04.10.24
StainVeil パネル納品と 設置・調整・測定


 ガラス面が多く、壁面・天井がプリント合板(6mm程度)で壁振動の多い居間兼用のオーディオルーム。

 パネル設置後にD.Cube2も導入予定だが、壁振動が多く、チューニングのハードルは限りなく高い。

デモパネルでルームチューン  StainVeil(ステンベール)パネル設置  D.Cube2TX設置  壁床天井の補強



 部屋の完成度を周波数特性で判断することは不可能だが、デモの時のデータと比較する意味で再度測定を行った。何ら有効なデータは得られていない。
パネルなし
SP軸上1m



パネルあり
SP軸上1m

 パネルなしに比べて起伏が増えた原因は、一次反射音が増えて直接音との位相干渉が増えたため。
 無響室は反射音がゼロであるから位相干渉がなく、平均伝送特性はフラット(SPの設計値)になる、しかし音楽鑑賞には向かない。
 部屋がライブであっても、最初に耳に届く直接音の伝送特性は無響室と何ら変わりがない。その直接音をGEQで凸凹にして平均伝送特性を平らにする行為は本末転倒。音楽が台無しになる。
 聴覚によるルームチューンは無意識のうちに位相干渉も加味して補正が行われる。チューンが完成に近づくと、平均伝送特性も次第に平らになってくるものである。
パネルなし
リスニングポジション


パネルあり
リスニングポジション

 やはり一次反射音が増えたためであろう、パネルなしに比べ起伏が多い。
パネルあり
リスニングポジション
背後の引き戸開放

 後ろを開放にすると音ヌケが良くなる、

周波数特性的にはむしろ悪くなったように見えるが、Lo,Mid,Hi の3ポイントに山がある形は一般にメリハリのある音
パネルなし
リスニングポジションの1m前


パネルあり
リスニングポジションの1m前

 リスニング・チェアが後部壁際にある事例では、リスニングエリアより少し前方に伝送特性の良いエリアができることが多い、本件も例外ではなかった。
平成16年11月05日

 パネルの導入に際しましてはご多忙にもかかわらず長時間お付き合いを頂き大変お世話になりました。プロジェクターの絵の一部分がパネルにかかっていたためスクリーンを少し移動させまして再調整に時間がかかりましたがやっと一段落いたしました。お陰様で導入前にお願いしておりました問題は全て解決し、音の事を気にせずに音楽自体を楽しめるようになりました。私にとりましては期待していた以上の効果が得られ非常に満足しております。本当にありがとうございました。

 装置がどうしても上手く鳴らないのでいろいろ弄っている内に、音楽性の再現には低音の質が重要な要素であるという事をある方から教えて頂いてサブウーハ導入を検討し始めた事がきっかけでした。調べる内にサーロジック製がベストであると言う事が分かって村田さんにお電話を差し上げたところパネルの導入を勧められましたが、その時はサブウーハの件で電話したのにどうしてパネルを勧められるのか全く理解できませんでした

 サイトの解説やユーザーコメントを読んでみましたが、ケーブル一本換えても激変と言うオーディオ業界の事だから話半分程度かと考えておりましたし、効果があるにしてもこれ程大きなものをオーディオ専用でもない居住空間に入れる事には抵抗がありました。
 偶々、関西方面でのチューニングキャンペーンを予定されており、村田さんから声をかけていただいてパネルの効果を自宅で体験できたことは幸運でした。もし、時期がずれていればパネルの効果を知ることもなく、以前と同じように装置弄りの堂々巡りを繰り返していた事と思います。
 いろいろな助言をいただいた多くの方のお陰で村田さんに出会う事ができました。振り返りますと、縁や出会いの不思議さを感じ有り難く思っております。

 パネル設置の効果は文句なしに素晴らしく、この古い装置がここまで鳴るのかと本当に驚きました。本格的に取り組んでおられる方の足下にも及ばない音だとは思いますが、私にとりましては望外に良い音になりとても満足しております。
 長年、部屋のせいも若干は有るけれども、装置が旧式で劣化もあって性能が不足しているから上手く鳴らないものとばかり思っておりましたが、悪いのは部屋であって装置からは出るべき音は出ていた訳です。高級機でなくても装置の性能は音楽を楽しむには素人が思っている以上に十分に高く、それに比べて部屋の音響レベルがあまりにアンバランスな事が問題だという事は非常に新鮮な驚きでした。

 定在波の問題など音響の重要性は理解していたつもりでしたが、全くの認識不足だったと思います。今回、セットの設置だけでなく家具の配置から全面的な見直しを行って部屋の音響の重要性を実感できたことは得難い経験でした。

 私は自分の好きな音楽を楽しく聴きたいだけで、オーディオ的な高音質を望んでいるのではなく、自然に音楽が耳に入って音楽自体を楽しめる音で聞きたいと思っております。ラジオで聴くFM放送では素直に音楽に入っていけるのに、ラジオに比べればはるかに高価な自分の装置でどうして音楽そのものを十分に楽しめない場合が多いのかは長年の不思議でした。
 
 こんなはずではないと思いながら何とかしようとオーディオマニアでもないのにあれこれと弄っておりましたが、音を聴いているのか音楽を聴いているのか分からない本末転倒となっておりました。これではいくら装置周りを弄っても良くならないはずで随分と遠回りをしましたが、今となっては過去の無駄な努力も懐かしい思い出です。

 この他にも申し上げたい事は沢山ありますが、パネルの効果についてはサイトの解説、事例や感想に全て書かれており、私についても全く同様ですので割愛させて頂きます。
 あえて付け加えさせて頂くとすれば、非常に柔らかくバランスの取れた自然な音でアナログレコードにより近い感じがするようになった事と、小音量でも音が痩せず音量にかかわらず音のバランスがあまり変わらない事が予想外の効果で、ボーナスを貰ったような気分で非常に嬉しく思っております。

 また、村田さんに出会ってお話を伺い、自分と音楽、装置との関わり合いや考え方について従前とは全く異なった捉え方を得られた事は私にとってはパネルの効果にも増して大きな収穫でした。

 現状でも非常に満足しておりますが、音量が大きい時に少し気になるフラッターと壁面の振動対策も順を追って進めて行きたいと思っており、新製品のGallery Flatにも期待しております。サブウーハの入った深みのある音は一度聴くと忘れられませんが、部屋の対策が一段落したらいずれはサブウーハもと思っております。

 村田さんはこちらが心配なる程のハードワークをこなしておられますが、お体に気を付けられ、これからも斬新なアイディアで製品を開発して頂ける事と期待しております。
 長文になりましたが、御礼と感想を述べさせて頂きました。
 いろいろと本当にありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

使用機器

スピーカー    タンノイ アーデン (HPD-385A)
スーパーツィータ タンノイ ST−50
パワーアンプ   マッキントッシュ MC−2255
プリアンプ    マッキントッシュ C−29
CDプレイヤー  アキュフェーズ  DP−75V


ラインケーブル  ノイマンRCA
インシュレーター インフラノイズ マグナライザー909,アサダ桜インシュレーター
電源トランス   オヤイデ CS−3000T (200V→100V)

電源ケーブル、タップ、スピーカーケーブル ホームセンターで売られている一般品 

部屋:洋室(窓、戸などの開口部が多い。何もしない状態では盛大にフラッターがあり、高域がきつく飛び跳ねる)
サイズ:4.5m×3.6m 天井高 2.4m〜2.5m(スピーカー設置は横使い)
壁面:化粧ベニヤ張り(対策をしないとかなり振動して音が濁り、ミッドバスからやや上の部分にかけて妙な音が出る)
床:フローリング(板厚は薄く、対策をしないと相当に床が鳴る)

 なお、感想文中には、パネル導入により従来使用していた付加機器やアクセサリー、ケーブルなどを全て撤去し、メーカー標準品のみに戻した事を記載しておりませんでした。これらを撤去しても何ら問題がなく、むしろそれらによる色付けや効果が無い方が機器本来の特性が素直に出て音のバランスが自然で良いと思っております。

 言い換えるならば、パネルは全帯域のバランスを整えるので特定の帯域を弄って効果が得られるそれらのものはかえって邪魔になるとも言えますし、特定の色付けや効果はパネルの効果に比べると微々たるものなので必要を感じ無くなったとも言えると思います。


 パネルの本設置から早や10日経ちましたが、楽しく音楽を聴けるようになって喜んでおり、毎日帰宅するのが楽しみです。
最初に設置していただいた状態でしばらく聴いていましたが、耳も慣れてきましたので自分で少しづつ動かしては各パネルの効果を確かめております。

 サイトに書かれているパネルの使い方や効果そのまままに変化し、少し弄るだけで大きく表情を変えますので非常におもしろいです。パネル一枚の有り無しでボーカルの声質が見事に変わるなど、改めてパネルの効果と部屋の影響の大きさを実感しております。自分の好みに合わせていろいろなジャンルの手持ち音源が最も汎用的に鳴る状態を探したいと思っていますので、最終的な状態が決まるのは暫く先になりそうです。落ち着いたらレポートを書いて送らせて頂きたいと思っております。

 大は小を兼ねるだろうということで600パネルばかりにしましたが、600だと効果が大きすぎるが置かないとちょっと寂しいというような状態も出てきておりますので、追加をお願い致します。追加で乗せたり床に敷いたりですので、LV300で良いと思っております。枚数は2枚ですが、2枚とも片側に連結用の穴を空け、連結用ロッドを4本同梱されるようお願い致します。


 昨晩もいろいろとやっていましたが、スピーカー前にパネルを敷いてもやはりサブウーハの入ったときとは違いますね。
今の音でも自分にとっては十分だとは思うのですが、一度、サブウーハの入った音を聞いてしまうと耳に残って忘れられないですね。
その内にとおもっていますが、上位機種に買い換えられる方がいらっしゃったらご紹介いただければ有り難いです。


 パネルの設置はほぼ完了しました。
もう少し時間がかかるかと思っておりましたが、センターパネルの調整が思いの外うまく行きました。
今はセンターに棒を立ててボーカルの定位が動くのを試しております。
おもしろい程、棒の位置に定位します。不思議な感じです。

 感想文を添付しております。
書きたいことが沢山ありまして随分削ったのですが長文になってしまいました。
私の事例をサイトに掲載されるのであれば、使えるところがあれば適当に端折ってお使い下さい。
また、当初の問題点のメモも添付しております。

 話は変わりますが、設置の時に同席させて頂いた友人も私の所の音があまりに変わったので少しずつステレオを聴き始めているようです。
元々は生派で私の装置の音にもあまり興味がなかったようですが、パネル導入の音を聞いて再生音楽も捨てたものではないと少し考えが変わったようです。

・・中略 ・・

 2ヶ月連続でこちら方面に来られているので次回はかなり先の事になると思いますが、私自身もGallery Flat も楽しみです(音量との関係もありますが、壁のミッドバスの振動がどの程度の悪影響なのか計りかねております)ので、遠くて大変ではありますが是非いらっしゃって頂ければ幸いです。

平成16年11月15日

 お世話になっております。サイトの事例解説では詳細な解析をされており更新を楽しみに拝見させていただいております。
さて、私の方は本設置から3週間が過ぎてパネルの使い方にも慣れて参りました。調整の課程で当初は気付かなかった点も出てきましたので、断片的なものですが前回の感想の補足として送らせていただきます。

1.棒の使用について
 パネルの設置だけで十分と思っておりましたが、試しに棒(3cm×2cm)を立ててみましたところ、補完的な調整を行う事が出来ました。センターパネルのスピーカー側の面と平行になるような形で左右各2本づつ設置し、(150cmの棒を奥側に1本、120cmの棒をやや前側に1本)、センターパネル間の中心に100cmを1本の計5本を立てております。また、ソースによっては無使用、センターだけ、あるいは3本だけなど状況によって使い分けております。

 視覚的な印象もあると思いますが、パネルの稜線をなだらかにするような感じでの設置が総じて良好な結果を得られるように思います。サイトの記載通り、スピーカーの中心に置いた棒でボーカルなどの位置を前後にコントロールできます。センターパネルとスピーカーパネル間では、棒の高さによって音の中心を若干引き上げる事が出来ますし、棒の本数により音の広がりや密度感などを調整できますが、本数が多すぎるとあまり良い結果は得られませんでした。私の所では5本までの使用が適正範囲のようですが、これは壁とパネルが近接しているためかもしれません。

 上記の5本使用の場合では、音場の左右方向への広がりはやや狭めになるものの、前後左右の音のつながりがスムースになって音場が濃くなり、奥行きは若干増したような感じを受けます。特に解像度が悪くなったようには感じません。効果が有った理由は、スピーカー周りに180cmを各3枚とセンターに120cmを2組(4枚)使ったためにパネル部分の音が強くなり、中抜け状態になっている訳ではありませんが、パネル間が相対的にやや薄めになっているからではないかと推測しております。(棒を設置しない方が良い場合もありますので、録音などにも依るものと思います)

 パネルを設置しても録音やジャンルによっては少し調整したいという場合がありますが、パネル調整よりも気軽に変更できる棒は非常に便利です。パネルの調整と棒の併用により調整範囲が広がるため、現在は棒をミニパネル的な感覚で使っております。

2.フラッターエコー
 設置をしていただいた時は、測定を行うため出来るだけ部屋の元来の特性に近い状態でお願いしたいと思っておりましたのでフラッターがかなり残っていた状態でした。サイトの説明ではパネル設置はフラッターを完全に退治してからとありましたが、パネルの設置当初にはこれだけ鳴れば少々フラッターがあっても問題ないのではないかと思っておりました。もともと盛大にフラッターのある部屋ですからパネルを入れるだけで相当良くなったからです。

 パネルを入れると音が見違えて良くなり注意がそちらの方へ集中するので気付かないのですが、慣れてくると反射音が増えた分フラッターも増加して音を濁らせている事に嫌でも気付かされることになりました。フラッターを目立つ所から退治すると目に見えて音の濁りが消えますが、前後左右は何とかなるにしても上下は難しいです。天井と床の間ではフラッター退治は音の濁りと躍動感のトレードオフになる場合が多くうかつには対策が出来ない部分がどうしても残りますので、やはり専用に設計した斜め天井でないと限界は有るように感じており、現在は最小限の対策に留めております。

 若干の対策をした現状では、普通の音量で聴く限り私の耳では判別はできないのですが、大音量の場合にはやはり音の歪みや濁りが感じられます。尤も、大音量時にはフラッターだけでなく壁や天井なども鳴っているはずなのでそれらがどの程度影響しているのかは分かりません。測定データの分析でその辺りが分かると有り難いと思っています。

 このような事で、傾斜天井などが無い一般的な部屋ではフラッターによる悪影響を感じない程度の音量で聴くのが最も現実的な選択ではないかと思っています。それでも導入以前に比べると随分大きな音量でも大丈夫なので実用上はほとんど問題はありませんが、ボリュームを上げたくなるのも人情ですので限界が高いに越したことは無いとは思っています。

3.壁鳴り
 フラッターはある程度は対策できますが、壁や天井の振動は対策が難しいです。私の所は天井も非常に薄いので盛大に鳴っていると思います。スピーカー間のパネルの隙間から見えている50センチ程度の高さしかない壁面部分に3センチ厚の平板を並べただけで音がクリアになりましたので、厚板の反射自体が化粧合板とは違うという面はあるものの、やはり壁の振動による悪影響も少なからずあるのではないかと思っています。この面積でこれだけ違うとすると、その他の壁や天井の面積を考えると相当な悪影響が出ているのだと思います。

 壁は新製品のGallery-flatで対策が可能な部分もありますが、全てそれで対策できるわけではないので、基本的には壁を剥がして補強するしかないのかもしれません。私の部屋の化粧合板は釘打ちではなくボンド接着ですので工事するとなると大変みたいです。天井は更に対応が難しいです。今は聴感上は問題には感じていませんが、サブウーハを入れたときにはこれらが困った事になるかもしれないと思っています。




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