無償ルームチューニング 117

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これは難しいぞ・・、正直な第一印象でした。

 その理由は・・

1.左オープン、右ガラス戸で、左右からの一次反射音が非対称
 
スピーカーはJBLのスタジオモニターです。スタジオモニターらしく解像度だけを追求するのであれば左右からの反射音のアンバランスなど配慮はいりません、アンバランスだって解像度は得られます。

 ・・・でも、楽しくなければ音楽じゃない、ボーカルがクリアに浮かび上がり、人肌の温もりをもって歌ってくれなければつまらない、と思うのであれば、左右対称の反射音は必須の要件です。ここで言う対称とは視覚的な対称ではなく、反射音のエネルギー量の対称性です。


 左右からの反射音に差があると、サウンドステージの奥行きが浅く平べったいものになってしまい、楽器の重なりがごちゃごちゃして音色の微妙なニュアンスが見えなくなります。ボーカルもヒラメ顔の様になってしまい、緻密で潤いのあるボーカルは望むべくもありません。

 左右にLVまたはSVパネルを置いて、サウンドステージの奥行きが深くなる位置を選ぶとヒラメ顔は解消しますが、リビング兼用のオーディオルームでは奥様の了解が得られなければ絵に描いたもちの如しです。

 左に900と600mm、右に600mmのLVパネルで大幅な改善が得られましたから、倒れ止めの足を付けて普段は片付けることにすれば奥様の了解が得られるのでは・・・。

 

 左右からの反射音にエネルギー量の差があると、サウンドステージの奥行きが浅くなり、個々の楽器やボーカルの佇まいが平面的になって音楽の浸透力・躍動感などが確実に減退します。

 平面壁に比べLV&SVパネルは拡散反射音のエネルギー量が格段に多く、このパネルを左右に置けば、この種のアンバランスは拡散音に紛れてしまって気にならない程度にかき消されてしまいます。

 デモンストレーションですから結果を出すべく居間であることに目をつぶって左右にLV900と600を置きました。

 拡散一次反射音が増えたことで部屋の非対称が覆い隠され、スピーカーパネル(LV1800sp相当)とセンターパネル(LV1200ct相当×2)の効果が最大限に発揮されるようになり、バッフル面にへばりついていた奥行きのないスタジオモニター的な音が一気に前後に展開し、ルームチューンの有効性を体感していただけました。

楽器の実音をフロント、残響音を背後に配置すると、サウンドステージが浮かび上がる

 ステージ上の楽器の前後関係まで分かる佇まいのはっきりしたサウンドステージを再現するコツは、ボーカルや楽器の実音から、残響音の成分を分離抽出して実音の背景に定位させることです。

 LVパネルを部屋のコーナーにはめ込むだけでサウンドステージが再現される理由は、LV(またはSV)パネルは、実音の定位にはほぼ感知せず、残響音のみをパネル表面に引き寄せる特性に由来します。

 ホーン系のスピーカーはドーム型に比べると指向特性が劣り、音源に含まれる残響音の成分を実音と同じ位置に重ねて定位させてしまう欠点があります。実音が残響音をかき消してしまい、残響音の有効利用ができないのです。

 サウンドステージの再現がオーディオ再生の主流になるにつれてホーンがホームオーディオの市場から撤退し、ドームへの流れが加速された原因と推測されます。

 ホーンスピーカーとLVまたはSVパネルを組み合わせると、ホーンのもつフロントへの展開力を残したまま拡散パネルによるサウンドステージが背後に加わって、ドームへの傾斜を止めるに十分なポテンシャルを感じ取ることができます。

 ホーンの押し出し感、音を浴びる爽快感が、遠い昔オーディオに心を奪われてしまった理由かもしれない、と心当たりがある団塊世帯のお父さんも多いと思いますが、私もその一人です。オーディオ再生にとって、この音を浴びる感覚がライブハウスのかぶりつきを思い起こさせてくれる大事な要素で、最近のハイエンド・スピーカーに欠けている要素ではないでしょうか?

 巨大PAによるライブコンサートの洗礼を受けてオーディオなんて陳腐で聴いていられない、と思っているかもしれない若年層に、かぶりつきのインパクトを与えてオーディオ人口を増やしてみたいですね。

 その答えがホーンスピーカーの狭い指向特性から僅かに漏れる残響音をLVパネルで増幅してサウンドステージを再現する方法であろうと確信しています。

 ホーンスピーカーは発音位置が前後に凸凹するためボーカルなどの佇まいが欠如するというウイークポイントがありました。そのウイークポイントも直線位相のデジタル・チャンデバで解決され、ピンポイントで密度の濃い生音のエネルギー感たっぷりのホーンシステムが復活できる条件は揃いすぎるほど十二分に揃っています。

 部屋がライブ(最適残響時間に近い)であることも、ホーンシステムとサウンドステージを両立させるため大切な要件です。その条件に当てはまる部屋であったことが予測に反してルームチューンが非常に簡単であった要因です。

 今年こそ完成させるデモルームでかぶりつきのオーディオシステムを完成させようと目論んでいます。




2.間口が広い


 オーディオルームの間口は2〜2.5間が使いやすいのですが、本件は3間だと思います。単に広いだけならSPを囲むようにLVパネルを置く、部屋のコーナーに置く、の二つを試して結果の良いほうを選べば良いのですが、キャビネットが複数あると、一筋縄ではいかないかも? と構えてしまいます。

 伺ったところ、外側のキャビネットはウーファーのみを使っているとのこと。部屋のコーナーにLVパネルを設置したとき、内側のSPにその効果が及ぶのか?と心配になりますが、結果オーライでした。

 普段と少しも変わらない効果を表してくれました。1.5間(6畳の短辺)〜3間まで、標準設置でOKとの確認が取れました。

 スタジオモニターは一般に無表情に鳴ることが多いのですが(表情が豊か過ぎると録音の上がりが悪くなってしまうので、無表情でかまわないのですが)、過去の経験の無表情はスタジオモニターの特性ではなく、デッドなモニタールームの成せる業であったのだ、と痛感させられました。最後に聴かせ頂いた金子由香利さんのシャンソン、心に沁みる素晴らしい表現力で歌ってくれました。

 ルームチューンで印象に残ったことなど、各ページに簡単なコメントを付けることにしました。コメントは筆者の印象であり勘違いや間違いが含まれる可能性がございます。間違いのご指摘やルームチューンの感想など、ご意見をお寄せください。 mur@salogic.com  村田宛。 本稿の続きに掲載させていただきます。

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