錘の質量を変化させてベニアの振動周波数を測定

「自作派の性で自分で作り出さないと気の済まぬ人種です」 と自負されている石田さんは、Stereo誌のSPコンテストの常勝者で、バリバリのスピーカー自作マニアです。

その石田さんが近頃チューニングパネルの自作に命を掛けている様子、沢山の実験データを送っていただきましたので、雑誌取材のルームチューンの経緯と合わせてご紹介することにします。
石田邸1  石田邸2  レポート1    home13 に戻る

その後の音質調整  05.02.21

1.タペストリーを外し、H2000 W約900のパネル2枚を製作斜めに設置
2.低域用のパネルとしてH600 W450を設置(LVパネルもどき)
3.キャスター付きパネルH1200 W450(LVパネルもどき)
4.他としてH1350 W660パネルを3枚製作し設置しました。
☆実験的な製作のため安い桟木を使用したため曲がりが多く板と板との間隔を適当に
しました。
 効果は余り変わらないのではと思いましたもので

この中で一番効果があったのは1番のパネル設置の時でした。次がリスナーの
後方に移動式パネルを設置した時の順でした。(これは不思議なことに後方に設置し
たはずなのに
前方の音が強調されました。)
他としてリスナーの左右に発生していたフラッターエコーも木簾用のパイプを斜めにした
ら簡単に取れましたが
気のせいか若干、何かが足りなくなったような・・・・・?

ここで質問ですが、LVパネルの構造用9mm合板で100Hzを中音と明記されてい
ましたが、
Qを下げるために12mm、15mmの合板を使用するともう少し下の帯域の低域が
吸音出来るでしょうか?
9mm厚でも補強材にピッチを変える事により吸音帯域に変化はあるでしょうか?
また、訪問された時に考案していること疑問に思うことを質問させてください。


05.03.07

昨日は遅くまでご苦労様でした。
色々とありがとうございました。
先ほど悪さをしていた自作パネルを治しました。

原因
板鳴りも多少はありますが大きな原因はホルムヘルツ効果でした。
反射板と松合板との間に小さな部屋が出来ています。
そこに吸音材を入れていませんでしたので
丁度、牛乳瓶の口先で物を離す状況に陥っておりました。
箱内部に入っている6mm厚のフエルトは板振動の制御と
箱内部の吸音と一石二鳥の効果がある事が理解できました。
★流石です。

自作SPの製作もイベントが無いと製作意欲が湧かない状態でしたが
自作のまた目標が出来ました。
100Hz以下の音を如何に吸音するか
板振動が良いと思いますがある帯域まで良いところまで行きそうですが
振動とQの低下は相反するので工夫をしないときつくなるよに感じています。
自然界の事や文献等で勉強していきます。
試作品作りが楽しみになってきました。

オーディオルームの成否は板振動の処理次第

 Stereo誌 05年1月号,3月号でルームクリニックを終了した石田さんは、ルームアコースティックの更なるグレードアップを目標に、自作LVパネルの製作に勤しんでいます。その初期モデルの中に普通の板壁と同じような聴感特性を示すものがありました。そのパネルを追加すると再生音がブーミーになってしまうのです。

 そこで LV1200-4枚相当の量の自作パネルをオーディオルームから出し入れして、残響時間の変化と伝送特性の変化を観測してみました。
 下記データの左のブロックが自作パネル無しの 80Hz〜160Hz の残響時間特性と伝送特性。右のブロックが自作パネル有りの残響時間特性と伝送特性。注目周波数は 100Hz と 125Hz です。

 制動不足の板振動からボンツキの帯域の輻射音が出る様子が観測されました。125Hz〜100Hzの残響時間が 30% 程度増加しています。板振動はその取り扱い方次第でもろ刃の剣に成り得るもので、使いこなしが成功すればブーミングの解消器となり、使いこなしに失敗すればブーミングの発生器になります。

 振動制御の無い板壁や天井板も同じような輻射音特性を示します。LVパネル4枚相当(畳1.3枚の面積)で 100〜125Hz の残響時間が 30%-UPですから、音響処理のない板で囲まれた普通の居間のミッドバス特性は推して知るべしです。
自作パネル無し

低域に向かって残響時間が徐々に増加している
自作パネル設置
ブーミングの原因周波数である 100Hz、125Hzの残響時間が 30% 増加した。80Hzの残響時間より長くなっており、聴覚がブーミングと感じる条件を満たしている。
≒0.6sec --> ≒0.8sec
80Hz, 0.7sec
80Hz, 0.7sec
100Hz, 0.6sec
100Hz, 0.75sec
125Hz, 0.57sec
125Hz, 0.82sec
160Hz, 0.47sec
160Hz, 0.39sec
自作パネル無しの伝送特性

 比較すべき伝送特性は50Hz以上の帯域。50Hz以下はSPの再生帯域外で、暗騒音または音圧の不足によるFFTの演算エラーを表示。
自作パネル有りの伝送特性

 100Hzと125Hz にブーミングの原因となる残響時間の盛り上がりが観測されたが、伝送特性には殆ど変化が見られない。ブーミングの原因の多くは壁振動であり、伝送特性を頼りにGEQで補正してもブーミングは直らない
さらに詳細はこちら参照


05.03.23

低音吸収について色々と思案、実験をしています。
実験を通して感じた事はLVパネルの凄さと村田さんの凄さです。
LVパネルの形、性能にするまでには大変な苦労と労力が
あった事が察しられます。

自作派の性で自分で作り出さないと気の済まぬ人種で
この間の訪問から渡辺さんと色々と思案をしましたが
その結果、やはり板振動がベストであることを思い知らされました。
失礼の数々申し訳ありませんでした。

実験の結果で勘違いも解りました。
板厚を厚くするとQが下がり振動周波数が下がると大きな勘違いを
していました。 Qが下がれば高い周波数になるんですね。

振動測定器が無いので板を柔らかい物で叩き音圧を測り
ました。
結果12mmの物は400Hzにピークが出ました。
LVパネルは約200Hzに出ました。
いずれも450mmピッチの中央を叩いた時の
結果です。
強度を無視して1800mmピッチですと約30Hzから
倍音でピークが見られました。
上記は弦の振動と同等の効果と思われますがブーミングが
心配です。
そこでハーモニカの原理の利用を思いつき実行しました。
固有振動数は平方根(剛性/質量)に比例することに基づき
9mm厚のラワン合板 幅450、ピッチ450mmと900mmの
複合(中間は吸音材挿入)の2種類を製作、実験しました。
共に枠を入れてあるため強度が上がっているため
中央に錘を付けて測定しました。
効果があったのは900mmピッチですがここでは、控えまして・・・・
LV1800と同じピッチの450で1kgの錘を付け同条件で測定した結果
150Hzにピークが現れ効果が認められました。
2kgの錘ですと100Hzまで下がりました。
随時錘を増やし70Hzまで試みました。
測定は音圧のみと非常にアバウトですが明らかに
錘の効果は認められました。
後は音質と吸音効果がどの程度あるかはアマチュアの
域をでますので解りませんが、LVパネルとの組み合わせで
段階的な低域の吸音が可能のような気がしまして報告しました。











05.03.26

本日、錘(鉛で一つ1s)6ヶを送りましたので明日には
届くと思います。

また、一つ利用方法が思い浮かんだのですが
ひどい床鳴りがある床のチューンに利用できないでしょうか
ボンツキの原因となる100Hzから200Hzで床が鳴っている時
床下から根太と根太との間に錘を付けることにより
周波数を100Hz以下に下げればボンツキ現象に効果が
あるのではと思いますがどんな物でしょうか?
壁も可能な気がします。
天井は無理でしょうけど

出来ることなら錘の重さによるLVパネル低域吸音の早見表が
出来るとチューンの幅がまた広がる気がします。

あと、電話で言ったことですが錘の効果を上げるため
(板の隅の強度を下げる)穴もしくは、トリマーで薄く削るのは、
どうでしょうか?

いずれにしても板厚9mmは絶妙な厚みですね

それではこの辺で失礼します。


05.03.31

日曜日にバチを作り、測定を再度しましたので
その結果を報告します。

 1Kgは記録していませんでした。

 4面2kg    88Hz
 1面4kg、3面2kg    81Hz
 2面4kg、2面2kg    81hzのほか60Hzに山ができかかっている
 4面4kg    65Hz
 4面5kg    59Hz

 4面2kgが88Hz→4面4kg が65Hzは板の質量を400gとすると、質量の変化が
2.4kg→4.4kgと1.8倍、その平方根の逆数0.74倍に周波数が変化し65Hz
 4面2kgが88Hz→4面5kg が65Hzは板の質量を400gとすると、質量の変化が
2.4kg→5.4kgと2.3倍、その平方根の逆数0.67倍に周波数が変化し59Hz
 と想像します。
 6kgでは61Hz, 8kgでは47Hz、10kgでは42Hzとなるかと思いますが、取り付け位置
などで異なると思います。
あと板隅の厚みを薄くすれば効果的と思われますがあくまで想像です。




 貴重な実験データ有難うございます。ところで低音を吸音する振動パネルの設計で最も留意しなければならないことは振動周波数の分散です。特定の周波数に共鳴するものは聴覚に圧迫感(逆位相感)を与えるので、測定上の物理特性が良くなったとしても音楽は良くなりません。Qを極力小さくしてパネルの吸音帯域を広げ、エネルギーの大きい周波数に勝手に追従して吸音するように設計してください。