無償ルームチューニング 163

-163-
総合サムネイル
TOP サムネイル お買い物 商品スペック お問い合わせ

 写真はフロント3箇所のパネルとリア3箇所の定在波パネル納品後、無償ルームチューンに伺った時のもの。ところで此の所、折戸に遭遇する機会がとても多い、設計業界で流行りなのでしょうか? 

支えが弱い折戸は楽器の音でゆさゆさ揺れて音楽に雑味を加えてしまいます。SV600の裏返しを2段2列並べて覆いを作ったところ、そこそこ雑味が取れました。怪しいところを覆い隠す蓋パネルの背丈は耳の高さを超える必要があり、使い勝手も考慮すると背丈1200mmあたりがベストサイズ。

 サイドパネルもやはり必須で、サウンドステージの厚みが増えて演奏ステージがリスナー方向に迫まり出し、楽器の音が五感を包み込んで音楽の包容力が格段に豊かになりました。

石膏ボードが諸悪の根源

 オーディオルームにとって日本の消防法はとんでもない悪法。消防法に準拠した定番の部屋の壁面は必ず石膏ボードに壁紙。

オーケストラのハーモニーが分厚く集中するミッドバスの音楽帯域と、石膏ボードが音楽のエネルギーに共鳴して持続して振動音を流し続ける共振帯域がきれいに重なるため、ミッドバスに過剰な厚みが発生してスピーカーの再生音をブーミーで透明度の低いものに作り変えてしまう。

SVパネルは、ミッドバスの過剰な厚みを吸収する吸音構造を備えつつ、中高音域は水平方向に拡散反射して音楽に躍動感を醸します。

 石膏ボードの部屋は低音域に必ず壁振動由来のブーミング発生という難題を抱え込んでいます。ルームチューンでは低音域の壁振動対策が最初に手を付けなければならない必須の課題で、そこが解決してはじめて音楽にハリとノリを与える部屋のライブ化が可能になります。

<SV、SVUパネルのミッドバス吸音特性>


初期反射音を増やすライブ化は
ミッドバスの吸音と組み合わせたとき大成する


 そのライブ化にも二つの方法があって、コンサートホールのように大きな空間で威力を発揮する残響時間を延ばす方法が古典的なライブ化の方法。しかしオーディオルームのような狭い空間で闇くもに残響時間を長くすると、風呂場の気配になってしまう欠点があるので要注意。

 もう一つの方法が初期反射音を増やしてライブに聴かせる手法で、上記写真に配置したSVUパネルの位置からの反射音を増やしてライブ化する術であれば、オーディオ的な解像度を損なうことなく、まさにボーカリストが自分の部屋に生息しているかのような艶めかしい佇まいを潜ませつつ、生音のトランジェントはそのままに音楽の包容力と豊かな響を備えたインストルメンタルが実現できます。

 反射音の進行方向と反射音の周波数特性をオーディオルームに最適な形に制御するSVパネルが作り出すライブは、反射方向が一定である平面状の反射体や、反射音を均一に散らばす円柱状の反射体など、リスナーの意志で音場を制御する機能が備わっていない反射体とは設計理念が根本的に異なる反射パネルです。

加えて、石膏ボードが宿命的にもつミッドバス帯域(ボーカルの低音域)をダブつかせてブーミングに至らせる余分なミッドバスを吸音する構造が備わっているため、所謂響き過ぎのライブにはなりません。




定在波吸音パネル

<中吊り構造の折り戸は100Hz以下の振動音の発生源(定在波帯域と重なる)>



 ところで100Hz以下の低域で巨大な大太鼓のように壁全体が振動するとき、音場のセンターに軽快な存在感を現すはずのベースやバスドラムが逆位相に類似の不快な圧迫感にすり替わって部屋中に散らばってしまう現象が起こります。

定在波パネルは100Hz以下の定在波を消去して低音の音圧分布の波打現象を平坦化する機能と、上記太鼓振動のエネルギーを弱め、ベースやバスドラムをステージの中央にしっかり定位させる機能の二つを併せ持っています。

 フロント用の定在波パネルとして開発したSTWF1500の表材は無垢のタモ材で、表面はフラット。リア用のSTW1500の表材はパインの集成材で、SVパネルのような凸凹があります。

スピーカー背後のフロント壁面は、スピーカーパネルを置く左右のコーナーと、和心などを置くセンターエリアを除き、凸凹より平面の方が望ましいので、フロント用のSTWF1500の表面はフラットです。

<STW1500、STWF1500の低音域吸音特性>


●フロント用、定在波吸音パネル
<STWF1500 TopView>


 STWF1500は表面に凸凹がないので、フロントでも、リアでも、左右でも、設置場所に制限はありません。反射音の周波数特性も高域まで素直に延びており、コストを気にしないのであれば、フロントもリアも左右も、STWF1500をお薦めします。

●リア用、定在波吸音パネル
<STW1500 TopView>


 STW1500は表面に凸凹があるので、リアまたはリスナーの左右専用です。パイン材は材自身が中高音域を僅かですが吸音するので、厚みの異なる2種類のパイン材を組み合わせて凸凹を施し、中高音域の反射音を増やす構造です。



 Phile Web にルームチューンの話題

ぼくは,サーロジックの音響パネルを使ったときに気づいたんですね.
「あ,鳴ってるのはスピーカーじゃない...鳴ってるのは部屋だ...」って.

それは,定在波が強いとか,フラッターエコーが多いとかいうレベルの話ではなく
て,スピーカーが奏でる音源の情報を,音楽性豊かな音のハーモニーとして部屋
に満たすためには,部屋の音響を整えなくちゃダメだっていうレベルの話です.

なので,部屋にこそ時間とお金をかけないと,本当の意味でオーディオを楽しめる
状態にはならいないだろうな,それを知らずして,機器を取っ替え引っ替えしたり,
高価なアクセサリーに投資するのは不幸だな...と思うに至りました。

 http://community.phileweb.com/mypage/entry/3556/20140217/41396/