マトリックス・キットによる 百発百中のオーディオルームの作り方
Matrixはオーディオルームの自作キット。
建物由来の余分な音を排除し、拡散反射をプラスして完成。

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音が良い部屋の共通因子

 スパースモデリングとは、光も吸い込んでしまうため見えないはずのブラックホールの穴が見たいなど、目的が明確であるときに僅かな情報から穴の形を見るのに必要な成分を数学的な演算で抽出して本質をつかむ新たな計算方法とのこと。

 記録写真が残っている無償ルームチューニングの最古のものが2003年。写真のないそれ以前のものも加えるとチューニング歴は15年になる。

 音の情報は数値化が難しいものばかりなので、スパースモデリングでもお手上げかも? と思いつつも、300件を超えるオーディオルームを拝見した体験を分類すれば音が良い部屋の絶対条件が見えてくる。

ソースに含まれない余分な音を排除する

 1.フラターエコーを出さない」、
 2.壁振動を出さない」、
 3.ミッドバスを吸音する」の三点が必須の要件。

 ミッドバスの吸音が必要になる理由は大きく二つに分類される。

 1.揺れない強固な壁により低音が室内にこもってミッドバス過剰になる
 2.ウーファーの音圧で壁材が固有振動で揺れ、ブーミングが起こる

 壁振動は作用の違いにより、バス(100Hz以下)と、ミッドバス(125〜250Hz)に分けて対策するが、マトリックスの躯体を使い、4.壁材選びの基本ルール」の上位の施工を選べばバスの対策は不要。

奥行きと広がりを醸す仕掛けを作る

 その上でサウンドステージに「奥行きと広がりと包容力、低音の沈み込み、ボーカルやインストルメントの佇まい」に代表される三次元の立体表現を「5.反射音の適正配置」によってして醸しだしてオーナーの趣向に合わせれば、心が広がっていくような音楽演奏を味わい尽くせるオーディオルームになります。



マトリックスはフラッターとバス振動カット構造

<13畳マトリックス・躯体キット>

<32畳マトリックス・躯体キット> 

マトリックス・キットの販売価格


13畳躯体キット(柱12x24cm): 2.200.000円
基礎工事とキットの棟上げ費用: 1,200,000円

24畳躯体キット(柱12x36cm): 4,400,000円
基礎工事とキットの棟上げ費用: 1,880,000円

32畳躯体キット(柱12x36cm): 5,750,000円
基礎工事とキットの棟上げ費用: 2,340,000円

(注1)コンクリートの基礎工事と棟費用はクラフトホーム株式会社の参考価格(傾斜地、軟弱地盤、遠方など特別な条件がない場合)
(注2)消費税が別途必要です

 



1.フラッターエコーを出さない

 フラターエコーは平行壁があれば必ず発生する。癇に障るごちゃごちゃとした雑味のある音が主な症状。サウンドステージの広がりも狭くなって音楽の包容力も失われる。

 マトリックスキットでは左右壁面が約3度傾いている(左右合計で6度)。傾斜天井は約11度。施工の難度を下げる必要から前後の壁は平行なので、後の壁面はノコ刃状に6度傾けて仕上げる。6度傾けばフラターエコーは発生しない。

2.壁振動を出さない

 柱または床の大引に4寸(□120x120mm)の材を使う場合、低音で加振されたときの振動強度は支点間隔が半間(910mm)であれば余裕をもって合格。支点間隔が1間(1820mm)になるとやや不合格が経験値。

 マトリックスではコンクリの基礎が半間(910mm)間隔で大引きを固定するので、大引は4寸(□120x120mm)の柱材(集成材)を使う。

 柱は若干の揺れを許すことにしても、4寸(□120x120mm)の柱だと天井高1.8mが許容限界なので4寸の柱は不合格。8寸x4寸(□240x120mm)だと天井高3.6m、12寸x4寸(□360x120)だと7.2mまでが天井高の限界値なので、マトリックスキットでは 8寸x4寸、または 12寸x4寸の柱が標準仕様。

 壁振動の詳細は「構想と成果のギャップ」参照

3.ミッドバスを吸音する

 平行面がない部屋の響き過ぎをざっくり分類すると、壁振動がない頑丈な作りの部屋であれば響きの主成分は実音の残響音。壁振動が多い普通の部屋の響きの主成分は壁の共振が出す振動音。残響音の周波数特性は下記二つに分類される。

1.壁振動が少ない頑丈な部屋の響き(ミッドバスの主成分は実音の残響音

<RC打ちっ放し、RCに頑丈な壁、Matrixキットに頑丈な壁>


2.壁振動が多い普通の部屋の響き(ミッドバスの主成分は壁が出す振動音

<一般木造住宅、Matrixキットに石膏ボード壁>


3.残響時間の周波数特性の目標値


 <1><2>のグラフを<3>と比較すると、響きの成分が異なるもののミッドバスの響き過ぎは<1><2>に共通している。建物にミッドバスの吸音構造を作り込むか、SVパネルなどのミッドバスの吸音体の設置が必要になる。

<SV, SVU, SVEパネルのミッドバス吸音特性 >

 ミッドバスを吸音すると、どちらの部屋も同じような再生音になるのだが、実音の響きによる低音の沈み込みが大きい分、<1>の頑丈な壁の部屋が<2>の普通の部屋を凌駕する。



4.壁材選びの基本ルール

 部屋の仕上げで一番難しいのが壁材選び。6面それぞれに無難な材料があるものの、ベストを追求すると、好みの音楽、好みの音質に合わせて材料を選ぶ必要があるし、ひとつの壁面でも床側と天井側でベストの材と貼り方が異なる。

 大原則は部屋中反射壁だが、狭い部屋では天井と後壁からの低音の反射を弱めておくと明らかに調音が楽になる。

 視点を変えて下記のように考えても良い。

●床に近い側・音源に近い側 --> 全音域反射。
●天井に近い側・音源から遠い側(A, D, @Cの上部) --> 低音を減らした反射。



 但し反射面も反射と一言では片付かず、平らな壁の平面反射にするべき部分と、凸凹の壁の拡散反射にするべき部分がある。

 一部を変えれば全体に影響が出るので、壁材選び正解は複数あるが、下記はその一例。これに<5.反射音の配置決め>の要素を加えて壁面を仕上げれば完成後のルームチューンは不要です。

@ 床  全音域/平面反射   
A 天井 中音域・高音域/拡散反射 低音域・ミッドバス/透過 
B 全音域/平面反射  
C 左右 床から60cm:全音域/平面反射
90cm以上:中音域・高音域/平面反射
D 後ろ 中音域・高音域/水平拡散反射 低音域・ミッドバス/透過
または吸音
(注)吸音と反射の境目は壁の材質または貼り方を徐々に変化させて吸音と反射の断層を避ける。

マトリックスの壁仕上げ<初級> 遮音は二重の外壁

 建築確認申請、基礎打ち、棟上げ、屋根仕上、外装仕上げを工務店に任せ、内装は自作がオーディオマニアの本分でしょう。音に理解のある匠ならいざ知らず、自ら手を下したほうが早いと思うほど説明に時間がかかるし思いがけない不具合が生じることが多い。初級仕上げなら自作可能です。

 自作に必要な最小限の工具と部材は、下げ振り、パワードライバー、長い定規(1m)、オルファカッター、石膏ボード鉋石膏ボードビスコーススレッド木工ボンドなど。

●床:構造用合板(24,28mm)+フローリング
●天井:幅100mm以下の平角垂木の隙間空け(2~3mm)貼り。(垂木の上の梁の隙間に、フェルト、ウールブレス、など充填)
●前:合板石膏ボード+板(ラワン合板、バーチ合板、フローリング、広葉樹銘木、石材)(合板裏の空間にフェルトを詰める) 080716参照(注1,2)
●左右:石膏ボード2重貼り(ボード裏の空間にフェルトを詰める)
●後ろ:石膏ボード1〜2重貼り(ボード裏の空間にフェルトを詰める)
(注1)080716の写真のグラスウールは防振効果は無い。音漏れが問題視される低音の遮音効果も無い。従って防振目的には不要だが断熱には有効。
(注2)
080716のフェルトが防振材。

 12畳の材料費は20万円以内くらい。初級仕上げ(石膏ボードに壁紙)は大きな失敗はないものの、石膏ボードの固有振動がミッドバス帯域であるため、ブーミングの傾向が出る。SVパネルなどでミッドバスを吸音するルームチューニングが必須。100Hz以下は適量外部に漏れるので響きがこもることはない。

<SV, SVU, SVEパネルのミッドバス吸音特性 >

マトリックスの壁仕上げ<中級> 遮音は二重の外壁

●床:構造用合板(24,28mm)+フローリング
●天井:幅100mm以下の平角垂木の隙間空け(2~3mm)貼り(梁の谷間にウールブレスなど充填)
●前:合板石膏ボード+板(ラワン合板、バーチ合板、フローリング、広葉樹銘木、石材)
●左右:合板+石膏ボード+板(バーチ合板、フローリング、広葉樹銘木)
●後ろ:幅100mm以下の平角垂木の隙間空け(2~3mm)貼り

マトリックスの壁仕上げ<上級> 遮音は二重の外壁

●床:910x910mm専用床材(28mm構造用合板+フローリング)
●天井:幅100mm以下のエンボス加工平角垂木の隙間空け(2~3mm)貼り(梁の谷間にウールブレスなど充填)
●前:910x910mm専用壁材(合板+フェルト+石膏ボード+板(バーチ合板、フローリング))。(左右コーナーはSV1800sp相当の専用パネル)。(壁うら床から910mmの升目に150mm重量ブロック積み上げ)
●左右:910x910mm専用壁材(合板+フェルト+石膏ボード+板(バーチ合板、フローリング))。(フロントコーナーはSV1800sp相当の専用パネル)
●後ろ:幅100mm以下の平角垂木の隙間空け(2~3mm)貼り



5.反射音の配置決め

 残響音の周波数特性や響きの時間を事細かく緻密に調整したとしても、エアボリュームの在る立体表現にはまず到達できない。音楽ソースに含まれるボーカルやインストゥルメントの実音と、ホールの響きやエンジニアが意図して加えた残響音などの間接音を引き離し、手前に実音、その背後に間接音を配置した時に初めて生演奏の現場の包み込むような立体感に浸ることができる。

 残響音などの間接音を楽器の実音から分離して壁面に引き寄せたときに三次元の立体感を醸す壁面の場所は限られている。下記イラストの左の図面に位置と高さを記載した。経験が浅い場合は指定位置以外に水平拡散反射音を置かないほうが失敗がない。

 マトリックスでは水平拡散反射音が必要な壁面には反射材を組み込んだ専用パネルを使うので、調音目的で設置するものは和心とBassoのみ(右図)。