無償ルームチューニング 121

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 開口部の大きな中音ホーンは、それ自体の奥行きでボーカルに天然の佇まいを醸してしまう。音が出た瞬間スーッと気持ちが引き込まれ、ここまで立体感が出ていればルームチューンは不要でしょ、と思ってしまうのだが、そうは問屋が卸さなかった。

 オーディオ専用ルームとしてがっちり作った部屋特有の残響音の癖が耳につき始め、オーナーの悩みの原因が部屋の個性によるものだと理解できる。この個性はスピーカーやアンプなどの電気系で埋め合わせることが不可能だから厄介だ。

1.木造だがフロントの壁面ががっちり作られており、RCのa,b に相当する500〜100Hzの残響音が多い。
2.木造固有の壁振動により、木造のa に相当する200Hz前後の残響(振動)音が多い。
3.100Hz以下の残響はRC&木造の中間レベル。


RC躯体打ちっ放しの部屋の残響特性
a.低域上昇ポイント500Hz
 低域の上昇が500Hzから始まり、再生音に厚みが付き過ぎて音楽の躍動感をスポイルする。

b.ミッドバスの残響時間が長過ぎる
 石にぶつかりながら減衰する正真正銘の残響音なので不快な音ではないが、ミッドバスに厚みが付き過ぎてオーディオ的な透明度が低くなる。

c.超低音の残響時間が長過ぎる
 不快と感じる可能性がある圧迫感の要因の一つだが、中音域の残響時間が長くて音楽の透明度が低ければマスキングされて無害。しかしオーディオ的な透明度を追求してミッドバスの残響時間が適量になると超低音だけ遊離して鳴り出す厄介者。
木造躯体に石膏ボード内装の部屋の残響特性
a.ミッドバスの(残響+振動)時間が長過ぎる
 100Hz以下の低音で揺すられた石膏ボードが200Hz前後の震動音を出す。真の残響音ではない振動音でミッドバスがだぶだぶして不快感山盛りのボンツキサウンド音が発生する。

b.低音(60〜80Hz)の残響時間が短い
 低音は聴覚の感度が低いためでしょう、実音に加え残響音がしばらく続かないと豊かな低音と感じることができない。

 60〜80Hzの残響音が低音のヌケと厚みの両立に不可欠。石膏ボードでは、強度・質量共に小さいので、ボードが振動して低音が熱エネルギーに変換されてしまい、低音不足に陥る。

c.超低音の残響時間が短か過ぎる
 壁質量が低いので40Hz以下の残響音が大幅に不足する。地を這う超低音を体感することができない。

 中高音域の解像度・透明度が素晴らしいので、RC系と木造系の特性が重なってふくらむミッドバスのカブリがとても残念だと思ってしまう再生音です。

 ミッドバスを吸音するために多数のLVパネルが必要となり、2セットのLV1800spのみ標準位置に置いてサウンドステージの奥行きを深め、ミッドバスの吸音に必要なその他のパネルは手前に並べました(LVパネルのミッドバス吸音特性は置き場所を選ばない)

 結果は上々で、「長年の試行錯誤にピリオドが打てそうだ」、とオーナーのご意見です。