無償ルームチューニング 119

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地下に作ったオーディオ専用ルーム

 フラターエコーが発生しないように内壁を斜めにした本格派オーディオルーム。大手AV量販店の設計で視覚的には説得力のある形状だが見かけ倒しであった。

 オーナーのご不満は、低音がブーミーで音楽が愉しく鳴ってくれない。長年の悩みを解決したい。とのご依頼です。

ブーミーの原因
 ブーミーの原因はRC躯体の内側に作り込んだ内壁の強度不足とダンプ不足(ダンプ材無し)であった。内壁を作り直さずにブーミー感を消すには、板壁がドロンコーンのように振動して垂れ流すミッドバスを吸音すれば良い。

 軟弱な壁面はウーファーが出す100Hz以下の低音で揺すられてミッドバスの輻射音を出す。ミッドバスの聴覚感度は超低音に比べ10倍近く高いため、超低音がマスキングされてミッドバスによるブーミー感のみが耳についてしまう。
フレッチャーマンソンの等感度曲線の低音域(音楽鑑賞レベル(60〜90Phon)の拡大図)  
●20Hzと200Hzでは、22〜28dBの聴覚感度差がある。壁振動によりミッドバスの輻射音が発生すると、低音〜超低音がマスクされて聞こえなくなり(低音が出ないSPと感じる)、ボンツキ音ばかりが耳につくようになる。

 腹を据えて取り掛からねばならないが、根本的な解決策は、壁を剥ぎ、柱の補強を行い(鉄板やステンレス板を柱の側面に付ける)、プラスターボードと合板を重ねた壁を作ることだ。

 決断が難しければ、サーロジックパネルによるミッドバスの吸音が次善の策である。

ミッドバスの吸音
 デモパネルを運び込みながら雑談していると、パネルの量が増えるにつれブーミー感が薄れてくる。やがて丁度良い響きになったとき、低音の調整は完了である。
 サーロジックパネルのミッドバス吸音特性はパネル配置の影響を殆ど受けない。

部屋に運び込んだパネル量に単純比例してミッドバスの吸音量が増える。

 左のデータは松材と2種類のフェルトで組まれたLVパネルの実測データだが、100〜300Hzのミッドバス吸音特性を利用してブーミーな音を吸音する。


サウンドステージを作る
 一方サウンドステージを作り出す水平拡散反射音の効果は配置の影響を大きく受ける。低音処理に必要とされるパネル量に合わせて、下記設置例を参考に最初にフロント、次にサイド、リヤに配置して完了である。

 
ーー サーロジックパネル(LV,SV,SVU,GSV)基本セッティング ーー 
  

21

 
最小配置

 ●
LV1200sp x 2 または LV1500sp x 2  ■-spパネルの背丈を上げると空間情報が増え、音楽の表情が豊かになります。1200サイズはジョイント穴付きをお勧めします。パネルを積重ねてパネルの高さを増やすルームチューンのアップグレードができます。

 注) ボーカルの表情が足りない、と感じたら-ctパネルを追加してください。-ctパネルはボーカルの佇まいを明確にし、その表情を豊かにします。

 注) -ctパネルのみ(-spパネルなし)の設置に実用性はありません。単に水平拡散パネルの効果が体験できるだけです。

 

29

 スタンダード配置


 ●
LV1500sp x 2 または LV1800sp x 2
 ●
LV1200ct x 1

 注) 天井〜床にフラッターエコーがあれば、SPバッフルに若干かかる程度の手前の天井に、吸音スカラホールを付けてください。癇に障るゴチャゴチャした濁りが消え、見通しの良い音場が開けます。


64

b

50

 サーロジック推奨配置


 ●
LV1800sp x 2  ■少し”ハの字”に開いて部屋のコーナーに押しつける(左写真-64-)の方法と、SPを囲む(左上-29-)の方法をお試しください。コーナー型の方がサウンドステージの奥行きと広がりが深くなります。
 ●
LV1200ct x 1  リスニングチェアの座面が高いとき1300。
 ●
LV900 x 2  ■サウンドステージに深みを加えライブ会場のような臨場感を作ります。壁に沿わせて手前に引けば臨場感が増し、奧(SP側)に押しやれば減少します。耳の高さ(900程度)、または若干低いパネルが最適高さです。
 ● Gallery basso x 2  WF位置に浮き上がる低音楽器を着地させ、上下方向の分解能と佇まいの安定感を向上させる床置きパネル。SPから30cm前後の隙間を空けて設置してください。

 注) LV900, Gallery basso は-spパネル無しではその効果を発揮できません。必ず-spパネルと組み合わせてお使いください。

 注) 天井〜床にフラッターエコーがあれば、SPバッフルに若干かかる程度の手前の天井に(b)、吸音スカラホールを付けてください。癇に障るゴチャゴチャした濁りが消え、見通しの良い音場が開けます。

 注) 吸音に頼り過ぎるフラッター消去は音楽の躍動感やボーカルの艶めかしさを萎縮させてしまいます。フラッターエコーを消去し同時に低音楽器の安定感を増すにはJoserが最適です(50)。
 
ーー セッティング・バリエーション ーー
 

89

 センターにTV

 
 TVの表面でサウンドステージの奥行きがストップするため、平面的な定位になりがちです。TVの画面を奧に下げるか、SPを手前に引き出すと、サウンドステージに奥行きが生まれます。


 センターにTV
 
 オーディオラック上のTVの手前にSV600spのとって付きを置き、TV使用時はSV600spを取り除く。

92

 センターにTV

 
 SPとTVの間に LV1200ct x 2 を置くとボーカルの表情が豊かになって佇まいが現れます。TVはなるべく奧に下げてください。

 注) 2 x 4 のようなパネル構造の建物は壁が揺れ易く、壁振動がミッドバスの輻射音を出してブーミングを引き起こします。LVパネルのブーミング吸収効果は数に比例するので、ブーミングが強ければ多数のパネルが必要になります。

 注) SPのバッフル面より手前に背の高い拡散パネルがあると音場が騒がしくなります。SPパネルの連結配置では手前を階段状に下げてください。

 

2

センターにオーディオラック

 平面のある反射体(アンプなど)をセンターに積み上げると、その表面にボーカルや楽器が定位してしまいサウンドステージの奥行きが損なわれます。

 パワーアンプだけセンターの床に置き、センターラックを省略する方法が最善の策ですが、無理であればラックを出来るだけ奧に下げ(またはSPを手前に出し)、センターパネルを 2セット置くとボーカルの表情が豊かになって佇まいが現れます。

 

25

 部屋の間口(横幅)が広い


 SPの間隔が広いと、サウンドステージのセンターエリアの楽器やボーカルの密度感が不足することがあります。センターパネルを 2セット配置すると佇まいが明瞭になります。

48

 天井強度が低くてブーミングが強い


 オーディオルームの壁で強度不足が最も深刻な部位が天井で、ブーミングの最大要因です。LVパネルを増やさずに突っ張り棒でブーミングを抑える方法です。