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● 可能性は秘めているが、重大な欠陥があるように聴こえた 1970年代竣工の市営住宅と伺ったと思う。SPのあるコーナーはRCに直張りの壁紙で、後ろに洩れた音楽のエッセンスも100%リスナーにキックバックされる。類稀なポテンシャルを秘めたオーディオルーム。 そして襖や硝子で低音が外に適度に漏れる構造もブーミー感の抑制に大きく寄与している。エレベータの無い5Fのオーディオルームであった。 可能性は極めて高いが、音は・・と言うと、重大な欠陥があるように当初聴こえた。「この音だと、音楽のジャンルの好き嫌い以前に、この装置で良い音と感じる曲しか聴かなくなってしまうのではないですか?」 と不躾な質問をしてしまった。 「アイルランドの荒涼とした大自然を壮大なスケールで描いた名画のよう・・」と評されるエンヤの世界に全ての音楽が陥ってしまうのである。 録音の異なる全てのCDで同じ音が出る?? 正しくチューンされたオーディオ機器・オーディオルームとは言い難い。 一時間ほど聴き込んでから判明したことだが、パワーアンプの300Bが原因と分かって一安心。 ![]() 中音域以上の帯域は歪みとも艶ともとれる300B独特の粒立ちのある解像度が垣間見え、スペース感のある低音域で包み込んで全ての音楽をエンヤの世界に引きずり込んでしまう。用途がBGMであればベストのチューンと言えないこともないが、ピュアオーディオでは情報量が少なすぎて殺風景と感じてしまう。 高音楽器が宙に漂うところは音場の再現性が良いと解釈できないこともないが、ミッドバス以下の低音域はいただけない。所在不明な模糊としたベースが部屋中から聴こえる超スペースサウンドです。 「オーナーの好みの音に違いない、LVパネルで定位を出してしまうと好みから外れてしまうだろう。パネルを持って5階まで上がるのだって容易ではない・・・」 等々思いを巡らして、ルームチューンを固辞したのだが説得できず、最小量のLVパネルを担ぎ上げることになった。 ● LVパネルで解像度がアップしたところでオーナーの好みの察しがついた スピーカーがフリースタンディングの配置で、部屋の素性が良いとき、本件のような最小構成のパネルチューンが成立します。フロントコーナーにLV1800sp(デモパネルなのでLV600spの3段積み)、左右の一次反射付近にLV900(LV600とLV300の2段積み)。 パネルの効果でベースが姿を現し、定位が明確になったところでオーナーの好みが明らかになりました。楽器やボーカルの定位と佇まいが確立された上で、エンヤの世界が欲しかったようです。 パネルの効果で一つ一つの楽器の音がクリアになって、楽器の輪郭に纏わり着く微妙な艶が高調波歪によるビリツキ音であることが明らかになりました。300Bの動作点不良(バイアス電流不足)でした。300Bを別銘柄に交換して音源自身の解像度も上がり一件落着、低音楽器も鮮明な定位になりました。 コンクリートで、低域が適度に外にこぼれる部屋は、少量の拡散パネルで最適な(低音域の)音場が出来るはず。と思っていましたが、初めて検証ができました。
サーロジックさんの言われた吸音材をなくす。カーテンはずし簾が良いとのアドバイスは的を得ていて納得し非常に好結果でした。又、東芝EMIの録音ソースは音色変化していて、エンジニアはさすが良く音楽性が分かっていると思っておりましたので当日は期待して楽しみにしておりました。しかしながら日本的、モニター的音質とは好みが合わず、また音色の横変化が向上しなかったのは残念でした。又、試聴を固辞したのに無理やり試聴させられたとありますがこちらとすればあまり良い気分ではありません。やんわりと今のままの方がよろしいのではと言われたと記憶しております。 お話では(中高域の帯域は拡散している)との事でしたが実際には吸音されていました。私の周りの知り合いにも忠告されましたが、データで最適な数値にしても実際に良い音になる事とは別問題だと言ってました。それに関しては無視も否定もできないとは思っております。人それぞれの好みも絡んできますし、オーディオとは不完全なものだけにだからこそ趣味なのですし致し方ないのかも知れません。 残念ながら他社のルームチューニングが気に入り選択と相成りました。 |