無償ルームチューニング 156

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完成写真追加しました。美しさ満点の仕上がりです。



(2013年)10月14日の無償ルームチューニングでは、大変お世話になりました。

 部屋は5.5帖を縦使いで使用し、すでに会話をしている時点でミッドバスがあるとの指摘、フラッターエコーは多少はあるが残響が短いため無視して良いとのことでした。

まずは LV1800SP、LV1200CT、 サイドパネルのLV900で視聴しました



 パネルなしとは比べものにならないくらい中高音が透明感にあふれ、モヤモヤして聞いていて疲れる中音がクリアになり、特にトライアングルやマラカスの高音楽器が鮮明に聞こえるようになりました。

 LVパネルは125〜250Hzのブーミング音を吸音します、ボーカルや多くの楽器がハモる音楽再生のコアになる帯域。そこに覆い被さる壁振動音を吸音して音場の奥行きを深く、そして厚くする。

ミッドバスの帯域は低音楽器の倍音と中高音楽器の基音が重なる音域で、ボーカルのヌケやコモリも同帯域の良し悪しに敏感に反応して表情が天と地ほど変わります。

画像は次のアドレスから借用しました http://ezakipiano.web.fc2.com/gakkioniki.html

会話の声が屋外の爽やかなヌケの良い声に比べ篭っているとしたら、ミッドバスの響が多すぎるのです。

響は二種類の成分から構成されています。

1.壁や天井・床などに楽器の音が何度も々反射を繰り返しながら徐々に減衰する残響音。もちろん限度はありますが、普通の作りの部屋であれば、響き過ぎが原因で音質を害することはありません。

2.楽器の音の音圧で壁や天井が押し引きされて揺れ、楽器の音がなくなったにもかかわらず板固有の共振周波数の揺れが持続する振動音。

多くの壁材の共振周波数がミッドバスであるため、防振対策が施されていない壁面が多ければブーミングの原因になります。

<LVパネルのミッドバス吸音特性>


 

 去年のデモパネルをお借りした時の音が蘇りました。
サイドパネルをリスナー寄りに持ってくると、音楽に包まれる心地よさです。

 しかし、低域に関してはボワボワ締まらない音で、まだ長時間聴くには疲れてしまう感じです。

 ブーミング振動
 滾々と情念が湧き出るボーカル。グルーブ感タップリのジャズ。それら音楽鑑賞の醍醐味がリスナーに伝わるのを拒んでしまうのが壁振動が原因のブーミング。

 ニ本の柱で挟まれた半間または一間サイズの石膏ボードなどの壁材が、ウーファーの音圧でゆすられて楽器が奏でる音の周波数とは無関係な固有振動周波数で共鳴し、その音が楽器の音に混入する。

 顕著な症状がボーカルの下膨れで、壁の振動音が混ざって下膨れになった楽器の音と下膨れになったボーカルが混濁してしまって、アンサンブルの内声部や楽器の倍音がかき消されてしまう。

 大太鼓振動
 低音障害を起こすもう一つの原因が大太鼓振動。天井一枚・床一枚・壁4枚それぞれが一枚の大きな板として揺れたときに発生する100Hz以下の振動音で、定在波が悪さをする帯域と重なって、ベースやキックドラムの定位を部屋中に広げてしまう。

 細い柱に厚い(強固な)壁板を貼ると発生する確率が高く、発生してしまった太鼓振動を吸音で退治しようとすると、下記残響時間の最適周波数特性のAの部分とのトレードオフが発生する。

<残響時間の最適周波数特性>
低音域の残響時間は中音域比で2.5倍近くまで長くなるのが良いとされている



 事実Aを@のレベルまで引き下げて低域の残響時間をフラットにしてしまうと、五感の全てが心から音楽に浸れる包容力のあるストレスフリーの音場にはなりません。

 壁を作り変える改装が可能であれば、柱の太さに合わせて壁強度を弱くするか、壁板にスリット状の隙間を開けて壁材の裏にも音圧をかければ解決だが、前者はブーミングの原因を作り、後者は遮音性能が大きく犠牲になる。

弱い壁
 既存の部屋を前者で対応するのであれば、柱が4寸(□120mm)で天井高2400mm程度であれば、石膏ボードの下張りにラーチ合板や杉板の重ね張り程度が好成績を生むようだ。

 当然ながらブーミング音が発生して下記グラフの@の膨らみが発生するが、ミッドバスの帯域は残響時間が短かくてかまわない帯域なので、残響音と振動音をひとまとめにしてSVUパネルやLVパネで吸音してしまえばOK。

<ブーミング発生時の残響時間の周波数特性(@は壁などの振動音)>


<SVUパネル>


強い壁
 一方細い柱に頑丈な壁材の組み合わせにすると、壁全体が一枚の振動板になって巨大な太鼓のように振動する。その時発生するのが100Hz以下の振動音。

 大量の大太鼓振動が発生すると対処が非常に難しくなる。理由は振動音と残響音を選択吸音することが不可能なためで、大量の振動音が発生して定在波パネルで吸音すると、残響音も大量に吸音されてしまい、上記残響時間の最適周波数特性のグラフのAの部分(100Hz以下の上昇)がフラットになってしまう弊害が発生する。

 既存の部屋のルームチューンであれば、<サムネール155>と<156(本項)>を参考に、天井や壁を改修して大太鼓振動を減らし、1〜 2枚程度の定在波パネルで超低音の沈み込みを作ってください。

<定在波の吸音 : 画像はSTWF1500(左2枚) STW1500(右)>


<STW1500の低音域吸音特性>


大改築または新築
 大改築であれば壁板にスリット状の隙間を開けて音圧を壁うらにもかけ、隣室の壁材を厚く・重くして遮音を確保すれば良いし、

<オーディオルームの内壁は音通過、外壁で遮音>


<内壁音通過の実施例、SV,STWパネルは壁埋め込み>


 新築であればオーディオルームを2重構造の壁で包んで遮音すれば完璧です。



 そこで突っ張り棒作戦として、天井〜床を2本、壁を1本突っ張り聴きなおしてみると、多少ではあるが低域の引き締まり感を得ました。

<SV1800sp、SV1200ct、SV900サイドパネル、天井〜床の突っ張り棒>


 その後、村田さんにバッソを設置してもらいましたが、これにも驚きです。
空中に浮遊?している感の低域が床に密着し、床が響いています。

ただそれだけのことですが、空中で低域から中域が離れたようで、特に中域〜高域の音がより鮮明になった感じがします。

ここまで来るとこれで満足すると思いきや、先ほどの低域のボワボワ感がより目立ち、気になって仕方ありません。

 そこで、完成して間もないという
定在波パネルを1枚設置しました
とても重いです。
1人では運べません。


 リスニングポジションのリア側に置いて聴いてみます。
先ほどより、重低音に変わりボワボワ感が引き締まった感覚です。
それでも多少のボワボワ感が残っており、さらにもう1枚入れれば改善されるとのことでした。

しかし、重く大きく価格もそれなり(他社のチューニング製品より安価であるのは知ってます。)なので改善策である、天井、壁、床の補強をしてみることにしました。

窓パネル
その前に、カーテンを取り外して窓枠を木材で埋め込んでしまおうと考え、村田さんからアドバイスを頂きながら作ってみました。

窓枠を1枚の板にしてしまうと振動して改悪になるので、短冊状にしたものを並べて振動面積を少なくすること。


 そして、両壁に3度又は片壁に6度の傾斜をつけるのが理想のようですが、日曜大工ではそこまでのスキルがないため、平面にしました。

完成したのが下記の物ですが、ルームチューンに対して吉となれば良いなと思います。見た目はそこまで悪くないので、インテリアとしては成功と言っていいと思いますが。

<窓パネルの製作設置>
短冊状の板を挟む際に、防振フェルトを挟む
フェルトの上から重ねる
ビスで固定
窓枠サイズにピッタリです
はめ込み、固定します

天井裏つっぱり棒
 天井強度を上げるために、屋根裏点検口を取り付けて、天井裏〜2F床下に耐震用つっぱり棒を19か所設置しました。
天井の殆どの部分を突っ張ったため、ブカブカ感は無くなりました。
見た目も点検口のみ、縁も壁紙と同じ白なので目立ちません。

点検口の穴をあけます
設置完了
天井裏へ突っ張ります
楽○市場で購入しました。
点検口は1800円。
突っ張り棒は20本、送料込みで10000円程度。
天井を剥がすことを考えると、かなりローコストです。

床下鋼製束
 今度は床下にもぐり、鋼製束を12本追加しました。
元々、大引に6か所のみだったので、フローリングを叩くとボワンボワンと太鼓のようでした。
しかし、これでも完全に振動を止めるには至らず、ボワンボワンからボンボンと多少の振動が減少したくらいです。

元々の床下状況。
鋼製束を12本追加したらこうなりました。

鋼製束は、ネットショップで1本340円の格安です。全部で4000円弱で済みました。

 今回はルームチューニングで使用したSP、CT、サイド、バッソ、定在波パネルを注文させていただきました。



2年前にこのパネルの存在を知り、昨年デモパネルで自分なりに設置しある程度の効果を実感し、今回さらに村田さんにセッティング&低域の対策のアドバイスをして頂きまして念願のパネル導入となりました。



2014年夏、完成



関東ルームチューンのときにお尋ねしてみたい美しさ満点の仕上がりですね。

<正面>


<正面上部>


<後方>



<後方>
 定在波パネルに蝶番でSV1500を連結してあるので後ろの納戸も健在です。


<左壁面>



<床下> 
構造用合板を当てて突き上げている。これは制振性が期待できそう。


<天井>