無償ルームチューニング 142

-142-
総合サムネイル
TOP サムネイル お買い物 商品スペック お問い合わせ

 東京から長野県上田市に引っ越して6年になります。吉祥寺のメグのイベント(7月28日)のついでに、東京にいた頃いつも入り浸っていた友人宅に寄ってきました。

 中音ホーンによる直進音源と 「Wasin/和心」の組み合わせがどのような音場を作るのか、それを確かめるためにです。

 この部屋は天井が折板(金属の板)で、フローリングの床との間にフラッターエコーがあり、天井サイズに合わせて作った巨大な吸音スカラホール(4倍サイズ)が二つ付いています。拡散スカラホールも付いていましたが外されていました。拡散はなくてもかまわないが吸音は解像度アップに必須とのことでした。

 昨日のメグ(7月28日/No20 メグ・ジャズ・オーディオ愛好会【若手 オーディオ評論家大集合】)もホーンスピーカーだったのですが、Wasin の設置スペースが見あたらなくてピアノの上に Wasin を乗せ、天井にぶつかりそうな高さでの試聴であったたことと、スピーカーの外側に座ったため、音場の検証は不可能でした。


・No20 メグ・ジャズ・オーディオ愛好会【若手 オーディオ評論家大集合】
  http://www.youtube.com/watch?v=dSzhttYMwWs


 一般にオーディオ用のアクセサリーは音質の変化を楽しむ要素が強いように思います。一方 Wasin は録音現場の立体空間を再現するためのアイテムです。

 スピーカーセンターの Wasin に加え、スピーカーを囲む位置にSV1800sp、左右壁際に SV900 を置いて音場を再現すると、演奏ステージの最前列にボーカルがしっかりした佇まいで定位し、その後方に楽器個々の佇まいが定位して、ステージの奥行きが見通せるサウンドステージが再現されます。

 残念ながら YouTube のライブ音では、奥行き方向、高さ方向などの立体感や個々の楽器の佇まいを再現する能力がないので、Wasin 本来の姿は見えにくいと思います。

 YouTube のコメントの中に 「身体を動かして聴いている方が多かったのでリズム感が出てきたのでは」 との発言がありますので、そのあたりから Wasin の効果をイメージしてください。

 ところで、YouTube でも Wasin の有無により高音域のエネルギーバランスが変わります。オーディオ用のスピーカーで聴くと更にハッキリ分かるよ、とメールが届いています。

 その高音域の水平拡散量をコントロールしているのが支柱側面に埋め込んだ断面が□6mm のハードメープルの 2本のリブで、デザイン上の飾りのように見えてしまう琥珀色のラインですが、高音域の音色の変化はこのリブの効果です。

 Wasin 本体は乾湿による狂いが最も少ない材であるウオルナット(クルミ)の無垢材を切り出して加工したものですが、支柱状に切り出した時点で若干の曲がりが出るものがあります。

 仕上がり寸法 +3mm で製材するので、仕上げ加工で整形が可能ですが、整形したものは何れ狂う、とのことで、1ロットの材料から出来上がる完成品の数が不定です。初回ロットは受注量と生産量がほぼ同数で胸をなで下ろしたところです。

 初回が地震の影響で遅れ、その余波が 2nd ロットに及んでいますが、今週末(8月4日)から製品が上がり始めます。

 Wasin はフロントに直立する 2本の支柱の角度を2度の範囲で微調整することでセンターに定位する楽器やボーカルのフォーカスを大きく変化させることができます。この機能を使ってリスナーの好みを反映させるチューニングが可能です。

 Wasin は太い支柱4本、細い支柱2本の計6本の支柱で構成されています。細い支柱はフロントの支柱に隠れる位置にあってリスニングポイントからは見えません。

 メインのリスナーには全く恩恵を与えない細い支柱は、 サブのリスナーのためのもので、リスニングポイントをリスニングエリアに広げて部屋中をスウィートスポットにするための重要なアイテムです。

 リスニングポイントから横にスライドすると、それまで隠れていた細い支柱の琥珀色のリブが見えるようになり、移動量が増えるにつれて反射音が複雑に絡み合うようになって増え、スウィートスポットと同じ音場が部屋中で維持されます。

 さてアルティックによる検証ですが、左側面にオーディオ機器が並び、右側面に本棚や衝立が並ぶ環境が功を奏したのでしょう、Wasin 一個でルームチューンOKとなりました。従来のセンターパネル比で、ステージの佇まいがより自然なところが Wasin のメリットです。

 しかしオーディオ機器以外の反射物がゼロという部屋の場合、スピーカーの後ろに SV1800sp などのパネルが欲しいですね。_spパネルを置くと、ステージの拡がりと奥行きに深みが加わり、低音の沈み込みが深くなります。

 メグの試聴会でも、村井裕弥さんや田中伊佐資さん(スピーカーの正面真ん中で試聴)の評価はOKでしたから、Wasin 単体とホーンスピーカーの組み合わせは相性が良いようです。 しかし音の拡がりに乏しいホーンでこの結果は理屈に合いません。・・ ということで、ホーンスピーカーと Wasin の相性についての結論は先送りです。

 Wasin はスピーカーのバッフル面より若干後退した位置が最適設置ポイントになることが多いので、前後に移動して最適ポイントを見つける必要があります。上記写真はタンノイの最適位置。30cmくらい手前にアルティックの最適ポイントがありました。

 和心は軽いので片手で持ち上がります。しかし支柱一本で持ち上げるとベースとの接合部に大きな力が加わってダメージを受ける可能性があります、2本の支柱を注意深く持って真上に引き上げて下さい。