこそこ良い特性に仕上がっているものです。





 非音楽的なサウンドを奏でる部屋はGEQなどを使って伝送特性をフラットに整えても音楽性は改善されない。一方、聴覚によるルームチューンで音楽性を改善すると、伝送特性もそこそこ改善されてしまう。

 何故GEQでは駄目なのか?・・、 GEQによる伝送特性の改善では、時間(位相)や距離の概念が欠けているからです。

 音楽ソースには、楽器の実音に加え、反射音や残響音などの間接音が含まれています。それらを実音から引き離して背後の壁面や天井・床などに引き寄せる壁構造が必要で、それが実現されると、楽器の実音と残響音の時間差が明確になって、リアリティーたっぷりの佇まいが姿を現すのです。


残響特性
 この部屋の室容積は120立方メートル、最適残響時間は0.6秒程度です。リスナー背後に間仕切りなしの中二階があるので実質室容積は更に大きく、残響時間は更に長くしても構わないはず。

 ところが残響時間の実測値は0.3秒程度で、かなり短い。しかし体感的には残響時間が短すぎるとは感じない。何故?・・・  

加銅氏・最適残響時間01
●参考文献 : リスニングルームの設計と製作例 P81 / 加銅鉄平 著 / 誠文堂新光社

 無償ルームチューンによる残響データが多数集まった数年後に確証を得たことだが、時間差が明確な初期反射音が適切に配置されると、残響タイムとは別の包容力が音場を包み、オーディオルームの音楽性が向上する。

 もし読者がアンサンブルの響きよりむしろ解像度を優先したい、という志向であれば、残響タイムを気にせずに、一次反射音の適正配置にだけ注目してオーディオルームを作り上げても失敗することはありません。

 さて残響時間の実測データによると、

■残響時間の周波数特性に音が良い理由が表れている。
@ : 低音の上昇ポイントの基点が80Hzである(100Hz以下ならOK、125Hz以上はNG)。
A : 125〜160Hzのブーミング帯域の残響時間が短い(中音域比で125〜250Hzが下がり気味ならOK)。

■要改善項目も表れています。
@ : 残響時間の平均値が短い(試聴室の最適残響時間は超えたい)。
A : 高音域の残響時間が短い(8kHzまで上昇傾向を保ちたい)
B : 250Hzに壁振動と思われる輻射音がある、壁材や天井材の選択に誤りがあることを示している。

 音楽の躍動感に溢れるオーディオルームに仕上がっていますが、更に改善の余地が残されていることを示す有意義なデータが得られました。

@Aはカーテンやカーペットの撤去が有効で、試聴室の最適残響時間はクリアされるでしょう。

Bは壁材や天井材の交換または張り増しが必要なので大掛かりな工事になります。SVパネルを増やすほうが現実的な改善手段です。


周波数(Hz) 16 20 25 31.5 40 50 63 80 100 125 160
残響時間(sec) 1.2 1.2 0.7 1.1 0.9 0.66 0.41 0.29 0.29 0.22 0.19
周波数(Hz) 200 250 315 400 500 630 800 1k 1.25k 1.6k 2k
残響時間(sec) 0.25 0.28 0.24 0.24 0.26 0.26 0.28 0.3 0.31 0.32 0.32
周波数(Hz) 2.5k 3.15k 4k 5k 6.3k 8k 10k 12.5k 16k 20k -
残響時間(sec) 0.32 0.33 0.3 0.3 0.29 0.27 0.24 0.22 0.2 0.17 -



16Hz : 1.2sec


20Hz : 1.2sec



25Hz : 0.7sec



31.5Hz : 1.1sec


40Hz : 0.9sec


50Hz : 0.66sec


63Hz : 0.6sec


80Hz : 0.41sec


100Hz : 0.29sec


125Hz : 0.22sec


160Hz : 0.19sec


200Hz : 0.25sec



250Hz : 0.28sec


315Hz : 0.24sec


400Hz : 0.24sec


500Hz : 0.26sec


630Hz : 0.26sec


800Hz : 0.28sec


1000Hz : 0.3sec


1250Hz : 0.31sec


1600Hz : 0.32sec


2000Hz : 0.32sec


2500Hz : 0.32sec


3150Hz : 0.33sec


4000Hz : 0.3sec


5000Hz : 0.3sec


6300Hz : 0.29sec


8000Hz : 0.27sec


10000Hz : 0.24sec


12500Hz : 0.22sec


16000Hz : 0.2sec


2000Hz : 0.17sec