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フロントコーナーのSPパネルと床のBassoが設置済のオーディオルームのチューンナップです。「二つのパネルの設置で音楽表現がとても豊かになった、更なる向上が期待できるものか確認したい」。とのご意向でルームチューンに伺いました。 SPパネルが若干ハの字に開いており、二つのオーディオラックが真ん中で隙間なく突き合っていました。 ![]() 1. 調音パネルの効果は十分に発揮されているが、しいて言えばサウンドステージがこじんまりしている。拡がりや奥行きがもっと出るはず。原因の一つがSPパネルのハの字配置です。 SPパネルを壁のコーナーに押し付けるように直角に配置して、サウンドステージのスケールが大きく、そして広くなりました。 フルオーケストラの鑑賞が多いのか、室内楽が多いのかで、直角とハの字を使い分ける方法もありますが、簡単にトライできるので、直角とハの字、両方のテイストを聴き分けてご自身のお好みを選択して下さい。 サウンドステージのスケールを大きくしたければ直角、小振りにまとめたければハの字です。 ![]() 2.二つのSPに挟まれた真ん中のエリアは、空っぽの空間に理想の佇まい像を描いてそれを実現する方法を探る場所ですが、多くの場合そこにオーディオラックがあります。 この場所に機器類なども含め、形が不揃いな平面反射体があると、ボーカルや楽器が奥行きのない同一平面にでこぼこに定位して演奏家の佇まいが乱れた音場を作ります。不揃いな反射体の大きな欠点です。 本件でもボーカルの口元の高さがラックの上端付近の真ん中に引き寄せられて定位が低く佇まいが見えません。 まず二つのラックのぶつかりを左右に4センチくらい引き離して小さな隙間を作りました。高さが低めながらもボーカルの表情に佇まいが顕れました。和心の設置が有効と判断出来ます。 そこでラックの隙間を更に拡げて和心を設置。ボーカルの定位が目線まで上昇し、佇まいも表情が豊かになってボーカルの口元がほっこり浮かぶように明瞭になりました。和心は在庫がないので年内納品のお約束です。 ![]() 3.サウンドステージがこじんまりしていると感じる要素に、左右壁面からの反射音が不足している事例が多々挙げられます。 壁面がフローリング材などの銘木の板張りで反射音が十分にあったとしても鏡面反射ではこじんまりは解消できないし、楽器の佇まいの表現などの解像度も低下します。 故事来歴のような謎めいた言い伝えに「左右壁面の一次反射のポイントは必ず吸音せよ」との指摘があります。ここを吸音したら音楽が死んでしまうのに・・、と思いつつ、真意の程を確かめようと周波数帯域を分割して裏付けを探してみると、 ![]() 画像は次のアドレスから借用しました http://ezakipiano.web.fc2.com/gakkioniki.html 200Hz前後の帯域は大半の楽器の音域が重なるエリアで、確かにこの帯域の若干の吸音は一塊になったアンサンブルの個々の楽器の佇まいが明瞭になり、演奏ステージの奥行きの描写に包容力が加わって再生音場の空気感が至妙にグレードアップします。 しかしながらミッドバス帯域より上の帯域の反射音まで吸音してしまうと、音楽の躍動感が失われるグレードダウンに見舞われます。吸音がプラスに働く帯域はミッドバスのみで、中高音域は自然な平面反射が最適との結論です。 そして更に吟味を重ねた結果、耳の高さより下の壁面に、ミッドバスの吸音体と7kHzを中心にした水平拡散反射音を配置すると、演奏ステージの奥行きの描写と音楽の包容力が最大になるとの結果を得ました。 <SVパネルのミッドバス吸音特性> ![]() <SVパネルの7kHzを中心にした水平拡散特性> ![]() SV900相当のサイドパネルを設置して音楽の包容力が増えたところでルームチューン完成です。 一つ大きな収穫を頂きました。上記写真のように音楽鑑賞のときだけTVを90度回転させるのです。画面からの反射音の影響がほぼ完璧に排除されます。 |