04.12.30
D.Cube2TX 設置


 最初にサブウーハの件で村田さんに電話したときに、どうしてサブウーハではなくパネルの導入を勧められたのかが、D.Cube2TX を入れてみて、改めてよく分かった。

 パネルでマイナス要因を極力減らしてからでないと、条件の悪い部屋ではサブウーハのプラス効果も帳消しになるばかりか、下手をすると部屋鳴りなどで余計に悪くなる。


デモパネルでルームチューン  StainVeil(ステンベール)パネル設置  D.Cube2TX設置  壁床天井の補強



 昨晩は有り難うございました。
箱から出すときに袖でも引っかかったようで裏面のフェーズスイッチがマイナス側になっておりました。D.Cube
の到着が嬉しくて一刻も早く音を聴きたいと気が急いて、デフォルトのままだからと思って確認しておらず迂闊でした。道理で音がぼけてカットオフ位置が判然としなかったはずです。お気遣いを頂き、わざわざお電話をして下さって助かりました。ありがとうございました。とりあえず、カットオフ 44Hz、入力 10時30分、出力14時(バスレフポートは全部閉鎖)で落ち着きました。

 デモでは初体験で効果を明確に理解するためにかなり大きめで出されていたと思いますが、それよりはずっと慎ましい出し方となりました。今のところは、もう少し効かせた方が良いかと思うくらいの方が、ポップスなどでは物足りないですが、クラシックでは色々なCDの録音状態の差を吸収して具合が良いように感じております。慣れてくれば出力を盤によって調整出来るようにもなると思いますが、しばらくは固定でやってみようと思っています。

 過去に読んだ中に、最終的には数センチ程度前後して位置を調整するとあったように記憶していますが、未だその違いはわかりません。全ての周波数で完全に位相が合うということではないと理解していますのでそれほど神経質になる必要もないのかとも思っておりますが、よく分かりません。厳密に数センチ単位の合わせが必要なのかどうか、もう少し慣れる必要がありますね。


■壁振動があると位相的に無相関な振動音がミックスされるので、直接音と壁振動を聞き分ける熟練が必要です。取り説の理論値で暫く使い込んでいただき、メインスピーカーの低音、バスレフの低音、サブウーファの低音、拡散パネルの低音、壁振動の低音が聞き分けられるようになってからトライしてください。


 未だ仮置きの状態で設置がきちんと出来ていないと思いますが、どのように置いてもアバウトで距離を合わせただけで十分な効果があります。「カットオフを下げてアウトプットを上げる」、「カットオフを上げてアウトプットを下げる」の違いも、よく似たような結果になる場合も多く、未だ良くわかりません。若干は違うのでなんとなくしっくり来る方を暫定的に使っていますが、このあたりの使いこなしにも慣れが必要かと思っています。

 低音が良く出る壁際に設置しましたが、音量が大きい場合には壁の直接輻射がかなりありそうなので、低音の出方がやや薄くても壁の影響を軽減できる場所へ設置してアウトプットを上げた方が良いかもしれないと思っております。また、タンノイのバスレフポートを開放してカットオフを更に下げるというのもやってみないとわかりませんので、いずれ試してみたいと思っております。

 さっと繋いだだけでも十分な効果を得られますが、詰めればもう一段踏み込める可能性が残っていると思います。
いずれにしても、設置や使いこなしについては素人の聴感だけでは限度があるように感じておりますので、次回、来松された際に調整をお願いできればと思っております。


 肝心の感想は、いろいろな意味で「絶句」です。
 デモ時には低音域の効果(ハードビート)の方に耳が行ってましたのでその迫力に圧倒されておりましたが、聴き始めて直ぐにD.Cuibeの本質を全く理解していなかった事を悟りました。(尤も、これは非常に嬉しい大誤算ですが) ツィータを足したときのような変化量に低音の質的改善効果が加わるイメージを考えていましたが、予想とは全く違う音で、これほどまでに超低音域が全体を支配するとは思いませんでした

 とにかく、音楽そのものが、自然に、非常にゆっくりと、情感深く鳴りますあまりの効果に、サブウーハを入れたからという思いこみもあるかもしれないと思い、何度も繰り返しD.Cubeの有る無しで聞き比べましたが、D.Cubeなしではなんとも薄っぺらい、音楽性の低い音になってしまいます。当然ながら音自体は生そのものとは全く違うものの、受ける印象は非常に生音に近く自然です。

 初めて、オーディオ装置を意識しないで聴くことができ、音が良くなって嬉しいと言うより、自分の装置からこのような音が出てきたことに非常な驚きと感銘を受けました。良くなった点を上げれば数多くありますが、今では、オーディオ的な改善点を考える事自体が無意味に思えますパネル導入時も劇的な効果がありましたが、サブウーハの効果は次元が全く違うと感じています。

 何故かはわかりませんが、パネルを入れてからも唯一気になっていた定位の問題もあっさりと解消しました。(定位不良ではなく、生と違うオーディオ的な定位感が不快でした) 私の場合は装置の基礎能力が現代の物に比べて低いため余計に顕著に効果が出たのかもしれませんが、もう、音に対する不満は全くありません。自分が本当に欲しい物を常に明確に理解しているとは限らず、出会って初めて、これこそが自分の欲しいものだと感じることが希にあります。今の音こそが私の求めていた音だと思いますが、頭で想像していた理想の音とは違ったもので、これは自分でも意外でした。

 何の根拠もないのですが、これまでとは違って、自分にとってのオーディオはほぼ終着点に近づいたと直感的に感じており、今回ばかりは本当に確信を持ってこれでオーディオは終わりと言い切れるような気がします。(唯一、ダブルサブウーハの導入は残っていますが、スペースの問題などもありますし、現時点で十分なものを十二分まで追求するかどうかという問題ですので、検討するにしても暫く先になりそうです。)

 もし、将来に置いて装置を替える事があるとすれば、音質への不満ではなく、違う傾向の音が聴きたくなった時だと思います。装置を買い換える動機が、音への不満からではないということは、とても幸せな事ですねそう思えるというのが、D.Cube2TXを入れた最大の収穫だったのではないかとも思います。

 長文、失礼致しますが、D.Cubeの導入の感想ということで送らせて頂きます。
出てきた音があまりに衝撃的だったので、ついつい書いてしまいました。

 本年はいろいろと有り難うございました。
 来年も宜しくお願い申し上げます。
 最後になりましたが、村田様、ご家族様のご健勝と、平成17年が皆様にとって良き年となりますようご祈念申し上げます。


D.Cube2TX 導入レポート
2005/01/04

 D.Cube2TX のファーストインプレッションは先般お送りしたとおりで、暫定的な設置でも抜群の効果がありました。最終的な設置場所や設定を決めるためにいろいろと試してみましたが、初めてのサブウーハということで設置にも今一つ自信が持てませんし、聴感だけに頼った設定では限界もあるように感じます。

 いずれは村田さんに来ていただいて再測定も含めて調整をお願いできればと思っておりますが、とりあえず違和感がない程度には落ち着きましたので経過を書いてみました。その時々に試したこと、感じたことなどを思い出すまま日記風に書いてみましたので、まとまりのない散漫な内容となっておりますが、初心者の D.Cube2TX 導入記録ということで読み流していただければ幸いです。

D.Cube2TX 導入レポート

D.Cube 到着前
 村田さんから連絡があった。数日中に待望の D.Cube2TX が来る。狭い部屋で設置場所の確保も頭が痛いが、一番苦労しそうなのはパスバンドの設定ではないかと思う。スーパーツィータを入れた時もクロスや音圧設定が結構難しく、落ち着くまでにかなり時間がかかった。アーデンの緩いバスレフの低音との繋がりがスムースに行くかどうか、聴感だけでの設定ではかなり難航しそうな気がするので、村田さんに測定データとバスレフ、密閉の特徴などを教えて貰った。

 ポートを塞いで密閉的にすればピークが上方に移動し減衰の傾斜が緩やかになるため、使用できるパスバンドの範囲が広がる可能性が高くなるのではないかと考え、メインスピーカーのバスレフポートにタオルを詰めてみた。低域のふくらみが減ってすっきりとした音調になって好ましいので、D.Cube2TX はポートを塞いだ状態で繋いでみようと思う。


一日目

 待望の D.Cube2TX が到着。デモ時に実機を見ていたが、記憶していたよりも随分大きく感じる。メインスピーカーの音を消して D.Cube2TX だけを鳴らしながら低音が尤も良く出る場所を探し、左スピーカーの左斜め前に仮設置することにした。

 確かに低音は増強されるがデモ時に聴いたのとは随分違うので、あれこれスイッチを弄ってみるがどうもピンと来ない。パスパンドや入出力レベルを弄ってもあまり違いがわからず、村田さんに相談の電話をした。電話を切って間もなく、「裏面の位相反転スイッチを確認するように」とわざわざ連絡をいただいた。

 背面はデフォルトのままで触っていないと思っていたが、確認するとスイッチがマイナス側になっていた。箱から取り出す時に袖でもがスイッチに触れたようだ。スイッチをプラスに設定するとカットオフの切り替えにもきちんと反応するようになった。

 音出しを急いで確認を怠った不注意を反省した。設定用の指定CDを用意していなかった事に気が付いたので注文した。仕方がないので、効果が分かりやすいように、入力レベル11時、出力レベル14時、パスバンド44Hzと、やや大きめに仮設定した。CDが届いたらきちんと再設定するつもりだが、この設定で特に不具合があるようには感じない。デモ時の音には及ばないが、十分な効果を実感できる。

 少し慣れてきたので、聴きながらいろいろとを弄ってみるが、入力を大きくして出力を小さくしたのと、入力を下げて出力を大きくしたのとではあまり違いがよく分からない。この入力レベル設定だと、クラシックではレベルがやや低いような感じもする。

 ポピュラー音楽などとクラシックでは随分違うようだが、ソースの録音状態によっても出力レベルをその都度、調整する必要があるかもしれない。パスバンドを上げると低音が多くなるが、50Hz 以上ではボコボコになって使えない。47Hz にして暫く聴いてみるがなかなか良い。

 タイムアライメントの設定は、メインと D.Cube2 の距離差を計って+60cm に設定した。説明書には最後は前後数センチほど移動させて微調整するとあるので、少しずつ動かしてみるが違いがよく分からない。音自体は D.Cube2TX の有無で全く違う。パネルを入れたときも見違えるように良くなって喜んだが、サブウーハの効果には絶句した。

 パネルの効果は、音場の前後、左右への拡大や分解、余韻などの向上に顕著であったが、これらの効果はフリースタンディングが可能であったりする条件の良い部屋であれば得られるもので、事例でも最も良い部屋は一枚か二枚で済んでいる。確かに、条件の悪い部屋においては顕著な効果があるが、パネル以外に解決方法がないという訳ではない。(微調整が可能で、部屋の改造よりはパネルの方が簡単だが)

 しかし、サブウーハの効果は、相当の高級機でも使わない限り、普通の人が使用する一般的な機器ではなかなか得られないものだと思う。マイナスを埋めて機器本来の性能を発揮させるパネルに対して、D.Cube2 は効果をプラスして既存機器を含めた全体の質的向上を得るものだ。

 最初にサブウーハの件で村田さんに電話したときに、どうしてサブウーハではなくパネルの導入を勧められたのかが、D.Cube2TX を入れてみて、改めてよく分かった。パネルでマイナス要因を極力減らしてからでないと、条件の悪い部屋ではサブウーハのプラス効果も帳消しになるばかりか、下手をすると部屋鳴りなどで余計に悪くなる

 自分の環境で D.Cube2 を先に入れていたら収拾が付かなくなっていたと思う。良い環境でない限り、パネルとサブウーハは一対の物で、どちらが欠けても望む音は出てこないだろう。

 いろいろと弄りながら数時間聴いて少し耳が慣れてきたが、聴く程にこれは本当に凄いものだと感嘆する。だが、新しい機器を入れた時は、後で考えると僅かな効果の物でも贔屓目に聞こえるものだ。これまでも散々同じ事を繰り返してきたから、本当のところはもう少し時間が経たないと分からない。試しに、同じ盤の同じ所を、ジャンルを変えながら10枚程度、D.Cube2 の有無で比較してみた。どこをどう聴いてもこれは本物だという感じがする。

 あそこが良くなったと言うようなレベルではなく、音の質自体が全く違う。単なる改善ではなく、全く新しい質の音に変わるが、サブウーハを意識することは全く無い。イメージでは、サブウーハが触媒になってメインスピーカーの全ての音を改質するような感じがする。

 スーパーツィータを入れたときもこの系統の改善があったが、サブウーは影響が全体に及び、その度合いも比較にならない程大きく、聞こえない低音が全体を支配しているという気がする。

 これで自分の機器からは可聴帯域のほぼ全てが出るようになったわけだが、20k 近い幅のある可聴領域の極めて僅かな部分(本当に効くのは 40Hz 弱以下の僅か 25Hz 程度の幅分)が、これほどまでに全体の音を左右するのは不思議と言えば不思議な気がする。

 今日は4時間程度聴いて耳が少し慣れてきた。明日になればもう少し冷静に判断もできるし、使いこなしの手がかりも掴めそうに思う。


二日目
 仕事が予想外に遅くなり、今日も4時間程度しか聴くことができなかった。昨日は音を出すので精一杯だったが、少し落ち着いて聴いてみようと思う。聴き始めて間もなく、タイムアライメントの設定を指定通りにやっていないことに気が付いた。メインスピーカーと D.Cube の距離差を測って設定していたが、本当はリスニングポイントからの距離差を入力する事になっている。

 リスニングポイントを中心として計測すると、円弧を描く分だけ直線的な計測より距離は短くなる。距離差分だからそれほど誤差は無いだろうと思っていたが、これが思った以上にある。当初は60センチの設定にしていたが、実測では40センチになった。これほどアバウトな設置では数センチ程度動かしてもわからないはずだ。

 それでも効果は十分に感じられるし、低音は耳の感度が鈍いためか不自然な感じは受けない。きちんと設定して聞き直していくと、確かに数センチの前後で微妙に音が変化するのが分かった。何度も試してみたので、気のせいでは無いと思う。しかし、どれでもその設定でないと駄目というほどの差は感じられず、より好ましいといったレベルの変化である。未だ設置や設定がきちんと出来ていないためか、部屋が鳴っているためなのかは分からない。

 アーデンのポートにタオルを詰めていたが、物は試しなので元の状態に戻してみた。ポートを塞いだときは低音のだぶつきが減ってすっきりして良くなったと思ったが、戻してみると音の伸びや響きが相当に失われていたことがわかる。いつもの事だけれど、何かを変えると良くなった所だけに耳が行って、悪くなった部分は分かりにくい。ポートを塞いだのはトータルではマイナスだったようだ。

 アーデンは26年前の古いスピーカーで、性能は現代機器と比べるべくもないが、それなりに良く考えて作られた優秀な製品であることが分かった。しっかりとしたポリシーと技術を持ったメーカーの製品は、素人の考えが及ばない程、製品としてのバランスを吟味、調整して作られていると思う。

 製品の製作意図を十分に理解せずに好みで弄るからだと思うが、自分の腕では弄って良くなった以上に悪くなる部分も多いので、物足りなくてもデフォルトのままで使用する方が方が良いのは間違いない。これまでも、下手に弄っては、結局はメーカーデフォルトで使う事を繰り返してきたけれど、今回も同じ失敗をしたようだ。尤も、サブウーハを入れて良質の低音が付加されたからそう感じるのかも知れないが、今更、D.Cube をはずしてテストする気にもならない。ポートを開放した事で低域の特性が変わったので、昨日の仮設定による結果も意味が無くなった。もう一度やり直さなければならない。

 入力レベルは一旦決めればそうそう動かす必要はないらしいし、ソースの差によって出力レベルは弄る必要があるだろうから、設定の要はパスバンドをどう設定するかにかかっているような気がする。とりあえず入力レベルを10時30分、出力レベルをMAXで仮設定して、パスバンドの設定を試してみる。出力レベルをMAXにしたのはその方が音質劣化を掴みやすい(メインスピーカーと被っている部分での音の干渉が目立つ)と考えたからだ。

 これで試してみると、47Hz、44Hzでは音が濁って使いづらい。41Hzでは使えなくはないが、38Hz以下と比較すると全体の透明感が下がる。38Hzだとかなり良い感じだが、32Hzに下げると更にすっきりとして来る。この辺りは、低音の出方と上の帯域の濁りとのトレードオフになるので、好みによっても随分違うと思うし、音量や音楽ジャンルによってもかなり異なってくるように思う。

 メインスピーカーはポートを解放すると、塞いだ場合に比べて 10Hz 程度下まで出るようだ。村田さんにデータを再確認すると、アーデンは、50Hz から密閉の減衰率に近い12db/oct (SP直前1m)で下降しており、リスニングポイントでは6db〜3db程度上昇しているらしい。

 低域に極端なピークが二つ有ったり、急激な減衰が有ったりということではないようなので、低音が緩いような印象とは違って、かなり使い易い素直な特性だと思う。この特性ならば、38Hz 付近でもマイナス6dbだから4分の1の音量は残っている。

 32Hz 付近でやっと8分の1程度の音量になる。これにリスニングポイントでの上昇を考えれば 32Hz 付近でも4分の1から2分の1の音量が出ていることになる。そうならば、サブウーハは 30Hz 以下の帯域を中心にしないと音が被ってしまうことになる。パスバンド 32Hz でも出力レベルをあまり大きくすると弊害が出る可能性があるが、超低音は持ち上がり気味でも問題がないらしいので、あまり気にし過ぎる必要は無いかもしれない。

 最初の測定からはSPの設置や家具位置の変更などを行っているので、再測定して確認する必要があるが、聴感上で決めたパスバンド 32Hz というのは、理屈で考える限り、あながち的はずれとも言えないと思う。32Hz と 38Hz とは好みの問題程度の差と思う。32Hz と 38Hz はソースによって使い分けても良いと思うが、デフォルトとしては 32Hz を採用することにした。もう少し聴いてみないと分からないが、パスバンドを 32Hz で固定して、ソースの差は出力レベルで調整する方が良いような気がする。

 38Hz も悪くはないが、いろいろなジャンルの差やソースの録音誤差を考えると、上の被りの部分は極力排除した方が結果は良いようなので、被る確率の少ない低めを使うのが良いのではないかと思う。折角、100db/oct の急峻なフィルターを持っているのに、設定でメインとの被りが出たのではそれがスポイルされてしまう。

 この辺りはスーパーツィータを入れたときとよく似ているように思う。当初は高域が伸び、下の帯域も柔らかくなって良くなったと思うが、その内になんとなく違和感がつきまとうことに気が付く。メインンスピーカーと被る部分は思い切って減らし、少し物足りないくらいの方が長期的には結果が良い。スーパーツィータではマイナス9
dbから12db程度までは影響が残ったので、サブウーハでも同様の傾向はあるのではないかと思う。

 聴感で調整するとこのようになったが、アーデンの測定データとパスバンドの設定は理屈では一応納得できるものの、予想していたよりもあまりに設定値が低いし、相当に高性能なスピーカーを使っている方でも40Hz台に設定しているケースも多いようなので、設置や使い方が悪いからなのかもしれないと思い少し不安になる。出力レベル最大でやったのが良くないのかと思って、12時レベルに戻して再テストを行っても結果は似たようなものであった。

 いずれにしても、使用する機器や聴取音量、部屋の状況でもレベル設定は変わってくるし、自分が聴くための装置なのだから自分が気に入れば良いようなものだけど、折角の D.Cubeの性能を十分に引き出せていないのかもしれないという点では、やはり少しは気になる。これ以上は自分ではどうしようもないので、村田さんの来訪時に調整をお願いするしかない。


三日目
 これまではオーディオだけだったので、今日は、LFEを接続してみる。背面のルームチューニングはミニマム、LFEゲインは 10 時の設定とした。スクリーンを大きくしたので画面に音が負けており、フロントスピーカーは間に合わせの入門用のままなので、そろそろ買い換えが必要かと思っていた。D.Cube を繋ぐと、低音だけでなく、フロントスピーカーの音も見違えるように良くなり、買い換えの必要を感じない。台詞も音楽も効果音も素晴らしく良くなった。LFEでの使用でもこれほど全体に効果があるとは思っていなかった。THXのトレーラーでは気持ちが悪い程リアルな効果音で、自分にはもうこれ以上のものは必要ないと思った。

 背後にDCube を設置しているのに、音はちゃんとスクリーンから飛んでくる。低音に指向性は無いと言っても不思議な感じがするが、これは、処分したAV用のサブウーハの質が悪すぎただけかもしれない。D.Cubeは非常に早い低音なので、以前のサブウーハのように画面に遅れることが無いし、音の引きも早いので胸のすくような音響が得られる。映画での使用は何の問題もなくスムースに行った。

 映画を見終わってD.Cubeの電源を切りに行ったら、トランスの唸りのような妙な音がするのに気が付いた。周囲を見ても音がするような物はない。どうもD.Cubeから出ているようだ。音が大きい場合は 50センチくらい離れていても聞こえる。電源を入れ直したから出なくなるということでもないし、音が出ていない状態から出始めたり、音の大きさが変化したり、音が出ていても途中から出なくなる(小さくなる)場合もある。

 接続ケーブルがノイズを拾っているのかもと思って、ピンケーブルをはずした電源コードだけの接続で試しても症状は変わらない。電源からノイズが混入しているのかも知れないが、他の機器ではノイズ関係の問題は出ていないので電源関係ではないようだ。音が出ている状態で、操作パネルのどのつまみを回しても変化はなく、電源極性を逆にもしてみたが症状は変わらない。

 使い方でも悪かったのかと、慌てて村田さんにメールを書いた。村田さんから早速連絡を貰った。高性能トランスを使っているので唸ることがあるとの事。使用上の問題や故障ではないことが分かって安心する。説明書にSCR機器の使用について注意書きがあったのは読んでいたが、そのような機器は使っていないので気にしていなかった。最初は音がしていなかったと記憶しているのでLFEでかなり大きな音量を出したので故障したのかと思った。使用中には全く問題はないし、唸り音もその時だけで今は出ていない。たまたまそのときだけ外部からノイズが混入していたのかも知れない。トランスだから唸っても全く不思議ではないが、D.Cubeがアンプ内蔵だというのをすっかり忘れていた。また、つまらないことで村田さんに余計な手間をかけてしまった。

今日は、正月行事と映画で、CD聴く時間が取れなかった。


四日目
 年始挨拶などもあり、休みなのに数時間程度しか聴くことができなかった。現在の設定で違和感も不満も無いので、何も変えずにずっと音楽を聴いた。相変わらず、非常に満足できる音で鳴る。自分の音に対する要求水準は余り高くないし、嫌な音が出ずに音楽が楽しく聴ければ良い。パネルに加えてサブウーハを入れた事で望んでいた以上の音になり、これで自分のオーディオ弄りは終わったと改めて思う。


五日目
 別に気になるところが有る訳ではないので弄る必要は感じないが、設置場所は最初の仮設置のままになって見直しをやっていない。設置場所を決めたら後は滅多なことでは動かさないので、最初にきちんとしておこうと思い、いろいろと場所を変えてみた。

 先ず、当初の設置予定場所であった左スピーカーとセンターパネル間も置いてみた。よく分からないが、なんとなくしっくり来ない。右スピーカー側もやってみたが、同様であった。センターパネルが2セット入っており、左右スピーカー間に置くと隙間がほとんど無くなる。D.Cubeの動作中はかなり筐体が振動しているから周辺への輻射も相当あるはずで、窮屈なところへ押し込むのは良くないのかも知れない。

 次に、センターパネルの間に置いて音を出してみた。ちょうどリスニングポイントの正面で、視覚的なバランスは3Dらしくて良い。設置幅が足りないので、スピーカーの間隔を左右に数センチずつ広げた。最初に設置した左スピーカー手前左は最も低音が出るが、音量を上げると壁が盛大に鳴る。壁からやや離れた真ん中ならば影響を受けにくいので良いかと思ったが、結果はあまり芳しくなかった。

 本来、低域は指向性がないはずであるが、どうも目の前のサブウーハに低域が引っ張られるような感じがする。それならば、部屋の壁際に置いていた当初の設置ではもっと引っ張られる感じがしてもよさそうであるが、逆に違和感はほとんど無い。

 理由は分からないが、D.Cubeを壁面に平行に置いたときの定在波や、部屋の鳴りによる影響があるのかもしれないし、D.Cube の左右面がパネルに近接していることや、背面への輻射の影響、聴取位置が極めて接近している事などもあるのかもしれない。それぞれの場所で設定を弄ったり位置を前後させてみたりしたけれど、当初の位置より良い場所が見つからないので元の位置に戻した。

 ここは直接輻射で壁がかなり鳴るので好ましくはないが、他に設置する場所もないためやむを得ない。音量を上げ過ぎさえしなければ、致命的な問題は起こらないようだ。メインスピーカーの音を消して D.Cubeだけにすると、パスバンド 32Hz という低い設定にも関わらず、明確にサブウーハの場所が分かってしまう。音楽を聴いている限りは気になることはないが、パネルを入れても、この部屋の環境は良いとは言えない。

 D.Cubeは定在波や部屋鳴りなどの無い場合は設置場所を選ばないのかも知れないが、天井を含めて問題点が残っている場合は、設置場所で随分変化するようだ。2台使いは1台とは別世界ということらしいが、これでは場所の確保が出来そうにない。狭い部屋でのステレオ配置へのハードルは予想以上に高そうだ。これ以上はどうにもならないので、村田さんが来られたときに見て貰うしかない。


5日目
 今日は家人が全員出かけて数時間は誰もいないのを好機として、限界テストをやることにした。やっと到着した Forplay の一曲目を、D.Cube の出力レベルを最大にして、近所から苦情が来ないと思われる限度一杯の音量でかけてみる。これは凄いことになった。先ず、ガラスのビリビリという音がする。心当たりがないので良く見てみると、天井埋め込みのダウンライトが鳴っている。その他にも至る所が振動し、鳴りや唸りが聞こえる。

 今後の対策の参考にしようと、鳴っていそうな所を手や足で押さえて回ったが、両手両足で押さえても部屋中が鳴っており、場所が特定できない。無理をしてもう一段音量を上げると、部屋自体が揺すられている。壁も天井も呼吸しているのが分かるが、一番弱いと思っていた背面の引き戸は鳴っているようには感じない。押さえてみると低音に合わせて音圧で戸がしなっている。部屋全体が大太鼓になって、その中に居るのと同じ状態になっている。これでパネルを入れてなければどんなことになっていたのか想像も付かない。

 これ以上やると近所付き合いが出来なくなりそうなので三分ほどで切り上げたが、部屋が弱いのはよく分かった。小手先で対策しても仕方がないくらい部屋が弱いらしい。これほどの音量で聴くことはあり得ないが、それでもある程度の音量ではミッドバスの輻射で音が汚れていることは容易に想像できる。

 壁面、天井、床を全部直すか、引っ越すか建て替えるかでもしない限りは、部屋の鳴りによる悪影響が出ない程度の音量で聴くのが現実的だと思う。その点、D.Cube を入れてから小音量時の音痩せが非常に軽減されているので、以前程は音量を上げなくても充分楽しめるようになっているのは有り難い。

 いろいろやってみて、装置のレベルに部屋の音響レベルが全く追いついていないと言うことを再認識した。全体のクオリィティは最も低いところに揃うので、多くの場合は装置に資金を投入するより部屋の音響を改善する方に実利がある。普及機であっても現代の機器は相当なレベルに達しており、部屋のレベルよりは機器のレベルが先行していると思う。車に例えるとオーバーエンジンになっているような気がするが、実用で快適なのは逆ではないかと思う。

 D.Cubeが来てから未だ一週間足らずだが、思ったよりは楽に安定した設定に持って行くことが出来た。最初の設置場所の選択と位置、パスバンドの設定には十分に注意する必要があるけれども、一旦設定してしまえばほとんど弄る必要が無く、とても使い易い。

 村田さんに最初にお願いした問題点の解決と希望は、これで全て実現した。これまで望んでも得られなかった音を手に入れ、装置や音を気にすることなく、音楽だけを楽しむことができるようになった。今の装置が元気に動いている限り、装置を弄ることはもう無いだろう。


付記
 現在は、パスバンド32Hz、入力レベル、出力レベル共に10時30分としています。これで不自由を感じることはほとんどありません。ただ、指定の Forplay などで設定すると、入力レベルは9時程度になります。そのままクラシックで使用すると、たまに緑ランプ、希に黄色ランプという状態も多いので、入力レベルを少し上げて使用しています。

 入力レベルを弄らずに出力レベルを上げても良いのですが、低音については出力レベルと感覚がリニアではないような感じですので、入力レベルを高めで使用して出力の上限を上げられるようにしています。録音やジャンルによるレベル差が極めて大きいので、最も汎用性の高い状態で設定をして、ソースによって出力レベルでコントロールするのが良いと考えています。(一度に複数のレベルを弄ると難しくなるので、パスバンドと入力は固定して、出力レベルだけで調整)

 アナログに近付いたと言う事でもないのですが、パネルとD.Cubeを入れてからCD臭さを意識することはほとんど無くなりました。高級装置ならばアナログに優位があると思いますが、私が使う程度の普及機ならばCDで充分であると感じます。上を望めばきりがありませんし、オーディオ的な楽しみを追求するなら別ですが、家庭で音楽を楽しむのにこれ以上の音質が必要とは思えません。

 自分はたまたま買ったスピーカーが 38cm のフロアだったから結構難儀したけれども、下は 50Hz 程度で中高域が良質な中小型のスピーカーに D.Cubeを足すのが、一般家庭で音楽を楽しむ構成としては最良の選択であるような気がします。無論、パネルなどで音響条件を整えた上ですが。

 オーディオをやっていると音についてあれこれ言うけれど、やっている本人は袋小路に入っていることが多いです。全くオーディオに関心がない家人が、たまに「バイオリンの高い音がきつくて聴けない」などと、心臓に悪い事を平気で言います。改めて聴いてみると、こちらは調整に調整を重ねたつもりが、結局は一部だけ突出した音になっている事がよくあります。調整をやりすぎると、どうしてもエキセントリックな方向に流れがちのようです。

 パネルを入れたときも、サブウーハを入れたときも、「自然な聴きやすい良い音になった」と家人が言ったのは、自然な音のバランスに近くなったからだと思います。オーディオに全く興味のない家族の理解を少しは得られたと思いますが、これも予想しない効果の一つでしょうか。

 パネル導入を考え始めてから未だ数ヶ月しか経ちませんが、長年の問題が一挙に解決してしまうとは思っておりませんでした。特に、サブウーハの導入はかなり迷いましたが、入れて本当に良かったと思います。



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