無償ルームチューニング 173

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 昨年オーディオルームについてお電話にて相談いたしました。家を新築した際、簡易内装にて引き渡ししていただき、壁、天井を改装しオーディオルームを自作しました。所有しているパネルの使いこなしも含め、プロのアドバイスをお願いいたします。
LV1500sp x3、 LV1200 x1、 LV600 x2、 バッソ、 P1Kit を所有しています。

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現在の状況と部屋の構造を添付pdfにまとめました。

セッティングは変更しており、9/18現在の機材は
B&W Nautirus 803
アキュフェーズ P7000 1台
SONY AVアンプ DA5700ES
他です。

B&W Nautirus 802も所有していますが、
定位が散漫の原因がSPではないかと疑い、ずっと使用していなかった803に昨日交換しました。こちらの方がボーカルの定位は良いと思います。

オーディオチェックCDで 正弦波18~300あたりまで再生し、リスニングポイントを移動するとミッドバス領域まで定在波の影響があることが分かりました。

これについてはどう対処するか・・・・これから考えてみます。

<以下pdf から抜粋>
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現在の不満点
●ミッドバスが気にならない、重低音が聞こえるポイントが部屋の最後方(モニターから6.5m)なため、80インチモニターが小さく感じる。(音楽を優先するため仕方ない)

●手持ちのLVパネルを様々に使用しているが、サイドなど最適な高さ、場所があるはず。とくにctパネルは一度モニターを無視してきちんと効果を確認したい。そのうえでモニターを妨げない高さ600mmでの限界を探りたい。

●影響を最小限にするためにモニターは壁かけにしているのだがモニターの前にLV1200CTを設置しても効果が薄い気がする。今は画面が見れるように600x2にして設置しているが大差ない気がする。

●部屋の出来が気になる。最高の物を目指したわけではないが、欠点が分かれば対策もしやすい。

部屋の構造

●木造軸組の2階。防音処理なし。

4000x7500x2700(内寸3820x7300x2600・メーターモジュール)



床24mm合板+アスファルトシート+フローリング。床補強仕様。

壁4寸柱500mmピッチ+制振構造+OSB11mm+PB12.5mm
(壁はここまでで普通の並行壁)

仕上げ
フロント赤松合板28mm

両サイド赤松合版28mmをダンプ、500mmピッチで重ね合わせ。(片側3.2°の傾斜)

リア針葉樹赤松合板28mm5~6°+制振構造

天井針葉樹12mm+PB12.5mm+針葉樹12mmを梁に固定。

梁は1mピッチ。角度は6~8°+制振構造

ダイケン簡易防音ドア

小屋裏に一部音圧を逃がす構造

専用電源

新築するついでに・・・

自宅を新築するということで専用オーディオルームを計画したのだが、各社の提案は防音室やホームシアターばかり。

村田さんに電話でアドバイスを求め、サーロジックのホームページ、無償ルームチューニングをすべて読んだ。予算も限られていることもあり、オーディオルームは自分で設計して家の引き渡し後に営業の紹介の工務店に作ってもらうということで契約した。

しかし6月頭の引き渡し後、オーディオルームの話がさっぱりない。営業は自社の家さえ売れればよいわけでオーディオルームの話なんてどうでもよかったのではないか。

7月下旬、私も音楽のない生活に我慢できなくなり、仕事も暇で、友人も予定が空いているということで作り始めた。

方針

もともと工務店に作ってもらう予定でしたので、おおよその構造や仕上げは決めていました。

予算は100万円。100点は狙えないが低予算で効果の高い方法を考える。失敗すると取り返しのつかない柱については良く検討する。

壁は床や天井よりも弱くなりがち。柱の強度をなんとか上げる。

総板張り仕上げ、壁と天井の傾斜でのフラッタ―エコー対策、振動のダンプ。



柱の強度

4寸を超える太い柱を使用出来ればよいのですが、なかなか難しいです。ハウスメーカーの標準仕様は1mピッチで4寸の柱ですが、間柱にも4寸柱を抱かせました。単純に強度は約2倍になるのか。

柱の補強は今やらないと後からは不可能。
1m間隔の柱に鉄板を貼りました。柱が2.7m、同じサイズの鉄板を貼った方がよいのですが、近くのホームセンターの在庫が無く、手配に時間がかかりそう。費用も増大することから柱の中央部分に100x1820x3mmの鉄板をボンドとビスを併用して貼りました。在庫の関係で一部100x6mmや50x6mmの部分もあります。殆ど気休めでしかないかもしれません。

村田さんに電話する前は天井は高くする計画でしたが、“やめたほうがよい”と言われました。壁の柱強度を上げるのが難しく、失敗例もあることから高くすることはやめました。ハウスメーカー標準の天井は2.5mで仕上がっていましたが、天井を撤去し梁に直接板を張ることにより構成。天井高は約2.7m。



床の強度

●本当は1Fにオーディオルームが良いのでしょうが、インナーガレージや他の間取り、天井からの音漏れを考え2Fになりました。やめましたが屋根の傾斜を使って傾斜天井にしたいと思っていたのもあります。

●床は強度が取りやすいということで新築時にハウスメーカーに床補強を依頼したのみとなりました。やらないよりもましというレベルかと思います。費用は10万もしなかったと記憶しています。

天井

●天井の中央部分は収納用小屋裏部屋にしてあります。普段は人も出入りしませんのでお互い騒音の問題はありません。

●前と後ろの小屋裏部分にかなりスペースがあり(20+25㎥)もったいないと考えました。居室や物置にする事も検討しましたがオーディオルームから出入りすることになるのでやめました。

●既存の梁を使用して鋸傾斜天井にしています。壁も鋸傾斜ですので、合わせ部分の処理が難しくなってしまいました。



振動のダンプ

当初の予定では振動のダンプは必要ないのでは?と考えており、予定していなかったのですが(業者の見積もりはダンプしない物でした)、

作業開始後、実際に28mmの針葉樹合版を購入、切断して叩いてみたところかなり響いた為ダンプの必要性を強く感じました。

■ダンプは共振周波数の異なる板を接着するのが常套手段。石膏ボードと合板の組み合わせがコスト面で有利です。


まだまた間に合うので振動抑制構造を追加することにしました。
使用したフエルトは100m以上となりました。



施工

7月下旬より天井の撤去、壁の石膏ボードを外し始め完成したのが5週間後でした。

作業しながら部材を手配し、途中検討しなければいけない事、想定してなかったこともありましたが、こんなに時間がかかるとは想定していませんでした。



その他

板を目違いに貼る・・・強度が出るらしいですが、今回は左右の大きな壁は分割してあります。一枚の大きな板として振動するのを少しでも避けるためです。

●左壁、前からドアまで2分割

●左壁、ドアから後ろまで2分割

●右壁前から後ろまで3分割してあります。
効果があったかどうかは・・・・??



小屋裏の活用

●定在波が軽減させることを期待して視聴位置の後方上部に小屋裏につながるように開口しました。80x15cmを2か所ですから効果のほどは??

●天井と小屋裏の間に合板15mm+PB12.5mm、グラスウールで遮音してあります。

●外音が直接入ってこないように開口部分にはグラスウールを40cmほどかぶせてあります。



音だし

●細かい仕上げ(見た目)を行う予定でしたが、音が聴きたくなってしまい機器を搬入してしまいました。

スピーカーをフリースタンディング的に配置しLVパネルを既定の場所に設置しましたが、出てきた音は?!でした。

イマイチ低音が気薄で中低域が目立つ感じでした。

しかしボーカルは以前よりもリアルに再現され、調整次第でまだまだ良い音が出そうな感じ。

ミッドバスの盛り上がりは視聴位置を後退したところ、最低域が現れミッドバスが後退したのだが、まだ盛り上がりが気になる。

そこでスピーカーを少し後退させた(前方の壁に近付けた)ところ若干改善したのでさらに後退させた。これは後退させすぎたようで後日ミッドバスが気になり再調整を行った。

スピーカーと視聴位置が音楽を鳴らしながらではなかなか決まらないためPAA3を購入し調整することにする。

ルームチューンに伺いました



 
もっともっと良くなる可能性は秘めていますが現状の完成度はまだまだです。太鼓振動と定在波をいかに制御するかが勝負どころ。


柱強度 vs 壁強度

4寸(□120mm)の柱で天井高2400mmの場合、壁材は12.5mmの石膏ボード2重張り、または石膏ボード+12mmの合板程度が無難です。

壁強度を更に上げると壁全体が巨大大太鼓になって20Hz~400Hz帯域の壁振動が発生し、振動音により低音楽器にボケが入ります。

そしてもう一つの懸念材料が定在波で、「壁が頑丈=遮音性能が高い=低音が室内に滞留する」。

結果、定在波による壁際の低域音圧の上昇が起こるし、部屋中心部に近づくに従って低域音圧が低下する音ぬけ現象が顕著になり、ルームチューンのハードルが高くなります。

<聴感への影響が大きい基本定在波の周波数 29~77Hz/12~4.5畳> MJ 2014.04 前田欣一郎


定在波の影響を避けるには壁強度を落とすのが一番簡単な方法で、壁強度を欲張らず、そこそこの遮音にして低音を外に漏らすのが一番簡単。

漏らしてしまうと低音による身体への心地よい圧力や、低音の沈み込みが希薄になることがあるが、本件でも実行されているブロックを低く積む方法で低音の沈み込みを増やせば良い。床から腰のあたりに低音が漂えば低音不足にはなりません。

ところで「音を漏らす」「ブロックを積む」の実践には二つの疑問符が付きます。

ダブルウオール

1.遮音の低下でお隣から苦情が・・ -> 二重壁にすれば相当雑に作っても最低30dB(1/30)の遮音性能が得られる。きちっと施工すれば40dB(1/100)以上の達成だって簡単 -> 
吉野石膏

<マトリックス13の施工ライブ>


2.室内のブロックは美観を損なう -> 二重壁にして壁裏にブロックを積む。1Fであれば外に積んでも効果が認められます。

<168>


シングルウオール

都会では二重壁もブロックの外置きも不可能なケースが大多数でしょう、近所迷惑にならない程度に遮音し、残った定在波は定在波パネル(STW1500)で吸音する。低音の力強さを重視するのであればフロント用の定在波パネル(STWF1500)をフロントに設置する。

<定在波パネル>
STW1500(リア) STWF1500(フロント)

ところで、石膏ボードと合板を建築現場で貼り合わせると、合板の曲がりや捩れで接着面に必ず隙間ができます。不完全な密着は壁鳴りの原因になるので、石膏ボードと合板を合わせるのであれば、プレス機のある工場に生産を依頼しましょう。

石膏ボード2枚の貼り合わせなら両面に木工ボンドを塗って良く擦り合わせれば現場施工可能です。

しかし石膏ボードはミッドバスと高音域の音の悪さに定評があります。SV1800sp と WASIN1200(またはSV1200ct)でミッドバスの吸音と高音域の初期反射音を増やすことが前提でなければお薦めできません。


固定間隔1/2で振動強度8倍

本件の壁は4寸の柱が500mmピッチで並んでいます。通常の910mmピッチに比べると柱の振動強度は約2倍。しかし
固定間隔が1/2になった壁材の振動強度は8倍になるので、柱強度より壁強度が勝り気味であれば太鼓振動はむしろ増大します。

デモルームの壁材は12.5+12mm

ちなみに、弊社32畳のデモルームの壁パネルは、12,5mmの石膏ボードと12mmの合板を接着したものが基本材。

制振機構を含むパネルなので、単純な板2枚に比べれば制振性は大幅に優れますが、振動強度は板2枚相当です。

自作されたオーディオルームの実績を見ると、必ずといえるほど壁強度が柱強度に比べて大きすぎるようです。


無償ルームチューニングありがとうございました

パネルのセッティング方法がよくわかりました。
効果が感じられないと思っていたバッソはSPとCTがきちんと機能していないと効果が出ないということもわかりました。ウチではCTが機能していなかったのではないかと思っています。

村田さん撤収後に改めて聞きなおしたところ低音が寂しくなってしまいました。
LV600パネルでの低音がコントロールできるというのもいまだに不思議ですが、実際に効果が体感できたということです。

■和心の設置で余ったセンターパネルの流用なので 1 枚でのテストでしたが、通常600サイズを 2~ 3 枚を用意して、低音を前方から張り出させて足元に潜り込ませ、リスナーの足元を包むように調整します。



当方では定在波パネルの効果があまり出ませんでしたが、低域が薄く感じる原因が定在波だけではなく床が吸っているようだということがわかりました。

■柱強度に比べ壁強度が相当大きく且つ面積が広いので、太鼓振動のエネルギーを十分吸い取るには定在波パネルが多数必要になります。壁強度を再検討したほうが安上がりと思います。

フローリングを根太にビス留めを行うことを検討していますが、ビス頭が見えてしまいますので少々躊躇しています。仕方ないかな~?

センターパネルをどうするかという問題について。
現在は床から60cmのところに画面下部が来るようにTVがセットされています。
この高さはSPのミッドとハイが画面中央に来るように、かつ600ctが邪魔にならないよう考慮して決めました。

しかし600ctではボーカルは600ctの上部付近に定位してしまいますので、画面を消してのステレオ再生ではもっと高さがほしくなります。

CTを1200にしてTV画面を高くする方法もありますが、画面が高くなり過ぎますし、当方ではエアコンがTVの上に設置されていますのであまり高くはできません。

対策
① TVの画面下部を90cmに変更。CTパネルを90cm+30cmにする。音を重視する場合は30cmのパネルはそのまま。これでは画面中央が見えないが、30cmならあまり気にならないのでは?

映画等画面を重視する際は30cmパネルを外す。30cmなら重くないので脱着も楽ではないか。しかし画面下部が90cmはちょっと高すぎるか。

②  TVの高さはそのまま。画面の下は600ctのまま。画面上部に300ctを設置。試してみないとどうなるかわからない。うまく画面中央に定位してくれば良いのだが。

■簡単に移動できる和心が最適でしょう。600をニ段積みにするのであれば、下を600ctのジョイント穴あり。上を600バラのジョイント穴ありにしてください。片手で持ち上げて脱着できます。

あれから2週間経ちましたが、現在はソファーを1mほど前に移動しました。
低音は不足しますのでサブウーハーのレベルを上げ、カットオフも38Hz→44Hzに変更。

38Hzカットオフでの補助的な動作では気にならなかったサブウーハー(SX-DW7+P1Kit)の音の質感に不満があります。わずかに遅れて立ち上がってきますし、もしかしたら壁や床が揺れて低音の雑味が増えているのかもしれません。

対策として、以前より計画していたDIATONE SW-G50を使用したサブウーハーの作成に取り掛かろうとしています。

床とウーハーの対策、それにセンターパネルの試行セッティングが一通り終わった時にまたお手伝いいただくかもしれません。その時はよろしくお願いいたします。