無償ルームチューニング 68

-68-
総合サムネイル
TOP サムネイル お買い物 商品スペック お問い合わせ
オーディオルームの施工例

床面積 : 2.5間×3.5間 = 25.7㎡≒17.5畳
実測室容積 : 4.24W×6.06D×3.00H = 77㎥

最適残響時間 : 0.54秒

<立面図 オーディオルーム部拡大


 平行壁の普通の部屋に概略仕上がった後、オーディオルームに必要な改善を追加。1.遮音不足”、”2.床・壁・天井の強度不足”、”3.フラッターエコー対策”などが要改善項目。

1.遮音対策 
 別荘地で隣りとの距離が十分あるので現状容認。

2.強度対策 
 床は大掛かりな改装になるし、機材が入れば重しになって揺れにくくなるので現状容認。壁は強度アップと反射音の音質改善の目的で、石膏ボード2層貼りで仕上がった上に、針葉樹合板を一層追加。

3.フラッターエコー対策 
 天井~床のフラターは許容しがたいので、天井を作り直すことにして、6度以上の傾斜を設ける。左壁~右壁はGalleryMonoパネル(特注品)を内貼りして3度傾いた壁とする(左右合わせて6度)。前壁~後壁はフロントにSVパネルを設置して平行面を減らす。

天井を鋸山状に変更

 周囲 300mm を残して天井を撤去し(天井裏に配管、電気配線があるので全面撤去不可能)、二階の梁を利用して鋸歯状の斜め天井とする。

 天井材は壁と同じ3層構造とする(PB12.5mm+PB12.5mm+針葉樹合板12mm)。

 「遮音性能より天井を高くすることを優先する」とのご希望で、傾斜天板は2階の梁に直付け(2階居室への遮音性能は低い)。

3度傾斜のパネルを 壁に付けてフラター消去


フラッター消去、壁強度アップ、残響音の高音域増強(”プラスター+壁紙”比)。

<平面図 17.5畳 拡大図


<天井の周囲300mmを残して天井(石膏ボード)を切除>


 天井は針葉樹合板で鋸歯状に傾斜(予算が許せばバーチ合板で仕上げたい)。

 壁は石膏ボードに針葉樹合板を重ね貼りし、上側2/3にGallery-monoパネルをビス止め(シナランバー仕様で軟らかめ、予算が許せばバーチ合板で仕上げたい)。

<壁面の上部 2/3 に 3度傾斜パネル>



吸音と拡散の処理をせずに残響測定

 上記写真の状態で躯体に係わる工事は終了。職人さん撤収後、部屋を空っぽにして、フラッターレス・エリア(天井側/Mic高さ1800mm)とフラッター・エリア(床側/Mic高さ600mm)の残響時間を測定。

・床面積 : 2.5間×3.5間 = 25.7㎡≒17.5畳
・実測室容積 : 4.24W×6.06D×3.00H = 77㎥
・最適残響時間 : 0.54秒

加銅氏・最適残響時間01
●参考文献 : リスニングルームの設計と製作例 P81 / 加銅鉄平 著 / 誠文堂新光社

<SVパネル&オーディオ機器なしのフラターありの残響時間>
周波数 16Hz 20 25 31.5 40 50 63 80 100 125 160
フラッターレス・エリア、h:1800mm - - - - - 1.40 0.94 0.81 0.70 0.80 0.83
フラッター・エリアh:600mm -sec -sec -sec -sec -sec 1.79 1.48 1.09 0.84 0.91 1.07
周波数 200Hz 250 315 400 500 630 800 1k 1.25k 1.6k 2k
フラッターレス・エリア、h:1800mm 0.85 0.88 1.05 1.17 1.07 1.05 0.97 0.94 1.00 1.06 1.10
フラッター・エリアh:600mm 1.13 1.20 1.43 1.34 1.39 1.28 1.19 1.16 1.22 1.33 1.36
周波数 2.5k 3.15k 4k 5k 6.3k 8k 10k 12.5k 16k 20k
フラッターレス・エリア、h:1800mm 1.11 1.12 1.09 1.00 0.89 0.76 0.61 0.45 0.34 0.26 -
フラッター・エリアh:600mm 1.38 1.37 1.30 1.19 1.06 0.88 0.68 0.51 0.37 0.28 -

フラッターレス・エリア : 壁に斜めパネルがある天井側のエリア
実測残響データ>
フラッター有り・エリア : 壁に斜めパネルがない床側のエリア<実測残響データ>

 
フラッター・エリアに比べ、フラッターレス・エリアの残響時間は20~30%短い(フラッターの回り込みがあるので、実際はもっと差が開いているはず)。平行壁がフラッターエコーの発生源であることを示している。

<SVパネル&オーディオ機器なしのフラターありの残響時間>



SVパネルと機器を設置して残響測定

<SVパネルと最小限のオーディオ機器を設置>


<壁の平行面が見えなくなる量の機器類を設置>
 

・床面積 : 2.5間×3.5間 = 25.7㎡≒17.5畳

・実測室容積 : 4.24W×6.06D×3.00H = 77㎥
・最適残響時間 : 0.54秒

<SVパネル&オーディオ機器設置後のフラターレスの残響時間>
周波数 16Hz  20  25  31.5   40  50  63 80 100 125 160
SPとアンプ設置 -sec 1.90 1.80 1.05 1.00 0.81 0.71 0.65 0.60 0.44 0.52
機材多数設置 1.7sec 1.6 1.5 0.74 0.61 0.60 0.51 0.52 0.50 0.45 0.55
周波数 200Hz 250 315 400 500 630 800 1k 1.25k 1.6k 2k
SPとアンプ設置 0.47sec 0.52 0.54 0.58 0.54 0.53 0.56 0.61 0.65 0.68 0.74
機材多数設置 0.42 0.34 0.38 0.40 0.36 0.39 0.39 0.43 0.49 0.51 0.52
周波数 2.5k 3.15k 4k 5k 6.3k 8k 10k 12.5k 16k 20k
SPとアンプ設置 0.76sec 0.75 0.73 0.68 0.59 0.53 0.46 0.36 0.30 0.24   
機材多数設置 0.55 0.54 0.53 0.52 0.50 0.49 0.46 0.39 0.36 0.31  

SPと最小限のアンプ類を設置したときの
実測残響データ
機材が壁の平行部分を覆い隠した常用時(フラッターレス)の実測残響データ

<SVパネル&オーディオ機器設置後のフラターレスの残響時間>


 17.5畳の壁面が総て埋まるほどの量の往年の名機がずらりと並んでいる。プロ機器が多いのでキャビネットは鉄板仕上げが多数。残響の実測データの各所に鉄板の共振と思われる不自然な曲がりが表れている。

 中高音域の吸音処理ゼロの部屋だが中高音域の残響時間は最適値を下回っている。オーディオルームにカーテンなどの高音域の吸音材は不要であることを示している。

木造のオーディオルームで 吸音が必要な帯域はミッドバス以下だけ

 木で内装したオーディオルームはフラッターエコーが無ければ残響音が最適残響時間を超えることは非常に稀で、越えたとしても実害が出るレベルにはなりません。

 吸音が必要な帯域は板材の共振と柱の強度不足が関与する400Hz以下に限られます。

 それなのに市販されているグラスウール系、スポンジ系の吸音部材は400Hz以上を吸音するものばかりで、導入すると残響音のエネルギーバランスが低域に偏って音楽の躍動感を奪うブーミングを助長します。

<SVパネル>

<SVパネルのミッドバス吸音特性>


<STW1500 & STWF1500パネル>


<STW(F)パネルの低音域吸音特性>



ルームチューン完了


<部屋の響き過ぎはフラターエコーが原因、フラターを消去すると響きの時間が半分以下になる>



●フラッター有りのエリアの残響特性 -O-O-O-O-
 壁の上部に背丈1800mmのGallery-monoパネル(3度傾斜パネル)を設置(フラッターレス・エリア)。

 壁の下部 1/3 は平行壁(フラッター・エリア)。

 マイクロフォンを床から600mmの高さに設置してフラッター・エリアの残響時間(フラッター時間が正しい表記)を測定。

●フラッター無しのエリアの残響特性 -O-O-O-O-
 マイクロフォンを床から1800mmの高さに設置してフラッターレス・エリアの残響時間を測定。

●SVパネル設置後の残響特性 -O-O-O-O-
 SVパネルと音研の巨大なSPが入ってフラッターエコーが急減。残響特性が最適値に近づいた。

 マイクロフォンの高さは床から 1.1m(リスナーの耳の高さ)。

●機材配置後の残響特性 -O-O-O-O-
 この部屋のオーナーは、オーディオ再生のみならず、アマチュア録音もこなし、真空管アンプも自作してしまうバリバリのオーディオマニア。そのため機材の量が半端ではない、17.5畳が満タン。

 プロ機が多数あるので、鉄板の板金仕上げの機器の振動音が残響音に付加されている可能性あり、機器設置後のデータが残響時間を示すデータと言えるのか? 不明なところがあるがまずまずの及第点。