ルームチューニング徹底解明

□□ルームチューニングとは□□
ブーミング帯域(125Hz〜250Hz)の残響時間を、500Hz以上の帯域の平均残響時間より短くする。

その上で100Hz以下の残響時間を急激に上昇させることができれば、音楽の躍動感・揺ったり感も急上昇する。

高音域の残響音は料理の調味料のようなもの、上昇傾向にすると音楽のクオリア(数値化できない微妙な質感)が格段に向上する。

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**** 部屋の響き ****

 CDに収められた楽器の音はホールの響きを含んでいる、だから再生音場の響きは有害である。つまりオーディオルームは無響室が良い、と思っている方はまさかいないと思いますが・・、では部屋の響きを、どのような特性にしたら音楽が楽しく鑑賞できるのか ・・?、と書物を紐解いてみても、最適残響時間の表程度しか見当たりません。ネット上では次のページのデータが参考になります。

 残響の量/残響時間について
http://www.club.sense.panasonic.co.jp/club/technics/consulting/listening4/listening4.html
 加藤鉄平氏の推奨値によると、残響時間の最適値は ●6畳:0.42秒 ●12畳:0.5秒 ●20畳:0.56秒 です。一方サーロジックのHPの実測データによると、推奨値の半分強程度の部屋が大勢を占めています。何故これほどギャップがあるのでしょう? ・・・  答えは単純明快です、フラッターエコーが邪魔をして残響時間を短くせざるを得ないのです。フラッターエコーを残したまま最適残響時間を達成すると(フラッターの帯域は最適値を超える)、風呂場の風情の、楽器の所在が不明なサウンドになります。

 残響の質について
http://www.club.sense.panasonic.co.jp/club/technics/consulting/listening5/listening5.html
 ”残響時間の周波数特性の推奨値”の表によると、残響時間は低域と高域で上昇する特性が推奨されています。但しこの表が想定している室容量は住宅事情が厳しい日本のオーディオルームのサイズよりかなり大きい部屋であろうと推測できます。日本家屋のブーミングの帯域が125Hz〜250Hzであることを考慮すると、20畳程度以下のオーディオルームで200Hzの残響時間が上昇することは許容できません。オーディオ的な爽快感を伴う透明度の高い低音を確保したうえで、更に音楽と融合させるサーロジックチューンの目標残響時間は右の表となります。 残響時間の周波数特性(比率)

● RCのオーディオ専用ルーム。デモ用のLVパネルが足りずミッドバスが上がり気味なので音楽好きが好むアンサンブルの分厚さがある
Original
デモパネル設置
残響時間
Original   LV設置

● とにかく音楽を楽しく奏でる部屋、ブーミング帯域が下がり気味なのでオーディオマニアが好む爽快感もある。


 オーディオルームの音質・音場の決定には、残響音より一次反射音のウエートが高い
 スピーカーが送り出した音は、大きく分けて3つの経路で耳に届きます。一直線で届く直接音、壁などに1〜数回反射して耳に届く初期反射音、無数に反射を繰り返し空間に飽和しながら耳に届く残響音です。

 コンサートホールなど広い空間では、ホールに充満した残響音のエネルギーバランスが音色を支配するため、残響時間がホールの評価基準に採用されていますが、小さな空間のオーディオルームでは1次〜2次の初期反射音が最も大きな音質・音場の決定要素です。

 従ってオーディオルームの音質評価では初期反射音の質(周波数特性とディレータイム)が大きなウエイトを占めることになります。
直接音:フラット。 ●一次反射音:ややドン・シャリ。 ●残響音:超低音がかなり強いドン・シャリ。 ・・ これが実現できたとき、オーディオ的な爽快感に身体も心も委ねることができる音楽ルームが完成します。

 コンピュータ・シミュレーションが明らかにした拡散反射音の振る舞い C.P.simulation
 1980年〜95年のバブル最盛期に日本各地に沢山のコンサートホールが誕生しました、その設計支援のために(株)サーロジックがDSPシステムのハード・ファームウエアを設計・製作し、日東紡音響エンジニアリング(株)がソフトウエアを開発して製品化した音場シミュレータが ”Symphony36” です。1991年に幾何音響理論に基づく可聴化音場シミュレーションシステムとして音響学会に論文を発表しています。

 その後”Symphony50”
で応用範囲を広げ、海外も含めゼネコン各社の研究施設に納品されました。そして音響学会に発表されたゼネコン各社のシミュレーションの成果がコンサートホールの設計法に多大な影響を与えました。その研究成果はリスニングルームにも応用できるものです。
Symphony スピーカー配置 Top View & Side断面 Symphony50
 頭が球の中心になるように座席を設けた直径3m程度の球体の全周方向に.、60°の間隔でSPを配置した鳥篭型の音場シミュレータ。反射音の経路(ホールの広さ)によるディレータイムと、内装材の吸音率で決まる反射音の周波数特性をコンボリュージョンで畳み込み、後部残響音を加えてから18個のSPで設計音場を再現するシステム。

 ゼネコン各社が独自のノウハウで畳み込みデータを算出し、各社のデータによる試聴の結果、一次反射音の高音域が拡散反射するとの条件を組み込むと、音の良いコンサートホールになる事が判明した。

 音の良いコンサートホールは、内装の形状が起伏に富んでいます --> 東京オペラシティー。 シミュレーションの結果と経験値から、初期反射音の高音域を拡散反射させるとオーケストラの演奏に力強さと躍動感が付加され、音楽をエンジョイできるコンサートホールになると分かってきたからです。そしてプライベートのリスニングルームでも同じことが成り立ちます。--1----2----3----5----6--NAGATA ACOUSTICS HOME

 楽器に色彩を与える拡散音の帯域は8kHz
 ”さしすせそ” の無声音が際立つ部屋でマーチンのフォークギターを弾くと、マーチン独特の ” シャリン・・・ ” と響く繊細な倍音が美しく響きます。
’さ行’の音声をスペアナで観測すると、8kHzにピークがある事が分かります。

 部屋からの反射音に8kHzの上昇カーブを与えると、楽器の音はマイルドでヌケの良い音に変化します。プリアンプのイコライザによる高域上昇のようなキツさを伴う音ではありません、楽器の音はむしろソフトなるのです。その音色は真空管アンプに期待する音と言いかえることもできます。反射音がスピーカーの背後からのものであれば解像度もアップします。
’さ’の無声音
  楽器のルートの帯域は4kHz程度までで、8kHzは高次倍音の領域です。ポップスやジャズの録音で、個々の楽器に対してシェルビング・タイプのEQでUPさせることが多い帯域です。この帯域のシェルビングEQは楽器の音の本質を変えることなく音のヌケだけを改善します。この8kHzの帯域では壁紙や壁布・プラスター(石膏)ボード表面の紙も吸音材になります。従って大半のオーディオルームで8kHzの残響時間が不足しています。だからスーパーツィーターが欲しくなるのです。 -- 参考資料、石田健一さん<その3>サーロジック効果を聴く! --

 躍動感のあるサウンドステージを作るには
 再生系で音のヌケを改善するには、不足している初期反射音の高音域を増やせば良いのです。最も効果的な場所がSPの背後です。スピーカーの後ろに拡散パネルを置き高音域の拡散音を増やすと、楽器の色彩が豊かになり高音域が増えるにも拘らず楽器の音は円やかに変化するのです。加えてミッドバスを吸音するとサウンドのもやが晴れ、サウンドステージに奥行きが現れて音楽の躍動感が格段にアップします。更に欲を言えば、超低音は吸音せずに跳ね返して欲しいのです。

 LVパネル、StainVeil パネルは表リブが高音域を拡散反射し、裏側の松材コンパネが
余分な低音域を吸音する複合体です。音ヌケの改善と、マイルドな立体感が両立します。

 市販の拡散グッズを大まかに分類

● 高音域の拡散

 ・ 高音域を乱反射する布・金属系。サーロジック製品ではステンレスコートの拡散スカラホール
 ・ 表面の凸凹で中高音域を拡散反射する木系。サーロジック製品ではLV・StainVeiLパネル(自作LVパネルもどきもこの仲間です)。


● ミッドバス(125〜250Hz)の吸音
 ・ 分厚いグラスウール・布などの繊維系(しかし高音域をミッドバス以上に吸音するのでミッドバス吸音の効果は相殺されてしまう、むしろ高音域の残響音の減少で楽器の色彩が減退するなどマイナス面が目立つ)。

 ・
板振動を利用してミッドバスのエネルギーを熱に変換する木系。サーロジック製品ではLV・StainVeiLパネル。

● 低〜超低音の拡散
 StainVeiL・LVパネルだけのアドバンテージ、できればコンクリートに匹敵する質量が欲しいところ。片手で持ち上がるような質量では腹に応えるはずの低音は熱になって消えてしまいます。

LV
設置例
StainVeil


**** フラッターエコー対策・天井 ****
 
 天井のフラッターエコー
 日光東照宮本地堂の鳴竜が有名ですが、床と平行な反射性の天井がある部屋や、切妻天井、船底天井のオーディオルームに必ず発生します。フラッターは中低音域に勘に障る喧しさを生み、サウンドステージの奥行きが相当量減退します。フラッターを解消し、体験してみて初めてその影響力の大きさに吃驚する筈です。フラッターを解消しない限り楽器の佇まいがスカッと見える音場にはなりません。

反射性の平行壁

切妻天井

船底天井
切妻・船底天井には定在波も発生する
● オーディオルームの天井として、絶対に採用してはならない形状が右の二つ。フラッターエコーと定在波が重乗し、中低音域がやかましく、低音域が希薄なオーディオルームになります。
● 切妻天井では、体で感じる足元の低音が欠落し、音楽の安定感が欠如します。
● 船底天井では、低音に包まれるゆったり感は望み薄。


1/2波長の定在波を赤で示しています。中心線(緑)の左右を合わせた距離を6.8mと仮定すると、床のエリアの音圧ゼロの周波数は25Hzです
 現在,船底天井の部屋にオーディオセットを置いています。部屋の中央付近で聞いているのですが,部屋の隅と比べて低音が少ないので改善したいと考えていたところ,貴ホームページを見たところ,天井が悪いとの記載を見ましてなるほどと思っております。
原文は http://www3.rocketbbs.com/603/salo.html No.505

定在波の音圧分布とリスニングポイン
● 例えば6畳間の長辺を約3.4m(音速は340m)とすると、基準振動モードの周波数は50Hz(1/2波長=基準振動モード)です。そして音圧の分布は下記のようになります。
縦方向の1/2波長
基準振動モード(50Hz)

横方向の1/2波長
基準振動モード(67Hz)
縦方向の1波長
振動モード(100Hz)

横方向の1波長
振動モード(133Hz)
縦方向の2波長
振動モード(200Hz)

横方向の2波長
振動モード(267Hz)

 部屋の真ん中をリスニングポイントにすると、伝送特性はミッドバス上昇・低〜超低音下降となる。切妻・船底天井は低音下降を助長する。
 リスニングポイントの選び方は諸説ありますが、使い勝手からセンターライン上が大多数です。そのセンターライン上の音圧は1波長振動モード以上の周波数帯ではレベルアップ、未満の周波数帯ではレベルダウンになることが3枚の図から読み取れます。

上記6畳間で部屋の真ん中にリスニングポイントを設けると、100,133,200,267Hzで6dB超の音圧上昇(ミッドバス上昇)、67,50Hzでは理論的な音圧はゼロ(低音下降)になります。定在波は上下方向、斜め方向など、多数存在しますので、リスニングポイントに複数の音圧下降が重ならないように配慮する必要があります。中でも前後・左右・上下は支配力が強いので、二つ以上重ならない工夫が必要です。切妻や船底天井は定在波の節が必ず床に出来るので、部屋のセンターをリスニングポイントにすると、前後・左右と合わせて三つの低音不足要因が重なってしまい、低音感の希薄な部屋になります。

 定在波の詳細についてはTechnicsの石井伸一郎さんのページを参照してください。定在波のスライドショーも必ず見てください。

どの場所をリスニングポイントにすれば、音楽が最も楽しめるのか?
 オーディオ発祥のころからドンシャリの欲求があったであろうと思います。音楽をオーディオ的な爽快感も満足させながら嗜むには、ヌケの良いドンが必ず必要であろうと思うからです。更に言えば気持ちの悪いかぶり音さえなければ、音楽全体をまろやかに包み込んでくれる超低音はいくら多くてもかまわないのではないか、と個人的には思います。

 上記の定在波の分布図から、6畳間の定在波による伝送特性のアップ&ダウンは下記のようになります。聴感への支配力が最も強い1/2波長モードを太字で示してあります。
1.縦使い(○はアップダウンなし)
 分布図のように縦使いでリスニングポイントが壁に近ければ、50Hz↑67Hz↓100Hz↑、133Hz↑、200Hz○、267Hz↑。リスニングポイントを壁から離す(前にずらす)と50Hz○、67Hz↓100Hz○、133Hz↑、200Hz○、267Hz↑。
2.横使い
 横使いでリスニングポイントが壁に近ければ、50Hz↓67Hz↑100Hz↑、133Hz↑、200Hz↑、267Hz○。リスニングポイントを前にずらすと50Hz↓67Hz○、100Hz↑、133Hz○、200Hz↑、267Hz○。
3.縦使いでセンターを外すと
 50Hz↑のみ。リスニングポイントを前にずらすとアップ&ダウンなし。
4.横使いでセンターを外すと
 67Hz↑のみ。リスニングポイントを前にずらすとアップ&ダウンなし。

● 伝送特性のみの判断で音の良さそうな順に並べると、
3の後ろ壁に近いポイント
(しかし縦使い横方向のオフセンターは非実用的でなので×)
4の少し前に出たポイント
(SPに近づきすぎるので×)

1の後ろ壁に近いポイント
(○)
2の少し前に出たポイント
(SPに近づきすぎるので×)
の順序であろうと思います。

六畳間では
 しかしコメントの条件を加えると、6畳間では、縦使いセンターの壁際がベストであろうと思います。

八畳間では
 縦横の区別がないので、
1.センター使い
 リスニングポイントが壁に近ければ、50Hz↑50Hz↓100Hz↑、100Hz↑、200Hz○、200Hz↑、。リスニングポイントを壁から離す(前にずらす)と50Hz○50Hz↓100Hz○、100Hz↑、200Hz○、200Hz↑。
2.センターを外すと
 リスニングポイントが壁に近ければ、50Hz↑50Hz○100Hz↑、100Hz○、200Hz○、200Hz↑、。リスニングポイントを壁から離す(前にずらす)と50Hz○50Hz○100Hz○、100Hz○、200Hz○、200Hz○。

 8畳間では、オフセンターの少し前のポインがベストであろうと思います。

 以上の検証結果から分かるように、使い勝手の条件を加味すると、伝送特性頼りのベストポイントは部屋ごとにバラついてしまいます。

周波数特性から得られる音場は片目でみた景色のようなもの
 人の聴覚は耳に届いた楽器の音の周波数特性と位相特性から、楽器の形、セッションの前後関係、オオケストラの配置などを認識します。二本のSPから得られる直接音の時間差情報と周波数特性だけが頼りでは、片目で見た景色のように総ての楽器がSPのバッフル平面に張り付いてしまいます。サウンドステージに浮かぶボーカリストの佇まいなど、立体感の情報は位相の絡む時間差情報から得ているのです。

サウンドステージは位相情報から作られる
 部屋のセンターライン上は定在波の影響で伝送特性が凸凹する確立が高いのですが、左右の耳には同じ伝送特性の音が届きます。一方オフセンターにすると伝送特性の凸凹は確実に減りますが、より多くの情報を伝える位相特性は非対称によじれ、サウンドステージの生成が阻害されます。位相ズレに敏感な方が多いピュアオーディオのリスナーは、センター使いの配置を選ぶべきだと思います。

 更に付け加えれば1/3oct以下の伝送特性の細かい凸凹は、1/3octまとめた帯域音圧として聴覚が平均化して伝送特性を感じるようなので、伝送特性より、左右の対象性を選んで、拡散パネルでSPのポーラパターンを360度指向性に近づけることでリスニングエリアを広げた方が、明快かつ密度の高い自然な響きをリラックスして(寝ころんでも音場が変わらないくらいスウィートスポットが広がります)楽しむことができます。

 低音の量感の調整は、 多すぎればポイントを後ろの壁際から前にずらせば確実に減ります。しかし一般に「低音が多過ぎて音が不鮮明、サウンドステージが感じられない」との訴えは、高音域の拡散音不足とミッドバス過多の症状を指しています。LV1200sp〜1800spパネル+LV1200ctパネルにより中高音域の拡散音と残響音を増やし、ミッドバスを吸音すれば透明度の高い、定位と奥行きのある佇まいが得られます。

 一方低音が不足するようであれば、SPの手前の床にGallery-basso


リスナーの背後にStainVeiL1200(後ろの壁に付けるのであれば1800)


リスナー付近の左右の壁際にStainVeiL600などを配置すれば低音に包まれる揺ったり感が確実に増加します。



 天井〜床間のフラッターは、スカラホールで解消(ローコスト)
 天井〜床間のフラッター(平行なら必ず発生している)はカーペットでも解消できますが、背面に空気の無いカーペットはミッドバスの音を全く吸音しません、床から跳ね返る音の高音域だけが吸音されるのでブーミングの傾向が助長されます。と同時に楽器の倍音成分が吸音された床からの反射音により低音楽器の存在感が失われ、低音楽器の定位が浮き上がってしまいます、地に足が付かない低音と表現することもできます。

 吸音スカラホールでフロント側のフラッターエコーを抑え、拡散スカラホールでフラッターエコーを抑えると同時に天井に高音域の響きを与えると、コンサートホールの高い天井が再現されます。スカラホールは十分に空気を含んでおり吸音帯域が広いのでカーペットのようなブーミングの助長はありません。とは言え、吸音系の調音材なので、大量に使うと残響音の絶対量が不足します。フラッターエリアが小さい場合に有効です。スカラホールはLV1200spまたはStainVeiL1200spと併用したときに最大の効果を発揮します。

吸音スカラホール

拡散スカラホール
吸音スカラホールは前、拡散スカラホールは後ろに配置する。

● スピーカーのバッフルから手前300mm程度の、床・壁・天井のリング状のエリアは、どちらかと言うと吸音傾向が向くエリアです。このエリアのフラッター処理に吸音スカラホールを使うと、ブーミングなどの副作用が出ることなく再生音の濁りがとれ、サウンドステージの透明度がUPします。
● 拡散スカラホールはLVパネルに次いで音場の制御効果が高いアイテムです。LV1200spパネルと対で使うものです。頭上に一枚だけ配置すると中央の膨らみにより効果が強過ぎることがあります(天井が低いと顕著)。2枚設置にして谷間にリスニングポイントを置いてください。

LV1200 吸音ScalarHole  拡散ScalarHole

 天井〜床間のフラッターは、Gallery−skyで解消
 天井〜床のフラッターにもう一つ強力なアイテムが追加になりました。高音域を反射する自然素材を使い3度の傾きでフラッターを解消するGallery-skyです。反射リブ一本々が独立しており、ミッドバスの反射を抑えると同時に高音域を反射する理想的な天井チューニングパネルです。自然素材ですから発泡スチロールのようなパサツキ音の発生もありません。使用量の制限もありません。
洋風天井向き
和風天井向き

 天井〜床間のフラッターは、Gallery−waveで解消
 天井〜床のフラッターのもう一つの解決策がGallery-waveを床に敷く方法です。バーチ(樺)材仕上げにウレタン塗装で、その上を踏み歩くことができます。3度の傾斜があるので居間には使えません、オーディオ専用ルームにお勧めします。床を補強するオーディオボードも兼ねるので、床鳴りの解消にもなり一石二鳥の効果です。



**** フラッターエコー対策・壁面 ****
 
 壁面処理のキーポイント
 壁面はフラッターエコー対策も然る事ながら、前方の初期反射音を増やして前方から後方への反射音の流れを作る壁面にすることを忘れてはなりません、フロントの初期反射音のエネルギーが小さくて残響音にマスクされてしまう場合もヌケの良いサウンドステージは形成されません。

 リスニングポイントでハンドクラップを実行した時
@ : ハンドクラップが叩いた場所から聞こえること
 前後・左右の壁構造が同一であったり、フラッターエコーで初期反射音が掻き消されていると、叩いた場所にハンドクラップが存在しないかのような現象が発生します、この症状があるとピュアオーディオの三次元再生は不可能ですし、5.1chでも立体感のクォリティーが下がります。
A : ハンドクラップの反射音がフロントから届いているように聞こえること
 前方からの反射音が一番強く感じられるようにLVパネルなどの拡散反射体をフロントに置いてください。反射音の拡がり方でサウンドステージの幅も予測できるので、大まかなルームチューンはハンドクラップだけで実施できます。

 フロント壁面はライブエンドが鉄則
 サウンドステージを作り、演奏者の指の動きや佇まいが見えるような躍動感溢れる演奏を楽しみたければ、フロントはライブエンドが鉄則です。デッドエンドは音楽が楽しめてはいけない録音スタジオ御用達の壁面です。完成度の低い楽曲が音楽として楽しめてしまうようでは、質の高い録音が期待できないからです。

 フロントに反射壁が置かれると前方から後方に移動する反射音の流れができます。サウンドステージの形成になくてはならない要素です。
 フロントの壁面にLVまたはStainVeiLパネルを設置すると、高域ライブと壁の斜めが同時に達成できて前後のフラッターエコーも治まります。センターパネルを適切な角度に設定することで左右のスピーカーの独立性も高まり、サウンドステージの解像度がグンとアップします。ソロとオーケストラの遠近感も明確になり、サウンドステージを立体的に再現する能力が向上します。

 簾(すだれ)とタペストリーによるフラッター消去
 StainVeil(ステンベール)パネルが覆いきれなかったフロントの残りの平面のように、小さな平面のフラッター対策であれば、タペストリー(カーテン)の上に簾を重ねた簡易なものが使えます。

 オーディオ的な解像度を上げるためには、フロント周辺のStainVeil パネル以外の場所からの反射音は強調されるべきではないので、簾は横目で吊り下げて下さい(右写真)。簾で覆っているとは言えタペストリーが高音域を若干吸音するので、簾方式は高音域を拡散反射するLVまたはStainVeil パネルと併用する必要があります。

 Gallery-waveパネルによるフラッターの消去

 リア壁面には拡散反射型Gallery-waveが最適 -> 実施例
 拡散反射型は、リア壁面のフラッター消去用として開発したもので、表のバーチ材のリブが中高音の拡散反射体、内部構造と裏側の松材コンパネがミッドバスの吸音体として作用します。取り付けは壁面横方向に厚さ10mm以上の桟木を取り付け(空間を設ける)、コーススレッドで固定します。既設のオーディオルームで、壁強度が低くてブーミング・フラッターが強い部屋に最適です。

 サイド壁面には平面反射型Gallery-waveが最適
 平面反射型は、左右の壁面のフラッター消去用として開発したもので、表面はスリット入りの平面で、通常の板壁なら自身の振動で垂れ流してしまうミッドバスは輻射しない構造です。内部構造と裏側の松材コンパネはミッドバスの吸音体として作用します。取り付けは壁面横方向に厚さ10mm以上の桟木を取り付け(空間を設ける)、コーススレッドで固定します。既設のオーディオルームで、壁強度が低くてブーミング・フラッターが強い部屋に最適です。

壁面処理の禁止事項
 反射壁と吸音壁を隣接させてはいけない。周波数特性の異なる反射音の境目は、聴覚に逆位相に類似する不快感を与えてしまう。
 ”StainVeil”と”Gallery-wave” パネルによるルームチューンの途中経過の写真。左は完成状態に近いもの、右はパネル内部のフェルトが100mm幅露出している。これだけで聴覚が受けるクオリア(数量化できない微妙な質感)の表情はガラリと変わります。 
 ルームチューンの精度が高まると、幅100mmの吸音スリットが反射壁に混ざるだけで不快な雰囲気を感じ取れるようになります。100mm幅の吸音力が必要なのであれば、10個の10mmに分割して分散配置すれば不快感は発生しません。



**** ブーミング対策・木造 ****

 部屋のコーナーに定在波による低音が溜まる、それがブーミングの原因であるかのように言われていますが、事実誤認です。サブウーファのSW2000を使い、木造で強固な壁面を持つしっかりした作りのリスニングルームで大音量の超低音を再生しても、定在波のブーミングと言われている切れの悪いもたつく低音は発生しません。居間などの軽装の壁面で同じ事を行うと、だぶだぶのミッドバスで部屋中が埋まるブーミングが発生します。ミッドバスにマスクされてSW2000の超低音も聞こえません。壁振動がブーミングの原因であることを示す結果です。

 壁と天井の振動がブーミングの元凶
 木造のオーディオルームのブーミングは、壁と天井の振動によるものが大半です。穴明きボード、化粧合板、プラスターボードなどの仕上げで、下地の桟に強度がないと必ず発生します。穴明きボードはそれ自身に強度がないので、常にブーミングの原因になります。

 この現象はサブウーファだから発生するのではありません、メインのウーファーの低音も同じブーミングの影響を受けています。透明度の高い距離感のしっかりした低音が得られないオーディオルームでは壁振動をチェックする必要があります。低音の強いCDを再生して、杖のような棒切れを「壁・床・天井」に押し当てれば手に感じる揺れの大きさで不具合のポイントが判明します。 別項のRCの部屋{フロント)で説明している鏡像法による低音増加とは全く異質のものです。音響調整では二つを分けて対処する必要があります。

 鏡像法で説明できる低音増加は、木造の場合、主たるブーミングの原因ではない
 鏡像法で説明される低音増加は、反射音に含まれる低音エネルギーが中高音に比べて大きいだけですから、フロント壁面に拡散反射体を設けて反射音に含まれる高音域を増やせば必ず解消します。一方、壁振動が原因の低音増加は壁振動を止めなければ解決しません。

 
壁振動の対策は、新築又は大改装であれば、壁を裏側から支える間柱の数を増やして振動し難い壁に作り変えて下さい --> home83-sub参照。 チューニングであれば扉の無い本棚の本で低音のエネルギーを吸音させると激減します。コストが許せばGallery-waveパネルを既存の壁に被せて設置してください。

 LVパネルは鏡像法による低音増加と部屋振動によるブーミングの両方に効果大
 LVパネルの表面は中高音の拡散反射体ですから、高音域の反射音を増やして鏡像法による低音増加を中和する働きをします。LVパネルの内部構造と裏側の松コンパネは低音の吸音体で、壁振動の元になる低音エネルギーを熱に変換すると同時に、壁振動が輻射するミッドバスの振動音が室内に漏れ出さないように壁を作る働きをします。スピーカーの周りにLVパネルを設置すると木造の建物のブーミングの多くは解消されます。RC打ちっぱなしの部屋ではフロントのLVパネルだけでは低音の吸音力が不足するので、リスナー背後の壁面にもLVパネルを設置するなど、低音域の吸音力を追加する必要があります。


**** ブーミング対策・RC ****

 RC打ちっぱなしの部屋では定在波によるブーミングが発生する
 木造の建物では板振動が低音を吸音するため、定在波が主たる原因となる強いブーミングは発生しませんが、板振動が輻射するミッドバスの振動音がブーミングの原因になります。RC打ちっぱなしの部屋では、定在波がブーミングの主たる原因になると思われますが、板振動のブーミングのような音楽が弾まない音になるわけではありません。ただ低音域のエネルギーが強過ぎると感じるだけで、音楽は存分に、いやむしろ木造以上に楽しめます。
■ RC打ちっ放しのオーディオルームの例ですが、部屋寸法から定在波の下限周波数は 33.7Hz。コンクリート剥き出しで壁振動がないので理論上33.7Hz以下に共振音は発生しません。測定結果でも 31.5Hz以下は素直に音圧が下降しており、伝送特性の33Hz〜100Hzの12〜18dBの盛り上がりが定在波によるものであることが確認できる。詳細はこちら参照。但し理論上は33.7Hz, 38.9Hz, 47.2Hzはディップになるはずだと思うのですが??
 この低域特性の部屋に100Hz以下の吸音力が殆ど無いグラスウール系の吸音パネルを並べてみても改善の可能性は全くありません、高音域のみが吸音されて状況は益々悪くなります。

 既設のRC打ちっぱなしのオーディオルームの改修に使える吸音アイテムは、LVパネル、StainVeil パネル、Galleryパネルを除いて存在しないでしょう。下記グラフはLVパネルの振動特性で、低域の吸音特性を表しています。詳細はこちらを参照してください
No. 振動モード 定在波周波数
1 1,0,0 33.7Hz
2 0,1,0 38.9Hz
3 0,0,1 47.2Hz
4 1,1,0 51.5Hz
5 1,0,1 58.0Hz
6 0,1,1 61.2Hz
7 2,0,0 67.5Hz
8 1,1,1 69.9Hz
9 0,2,0 77.8Hz
10 2,1,0 77.9Hz
11 2,0,1 82.3Hz
12 1,2,0 84.8Hz
13 0,2,1 91.0Hz
14 0,0,2 94.4Hz
15 1,0,2 100.3Hz
16 0,1,2 102.1Hz

 ブーミングの解消を小さな体積で実行するには板振動を使います。低音のエネルギーで板振動を起こし、音エネルギーを熱エネルギーに変換して残響時間を短縮し、ブーミングを押さえ込みます。

板壁の吸音率 (建築の音響設計/オーム社 永田穂著 より)

 LVパネルの低音吸収メカニズム
 フリーの板を振動板として室内に置くだけで、板固有の共振周波数の低音が熱エネルギーに変換されて残響時間が短くなります。その共振周波数がブーミングの周波数と一致していればブーミングが軽減されて再生音の透明度が上がるはずです。ところがそうは問屋が卸しません。何故なら共振周波数とその倍音の帯域の輻射音が長い時間共振音を室内に垂れ流し、振動音のピッチが上がることでかえってブーミングが助長されてしまうからです。

 LVパネル、StainVeil パネル、Galleryパネルでは、パネル内部のダンピング材が振動を瞬時にストップして、効率良くブーミングを解消するように設計されています。




** ルームチューンには二つのカテゴリーがある **

 部屋の音を決める5つのパラメータ
 オーディオ機器と、それらが置かれる部屋環境のコラボレーションの結果としてダウンサイジングされたコンサートホールやライブハウスが構築されるのですが、オーディオメーカーの技術力によってその性能がギャランティーされている機器を選ぶのだって迷いに迷うわけですから、すべてをアマチュアの感性で組み上げなければならない5つのパラメータを持った部屋環境のチューニングは、機器の選択とは比べものにならない難しさを伴います。

5つのパラメータとは?・・、パラメータ改善の効果とは?・・
@:定在波を減らして低音域の不快な圧迫感を解消する
A:フラッターエコーを減らして音の透明度を上げる
B:壁・床・天井の振動を減らしてブーミングを解消する
C:初期反射音を増やして楽器の佇まいを明確にする
D:残響音のエネルギーバランスを整えて音楽の躍動感をアップさせる


 例えば定在波と壁振動が豊かな低音に聴こえてしまうことがあります、その結果の負の遺産である透明度の低下を残響音を減らすことで達成しようとカーテンを張り巡らせてしまったりする勘違いが発生します。更に例えば、残響音の高音域のエネルギーが少なすぎるために生じる音楽の躍動感の不足を、高価なケーブルのとっかえひっかえで補なおうとして果てしのないケーブル地獄に陥ったりすることもあるでしょう。負の遺産をその原因となった同じ要素でキャンセルしてからケーブルを選べば、とっかえひっかえの回数が減少し、最適なケーブルに早くたどり着くことができるのです。

5つのパラメータの @、A、B、が ベーシック・チューニング
 オーディオルームのチューニングは大きく二つのカテゴリーに分けることができます。昔から分かっているけれども躯体の構造にからむので実施がためらわれてしまうことが多い直方体の平行壁に起因するものが第一のグループで、ルームチューンの古典とも言える @:定在波、A:フラッターエコー、です。これらは、1975年に初版が出版された「Sound System Engineering / Don & Carolyn Davis」で詳細な解析と理論的な解明が成されています。翻訳されたものが誠文堂新光社から出版されています。「サウンドシステムエンジニアリング / 進藤武男 訳」。
@、A、に 
B:床・壁・天井の振動、を加えて、サーロジックのルームチューンでは、部屋の欠点を正すためのベーシック・チューニングに分類しています。

5つのパラメータの C、D、がアップグレード・チューニング
 長方形の部屋の欠点を克服しただけでは音の良いオーディオルームにはなりません、コンサートホールのように吸音と反射のバランスが適切になって始めて音楽が楽しめるオーディオルームになります。フロントに配置された反射面によって前から後ろへ向かう方向感を与えられた C:初期反射音 がサウンドステージを作ります。

 ベーシック・チューニングでミッドバスの残響時間を押さえ、超低音の残響時間を上昇させた後に中高音域の残響時間を長くすれば、音楽に躍動感が生まれます。殆どののオーディオルームで高音域の残響時間が不足しており、
D:残響音の高音域を増やす ことで音楽を奏でるオーディオルームに変身します。詳細はこちらのレポートを参照してください。


Basic-Room Tuning

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