マルチウエイ・スピーカーシステムの位相の合わせ方


1. スピーカーの配置でクロスポイントの位相を合わせる


■ クロス周波数 : 500Hzでは
その1波長は
■ 500Hzの波長 : 340m(音速)÷500=68cm
です。

最初にドライバーとウーファーが重なる位置付近を中心に音象定位の良いところを探します、
その前後68cmの倍数の位置にも音象が定位するところが必ずあります。

左右同時に合わせるのは難しいので、最初にLch、次にRchを合わせます。
耳で合わせるのですから、左右で多少位置がずれることもありますが、
複数回トライすることで合わせ込んでください。

a,b,c,点の中間位置が、最も音象定位が悪く、奥行き感の出ないポイント
であることも参考にしながら
正確な a点、b点、c点、を選び出し、左右のポイントを揃えて下さい。

この方法によれば、デバイダーの遮断特性(6dB,12dB,18dBなど)
にかかわらず位相を合わせることができます。


そのなかから視覚的にバランスの良い位置を選び、スコーカーを固定します。



もし皆目見当が付かないようであれば、それは部屋に問題があります。
低音に定在波、中音にフラッター・エコーなどがあると、a,b,c,点が見つからない
ことがあります。そのときは、最初に部屋を直してください。

弊社の製品であれば、LV1200、StainVeil1200が有効です。

b点はウーファーとドライバーが重なる位置とは限りません、
低音と中音のダイヤフラムの反応速度の差(ユニット固有の位相特性)、
ローパスとハイパスのデバイダーの位相回転などにより、
想像以上の誤差が出ます、先入観に囚われずに耳で探してください。


■スコーカーとツイーターの位置合わせは、波長が短すぎるため
明確な a点、 b点、 c点 を探しだすことは不可能と思います。
まずダイアフラムの位置を合わせ、聴感で追い込んでください。



2. LCネットワークのコアのギャップでクロスポイントの位相を合わせる
カットコアなど、鉄心に接合部のあるコアを使い、そのギャップを調整すると
位相の微調整ができます。

赤坂工芸の石渡さんがその道の名人で、
私が東芝EMIのスタジオの設計を担当した折に、その名人芸を見せてもらいました。
ギャップの微調整で双眼鏡のピントを調製すかのごとく音象定位が変化します。
1.の相対距離による調製と、全く同じ効果です。

スコーカーがエンクロージュアに固定されていて、配置の前後が不可能なシステムでも
位相整合が可能です。
可能か否か未確認ですが、赤坂工芸に相談されると良いでしょう。



3. 位相補正回路によりクロスポイントの位相を合わせる
LCによるパッシブ型、CRによるアクティブ型デバイダーでは、
位相補正回路を追加して調製します。
コア・ギャップの調製で合わせるのなら、耳で聞きながらのカット&トライ
が可能ですが、補正回路による方法は時間や位相の測定機が必須で、
アマチュアの手に負えるものではありません。