-48- |
総合サムネイル |
|
軽量鉄骨ブレース構造の四階建て住宅の四階部分のオーディオルームです。軽量鉄骨の建物は地震の揺れに逆らわずに順応して揺れることでそのエネルギーを分散する軟構造の建物ですから、壁の構造も揺れに追従するように造られており、オーディオルームとは相容れない設計思想の建物です。 この揺れを無害化してやらないと悲惨なオーディオルームになってしまいます。 壁や天井は低音の音圧で必ず振動します。軽い棒切れを押し当てることでその揺れを確認することができます。一般に壁より天井の方が大きく揺れています。 6畳間の場合、壁と天井を合わせた総表面積は30cmウーファーのコーンの面積(直径25cmで計算)の800倍の広さがあります。壁振動があるオーディオルームでは、巨大なドロンコーンに囲まれて音楽を鑑賞していると解釈して間違いありません。 このドロンコーンは立ち上がりが緩やかで、一呼吸遅れて音圧のピークがムクッと顕れます。「ドス・・・ドス・・・ドス・・・」と踏まれたキックドラムの音が、「ド・・ウォ〜ン ド・・ウォ〜ン ド・・ウォ〜ン」とウォ〜ンしか聴こえないほどコモッた低音が部屋に充満することがあります。そして楽器の音が終了してもゥオーンが残ります。 この壁のウォ〜ンを解消しようと、カタイ音のアンプにとっかえひっかえ、カタイ音のケーブルにとっかえひっかえ、ついにローンが目一杯になってルームチューンに目が向く。 ・・・と云うのが既定の散財コースのようです。 初めて拝見するオーディオルームでは会話の響き(男性の声域の下限(125〜150Hz)がルームチューンの方針を決める大きな手がかりになります。しゃべり声がこもって聞こえるようであれば、何はともあれ壁強化またはミッドバスの吸音が必要と判断します。 本事例のように壁鳴りや天井鳴りが激しい部屋では、LVパネルだけに頼ってルームチューンを実行すると、下記写真のようにデモパネル総動員となります。4階で回り階段であったため、オーナー共々へとへとになりました。 オーディオルームの響き具合の良否を決定付けるのは、11オクターブ(16〜16k)の可聴域の僅か1オクターブのミッドバスの帯域です(150〜300Hz:広い部屋、125〜250Hz:狭い部屋)。 ミッドバスの残響時間(壁振動も含む)は中音域の残響時間に比べて若干短か目がベストです。オーディオ的な爽快感を伴う音楽再生を望むなら、ミッドバス過多は厳禁とオーディオマニアは肝に銘じる必要があります。
完成度の指標になるものが肉声の会話の声で、スピーカーやアンプのキャラクターに惑わされることなく、常に同じ条件で絶対値の判定ができます。 会話の声がコモっていないか?(低域の判定)、会話の声が楽しげに弾むか?(中高域の判定)の二点です。 男性の声のみ図太いのであれば125Hz〜200Hzの響き過多、男女共に下太りであれば200〜300Hzも響き過多と判断します。 低域のコモリは、12.5mm以上の石膏ボードまたは9mm以上の合板で仕上げられた部屋であれば、サーロジック推奨配置のLV、SV、SVU、Gallery SVパネルの設置で実用上支障の無い範囲に改善できます。 しかし本件のように6mmの化粧合板で内装された部屋はその限りでは無く、壁を覆ってしまう量のパネル(ミッドバスの吸音)が必要になることが多多発生します。 そんな部屋であっても、天井など振動が最も多い部位に突っ張り棒を噛ませるとパネルの量が減り、音も良し、美観も良しのオーディオルームに変身します。 左側ガラス窓に重ならぬように設置した本件のサイドパネルの背丈は1200mm。 サイドパネルの背丈の基準はリスナーの耳の高さ程度で、900mmが標準です。900mmのまま、スピーカー側にスライドすればその効果は弱まり、リスナー側にスライドすれば強い広がり感が得られますが、効果が強過ぎて圧迫感を伴うことがあります。通常は900mmを選んで頂き、スライドして最適ポイントを探して下さい。 サイドパネルに求められる音響特性は、ミッドバスの吸音と中音域の水平拡散です。ミッドバスを吸音せずに一次反射のポイントを平面反射にすると、楽器の実音像がぼやけてしまいます。 本件のように窓などの障害物により一次反射のポイントにサイドパネルを置くスペースが無く、スピーカーサイドにサイドパネルを置く場合は、1200mmまたは1500mmを使いますが、1500では、スピーカーのバッフル面に対し、リスナー側にパネルがはみ出して良い量はパネル幅の半分程度以下です。たくさんはみ出すとサイドパネルの効果が強く出過ぎて圧迫感を伴うことがあります。 |