ルームチューニング 210

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撮影=はぎひさこ
Real Sound 音楽機材とテクノロジー mabanua
https://realsound.jp/tech/2019/12/post-468523.html
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mabanua:『サウンド&レコーディング・マガジン』のプライベートスタジオ特集を読んでいて、毎回いいなと思うのは海外の人のスタジオなんですよ。特にお気に入りだったのは、テイラー・デュプリー(音楽レーベル「12K / Line」主宰/インタビューは同誌2018年1月号掲載)のスタジオ。正面に窓があるってすごく良いなと思って。でも、あのページを業者さんに持っていったら「いいですねー」と言いながら、まったく違うスタジオの構造の話をし始めて、コピーも持ち帰ってくれない、みたいな(笑)。

――音周りを設計するうえで、参考にしたスタジオはありますか?

mabanua:そこは村田さんと古賀さんに一任しました。この並行面をなくす壁材はSALogicの「SALogic Matrix」なんですけど、スタジオで使ったのは初めてなんですよね?

村田:そう、日本初。この壁材はオーディオルーム用に開発したものなので。

古賀:そういう意味で、オーディオルームのノウハウとスタジオ建築のノウハウが融合された、初めての試みの日本初のスタジオともいえます。



――スタジオとオーディオルームの材質の違いって、どういうものなんですか?

村田:使う材料は同じでいいんですが、スタジオは吸音の構造がとてもシビアです。一番違うのは低域の伝送特性――スピーカーの周波特性がそのままエンジニアのところに伝わってくるという条件は、スタジオの方が厳しいんですよ。あと、オーディオルームと比べると、スタジオは若干デッド気味の方がいいですね。

古賀:作曲するだけの方だったら、楽しく聴こえるスタジオのほうがいいんですけど、mabanuaさんはエンジニアでもあるので“ちょっとつまらなく聴こえる”ようにもしなきゃいけないことに気をつけました。

村田:オーディオルーム用の壁材だから、出来上がりは音楽が楽しく鳴ってしまうんです。

mabanua:いまは「だんだん音をつまらなくしていく」というよくわからない……罪悪感でいっぱいになる作業をしているという(笑)。

村田:部屋で作る音があんまり楽しいと、アガリがね。楽しくなくてもOK出しちゃう可能性があるから。



村田:でも、このスタジオを作りながら、かなり色々なものを試すことができたんですよ。この部屋は現地で大工さんに「こう作ってほしい」と説明して、お願いして作ってもらいました。吸音の構造は図面を渡しても理解するのが難しくて違うものが出来てしまうことが多いんです。次に作るスタジオは吸音構造もはめ込み型のパッケージにしてしまおう、壁の裏側に嵌めればOKという風にしてしまおうと考えるようになりました。

●次に建築したファクトリーメイドの低域吸音体を壁裏にはめ込んだホームシアター

古賀:このスタジオを作りながら、色んなものがまた生まれてますね。本当は今日に合わせてまたSALogicの新製品がひとつ届くはずだったんです。同じ志を持ったエンジニアの仲間たちからの要望を村田さんに伝えて、開発に2年かけてくださってるもので、これができれば、救われる都内のスタジオはいっぱいあると思います。

● 試作品の吸音特性各種


STW1500(Categry1), STW-Categry2, SVパネルの組み合わせで、スタジオ・オーディオルーム・ホームシアターの低域伝送特性のすべてが制御出来るようになります。

●左から STW1500 STW-Categry2 SVE


●mabanua さんの最新アルバム

mabanuaさんが手掛けた音楽だと、まさに今回のOvallのアルバムがこのスタジオに移って以降の作品ですよね。

mabanua:そうですね。シングルカットの曲含め、このスタジオが出来てから完パケしていて、Mixは全部ここでやりました。



カスタマー評は楽曲・音共に高評価です。

音の完成度はMixするスタジオのクォリティーが上限を作ります。古賀さん次のスタジオ更にレベルアップしましょう。

定在波パネル > Categry2 まもなく完成です。mabanuaさんのスタジオも更にレベルアップします。