デジタルプリアンプ完成の暁には、このセットで評価させていただこう、
と思っているほど、音楽性とオーディオ的クォリティーが整っているシステム |
関西出張の通過点に位置するオーディオルームなので、幾度となくお尋ねして、その進化の過程を聴かせていただいているが、いよいよ完成の域に到達したようである。
つい最近までオーディオルームの測定に使っていたAudioPrecision の一部の機能が不具合になり測定器を更新したのだが、ハードウエアが「パソコン」と「マイクロフォン」と「マイクスタンド」だけの軽装備となったのを機会に、早速持参して現況の測定と相成った。
非常に完成度の高いシステムであるが、サブウーファ(D.Cube2TX)のバランスがスパッと決まらない、と言う問題点が残っている。多数のStainVeil
パネルにより、木造の普通の部屋を利用したオーディオルームの問題点である壁や床の振動は十分にマスクされているのであるが、やはり超低音に手抜かりが残っていた。超低音の振る舞いを耳だけに頼って鎮めるのはかなり難しい。測定により原因が明らかになった。 |

伝送特性の測定データがリスニングポイントのみであるので断定はできないが、100〜125Hzは定在波によるディップ、40Hzは壁または床の振動によるピークと思われる(測定ポイントの前後によりレベルが変動すれば定在波。変動が小さければ部屋鳴り)。ピンクノイズによる測定、インパルスによる測定、共に似通った伝送特性である。
測定はサブウーファ(D.Cube2TX)を作動させて行ったが 16Hzのレベルが低い、これはサブウーファのレベルが不足している証拠。但し、壁・床振動が16Hzを吸音している可能性もあるので追加測定が必要。
この部屋で、サブウーファのレベルが決めにくいのは40Hzのピークが原因。40Hzのピークに匹敵するだけサブウーファのレベルを上げれば低音過多となり、中音域のレベルにサブウーファを合わせれば40Hzにマスクされてサブウーファが聴こえずらくなるようだ。振動ピックアップを使い、振動部分を特定すれば更なる音質アップの手が打てそうである。しかし、これ以上の音質アップが必要とは到底思えないクォリティーでもあるのだが・・・。 |
Lchの伝送特性(ピンクノイズ&FFT) |
Rchの伝送特性(ピンクノイズ&FFT) |
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Lch伝送特性
インパルス応答 |
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Rch伝送特性
インパルス応答 |
残響時間の測定に使う正規の音源は部屋のコーナーに向けたスピーカーであるが、この測定ではオーディオセットのスピーカーを使っている。従って厳密な値ではない。しかしオーディオルームのような小さな空間では
500Hz以下は部屋の共振モードの帯域であり、残響時間測定の大前提である拡散音場が成り立っていないのであるから、誤差範囲と考えて良いだろう。
ソフトウエアが 16Hzまでの残響時間を提示しているが、低音域の値は共振の減衰時間である。500Hz以下については
「エコータイムパターン」 と 「残響エネルギー曲線」 のグラフも参考に、測定者の感性で、その部屋に発生している問題点を見抜く必要がある。
さて、本件では左右のスピーカーを個別に使い、Lch・Rchの2回の測定を行った。壁鳴り、または定在波があると思われる帯域の残響時間が左右でバラつく様子が観測された。低音が壁を突き抜ける可能性がある木造の部屋では、100Hz以下の測定値は定在波よりも壁振動の影響を多く受けると思われるが、それらしい結果も散見される。
信頼度が高い 500Hz以上の帯域の残響時間は 0.2秒前後で最適残響時間よりかなり短い、しかしStainVeil
パネルによる初期反射音が増えた結果、音楽の躍動感と高い解像度が両立した音場になっている。コンサートホールの音質評価の尺度の延長線で導き出されたオーディオルームの最適残響時間は、オーディオルームの音質評価の絶対的な尺度にはなりえないようである。
● 100Hz以下は定在波や壁面振動の影響がありデータの信頼度低い。左右でバラつきもあるので案分の数値である。
周波数 |
16 |
20 |
25 |
31.5 |
40 |
50 |
63 |
80 |
100 |
125 |
160 |
200 |
250 |
残響時間 |
? |
? |
? |
0.3 |
0.65 |
0.6 |
0.42 |
0.35 |
0.44 |
0.32 |
0.32 |
0.32 |
0.3 |
周波数 |
315 |
400 |
500 |
630 |
800 |
1k |
1.25k |
1.6k |
2k |
2.5k |
3.15k |
4k |
5k |
残響時間 |
0.28 |
0.22 |
0.18 |
0.16 |
0.16 |
0.16 |
0.18 |
0.21 |
0.22 |
0.22 |
0.23 |
0.21 |
0.21 |
周波数 |
6.3k |
8k |
10k |
12.5k |
16k |
20k |
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残響時間 |
0.21 |
0.2 |
0.22 |
0.22 |
0.22 |
0.23 |
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Lch
500Hz
残響時間
0.18sec |
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Rch
500Hz
残響時間
0.18sec
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●100Hz以下と125Hz以上で時間軸のスケールが異なります。●左右の測定で残響時間が大きく異なる帯域は、周辺の壁鳴りの影響が大きいと思われる。●残響レベルの下降線がうねっているものは、定在波・フラッターエコー・壁振動の影響あり。●本件以外の部屋のデータも合わせて別ページで詳細な検討をするので、個々のグラフの説明は省きます。
残響時間 16Hz-Lch ? |
残響時間 16Hz-Rch ? |
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残響時間 20Hz-Lch ? |
残響時間 20Hz-Rch ? |
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残響時間 25Hz-Lch ? |
残響時間 25Hz-Rch ? |
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残響時間 31.5Hz 0.3sec |
残響時間 31.5Hz 0.36
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残響時間 40Hz 0.65sec |
残響時間 40Hz 0.65sec |
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残響時間 50Hz 0.6sec |
残響時間 50Hz ? |
 |
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残響時間 63Hz 0.21sec ? |
残響時間 63Hz 0.42sec ? |
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 |
残響時間 80Hz 0.35sec |
残響時間 80Hz 0.35sec |
 |
 |
残響時間 100Hz ? |
残響時間 100Hz 0.44sec |
 |
 |
残響時間 125Hz 0.32sec |
残響時間 125Hz ?
|
 |
 |
残響時間 160Hz 0.35sec |
残響時間 160Hz 0.3sec |
 |
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残響時間 200Hz 0.35sec |
残響時間 200Hz 0.31sec |
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残響時間 250Hz 0.25sec |
残響時間 250Hz 0.31sec |
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残響時間 315Hz 0.28sec |
残響時間 315Hz 0.28sec |
 |
 |
残響時間 400Hz ? |
残響時間 400Hz 0.22sec |
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残響時間 500Hz 0.18sec |
残響時間 500Hz 0.18sec |
 |
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残響時間 630Hz 0.16sec |
残響時間 630Hz 0.16sec |
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残響時間 800Hz 0.15sec |
残響時間 800Hz 0.16sec |
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 |
残響時間 1000Hz 0.16sec |
残響時間 1000Hz 0.16sec |
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残響時間 1250Hz 0.18sec |
残響時間 1250Hz 0.18sec |
 |
 |
残響時間 1600Hz 0.21sec |
残響時間 1600Hz 0.21sec |
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 |
残響時間 2000Hz 0.22sec |
残響時間 2000Hz 0.22sec |
 |
 |
残響時間 2500Hz 0.21sec |
残響時間 2500Hz 0.22sec |
 |
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残響時間 3150Hz 0.22sec |
残響時間 3150Hz 0.24sec |
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 |
残響時間 4000Hz 0.21sec |
残響時間 4000Hz 0.21sec |
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残響時間 5000Hz 0.21sec |
残響時間 5000Hz 0.21sec |
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残響時間 6300Hz 0.21sec |
残響時間 6300Hz 0.21sec |
 |
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残響時間 8000Hz 0.21sec |
残響時間 8000Hz 0.19sec |
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残響時間 10000Hz 0.22sec |
残響時間 10000Hz 0.22sec |
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残響時間 12500Hz 0.21sec |
残響時間 12500Hz 0.22sec |
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残響時間 16000Hz 0.22sec |
残響時間 16000Hz 0.22sec |
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残響時間 20000Hz 0.23sec |
残響時間 20000Hz 0.23sec |
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