無償ルームチューニング 164

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FPの家

 fp工法のオーディオルームは始めての経験です。「FPの家」は気密性・断熱性・遮熱性が保証されており”夏涼しくて冬暖かい”、住まいの理想を実現した住宅です。

 しかしオーディオ的には明らかに強度不足で、オーナーご自身による各種対策が施されてはいるものの、大きな効果は得られていない。理由を探って見るとパネル工法の弱点がfpの家のHPから読み取れます。

http://www.fp-group.gr.jp/house/method/


これだ!オーディオ術2

 村井裕弥さんの単行本「これだ!オーディオ術2: 格闘篇」が先日出版になった。その前作 「これだ!オーディオ術」で紹介していただいたLVパネルの外科手術をもってしてもパネル工法の弱点の解消は難かしい。



オーディオ機器はとてもナイーヴです。電卓やパソコンのように、いつどこで誰が使っても同じ数字をはじき出す機械ではありません。ほんのちょっとしたことで音はころころ変わる。だからおもしろい。

・・ そこで彼らがどうするかと」いうと、機器の買い替えやケーブルの交換に走るワケです。そりゃ確かに、音は変わりますよ。しかしそんなことでは、根本的な問題はまったく解決されない。

まずは「どの部屋のどこに機器を置くか」なんです。

「ウソだ」と思う方には、ラジカセや小型スピーカーで実験することをお薦めします。「同じ機器から、こんなにも違う音が出るのか」と驚愕すること必至です。

・・ どうしてもスピーカーの位置を動かせない場合に限り、部屋の響を強引に変えてしまうという手もあります。ただし、これはホントに奥の手ですよ。最初からそれをあてにしないように。

サーロジックというメーカーがLVパネルという製品を出しているので、まずは電話で相談してみてください。このパネルを駆使することで、どうしようもない部屋でも、まあなんとかなります。

筆者のリスニングルームはこれなしでもいけますが、いったん置いたが最後、撤去できなくなりました。アクセサリーの一種ですが、もはやサプリメントの域を超えていますね。外科手術並みの効果といえます。

 

 過去のルームチューンの事例によると、フラッシュ構造のドアや引き戸、折戸がある部屋は、ベースやキックドラムなど、低音楽器が定位なく部屋中に広がってしまい、ぶよぶよの低音で部屋が満たされるケースが目立ちます。fpパネルの構造とフラッシュの構造が良く似ている点が疑わしい。

 この症状の部屋はEQで低域を下げると状況が更に悪化します。定位不明で力の無い低音楽器の実音が更に小さくなるためで、ぶよぶよに加え楽器の佇まいや低音楽器による音楽の包容力も失われてしまう。ぶよぶよの原因である部屋を直す以外に改善の余地はない。

在来工法

 日本の在来工法(木造軸組構法)は頑丈な太い柱と梁が建物を支え、その柱に石膏ボードや化粧板を打ち付けて部屋を構成する。結果壁振動は柱と柱で囲まれた狭い範囲に発生する。つまり振動周波数が高めで通常ミッドバスの帯域(100〜300Hz)に収まる。

<LV(左),SV,SVU(右)パネルのミッドバス吸音特性>

木造枠組壁構法


 一方アメリカ発祥の2x4工法(木造枠組壁構法)に代表される、壁全体が1枚の耐力壁で構成される建物の場合、小太鼓より大太鼓の方がより力強い超低音を発するように、振動音が低域〜超低音域にも現れる。従来定在波が支配する領域と思われていた100Hz以下にである。

無償ルームチューン

 「環境は木造軸組工法で壁の中が高密度の発泡ウレタンパネル(FPの家)というもの。10畳ほどのフローリング。部屋が間仕切り少なく、三分の一が吹き抜けという変則空間です。」

との申告にもとずき、STW1500が3枚あれば足りるだろう、と準備しました。STW1500が存在しなかった従来の無償ルームチューンであれば、LVパネルが大量に必要になるところでした。

 過去の納品でSVパネルなどは設置済で、オーナーご自身で手を尽くされたものの、低域に不満が残る。とのことでお尋ねしました。下記が設置済のパネル。
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●SV1800sp x 2
●SV1200plus x 2
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●SV300plus x 2
●SV900 x 2
●Basso x 2
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●SV600 x 6
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<天井をくり抜き、天井裏に天井の突っ張り棒が仕込まれている>


 木造枠組構法では、壁振動を狭いエリアで分割する柱がないので、壁振動の帯域がミッドバスの帯域(125〜250Hz)〜定在波の帯域(100Hz以下)まで広く分布します。

 すでに配置されているSVパネルによりミッドバスの帯域は十分吸音制御されていますが、SVパネルでは制御できない定在波の帯域の響が溢れており、音楽の解像度を落としています。

 そこでSTW1500を左サイドに2枚、リスナーの後ろに1枚の計3枚追加してみました。ベースがセンターに収束して音楽の透明度が上がり、低音楽器の沈み込みが出て大幅な改善が認められました。





 追加納品完了後のパネル構成は下記のようになりました。
が追加パネル。
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●SV1800sp x 2
●SV1200plus x 2
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●SV300plus x 2
●SV900 x 2
●Basso x 2
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●SV600 x 6
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STW1500 x 2
SV1200 x 2
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定在波パネル
STWF1500 (フロント用) STW1500 (リア用)

100Hz以下の低域で巨大な大太鼓のように壁全体が振動するとき、音場のセンターに軽快な存在感を現すはずのベースやバスドラムが逆位相に類似の不快な圧迫感にすり替わって部屋中に散らばってしまう現象が起こります。

定在波パネルは100Hz以下の定在波を消去して低音の音圧分布の波打現象を平坦化する機能と、上記太鼓振動のエネルギーを弱め、ベースやバスドラムをステージの中央にしっかり定位させる機能の二つを併せ持っています。

<STW1500、STWF1500の低音域吸音特性>


フロント用の定在波パネルとして開発したSTWF1500の表材は無垢のタモ。リア用のSTW1500の表材はパインの集成材。パイン材は材自身が持つ中高音域の吸音特性を補う目的で、厚みの異なる2種類の材を組み合わせてパネルの表面に凸凹を施してあります。

STW1500(リア用定在波パネル)

オーディオルームのフロント壁面から反射される一次反射音を統計的に分析すると、スピーカーパネルを配置する左右のコーナーとセンターパネルまたは和心を配置するセンターエリアの3箇所が拡散反射性であるとき、楽器の音に立体的な存在感が醸され、

スピーカーパネルとセンターパネルに挟まれる中間のエリアが平面反射性であるときに楽器の解像度や透明度が上がります。

従って凸凹のあるSTW1500をフロント壁面の振動対策や定在波対策に使うと、低音域は無調整で改善されるものの、中高音域の調整に高度なスキルが要求され、スピーカーパネルやセンターパネル・和心の配置にシビアな微調整が必要となります。

<STW1500 TopView>


STWF1500(フロント用定在波パネル)

フロント仕様のSTWF1500は表面に凸凹がありません。フロントでも、リアでも、左右でも、設置場所を選びません。コストを気にかけなくて良いのであれば、フロントもリアも左右も、STWF1500をお薦めします。

<STWF1500 TopView>



<無償ルームチューニング169>のスウェーデンハウスもパネル構法の建物です、参照してください。