写真はフロント3箇所のパネルとリア3箇所の定在波パネル納品後、無償ルームチューンに伺った時のもの。ところで此の所、折戸に遭遇する機会がとても多い、設計業界で流行りなのでしょうか?
支えが弱い折戸は楽器の音でゆさゆさ揺れて音楽に雑味を加えてしまいます。SV600の裏返しを2段2列並べて覆いを作ったところ、そこそこ雑味が取れました。怪しいところを覆い隠す蓋パネルの背丈は耳の高さを超える必要があり、使い勝手も考慮すると背丈1200mmあたりがベストサイズ。
サイドパネルもやはり必須で、サウンドステージの厚みが増えて演奏ステージがリスナー方向に迫まり出し、楽器の音が五感を包み込んで音楽の包容力が格段に豊かになりました。
石膏ボードが諸悪の根源
オーディオルームにとって日本の消防法はとんでもない悪法。消防法に準拠した定番の部屋の壁面は必ず石膏ボードに壁紙。
オーケストラのハーモニーが分厚く集中するミッドバスの音楽帯域と、石膏ボードが音楽のエネルギーに共鳴して持続して振動音を流し続ける共振帯域がきれいに重なるため、ミッドバスに過剰な厚みが発生してスピーカーの再生音をブーミーで透明度の低いものに作り変えてしまう。
SVパネルは、ミッドバスの過剰な厚みを吸収する吸音構造を備えつつ、中高音域は水平方向に拡散反射して音楽に躍動感を醸します。
石膏ボードの部屋は低音域に必ず壁振動由来のブーミング発生という難題を抱え込んでいます。ルームチューンでは低音域の壁振動対策が最初に手を付けなければならない必須の課題で、そこが解決してはじめて音楽にハリとノリを与える部屋のライブ化が可能になります。
<SV、SVUパネルのミッドバス吸音特性>

初期反射音を増やすライブ化は
ミッドバスの吸音と組み合わせたとき大成する
そのライブ化にも二つの方法があって、コンサートホールのように大きな空間で威力を発揮する残響時間を延ばす方法が古典的なライブ化の方法。しかしオーディオルームのような狭い空間で闇くもに残響時間を長くすると、風呂場の気配になってしまう欠点があるので要注意。
もう一つの方法が初期反射音を増やしてライブに聴かせる手法で、上記写真に配置したSVUパネルの位置からの反射音を増やしてライブ化する術であれば、オーディオ的な解像度を損なうことなく、まさにボーカリストが自分の部屋に生息しているかのような艶めかしい佇まいを潜ませつつ、生音のトランジェントはそのままに音楽の包容力と豊かな響を備えたインストルメンタルが実現できます。
反射音の進行方向と反射音の周波数特性をオーディオルームに最適な形に制御するSVパネルが作り出すライブは、反射方向が一定である平面状の反射体や、反射音を均一に散らばす円柱状の反射体など、リスナーの意志で音場を制御する機能が備わっていない反射体とは設計理念が根本的に異なる反射パネルです。
加えて、石膏ボードが宿命的にもつミッドバス帯域(ボーカルの低音域)をダブつかせてブーミングに至らせる余分なミッドバスを吸音する構造が備わっているため、所謂響き過ぎのライブにはなりません。
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