新築のオーディオルーム施工例
最終アップデート:10/09/19 解説追加
07/02/25 測定データ追加
○ 躯体設計施工 : 静岡の設計事務所
○ 遮音設計施工 : 静岡の設計事務所
○ 調音設計   : サーロジック
○ 調音施工   : 静岡の設計事務所
○ ルームチューン: サーロジック


■立面図■ 詳細図
室容積 : 4040W×6075D×3000H = 73.629u
最適残響時間 : 0.53秒


 平行壁の普通の部屋に仕上がった後、オーディオルームに必要な改装を追加。詳細図から分かる通り、”1.遮音不足”、”2.床・壁・天井の強度不足”、”3.フラッターエコー未対策”などが要改善項目です。

1.遮音対策 
 別荘地で隣りとの距離が十分あるので現状容認。

2.強度対策 
 床は大掛かりな改装になるし、機材が入れば重しになって揺れにくくなるので現状容認。壁は強度アップと反射音の音質改善の目的で、プラスター(石膏)ボード2層貼りの上に針葉樹合板を一層追加。

3.フラッターエコー対策 
 天井〜床は天井を作り直すことにして、6度以上の傾斜を設ける。左壁〜右壁はGalleryMonoパネルを内貼りして3度傾いた壁とする(左右合わせて6度)。前壁〜後壁は壁面にSVパネルを設置して平行面を減らす。

■傾斜天井に改装■
 天井の周囲に平面 300mm を残し(天井裏に配管、電気配線があり、全面撤去不可能)、天井の梁を利用した鋸歯状の斜め天井とする。

 天井材は壁と同じ3層構造とする(PB12.5mm+PB12.5mm+針葉樹合板12mm)。

 「遮音性能より天井を高くすることを優先する」とのご希望で、傾斜天板は2階台の梁に直付け、2階居室への遮音性能は低い。

■壁に3度傾斜のパネルを設置■
フラッター消去、壁強度アップ、残響音の高音域増強(”プラスター+壁紙”比)の効果があり。


■平面図■ 17.5畳 拡大図


■周囲300mm残して水平天井を切除


■ 天井は針葉樹合板で鋸歯状に傾斜を付けた(予算が許せばバーチ合板で仕上げたい)。
■ 壁は石膏ボードに針葉樹合板を重ね貼りし、上側2/3にGallery-monoパネルをビス止め(Gallery monoパネルもシナランバー仕様で軟らかめ、予算が許せばバーチ合板で仕上げたい)。


吸音&拡散処理のない空間の残響時間を測定

 上記写真の状態で躯体に係わる工事は終了。職人さん撤収後、部屋を空っぽにして、フラッターレス・エリア(天井側/Mic高さ1800mm)とフラッター・エリア(床側/Mic高さ600mm)の残響時間を測定。

・ 床面積 : 17.5畳
・ 室容積 : 4040W×6075D×3000H = 73.629u
最適残響時間 : 0.53秒
周波数 16Hz 20Hz 25Hz 31.5Hz 40Hz 50Hz 63Hz 80Hz 100Hz 125Hz 160Hz
フラッターレス・エリア、h:1800mm -sec -sec -sec -sec -sec 1.40 0.94 0.81 0.70 0.80 0.83
フラッター・エリアh:600mm -sec -sec -sec -sec -sec 1.79 1.48 1.09 0.84 0.91 1.07
周波数 200Hz 250Hz 315Hz 400Hz 500Hz 630Hz 800Hz 1k 1.25k 1.6k 2k
フラッターレス・エリア、h:1800mm 0.85 0.88 1.05 1.17 1.07 1.05 0.97 0.94 1.00 1.06 1.10
フラッター・エリアh:600mm 1.13 1.20 1.43 1.34 1.39 1.28 1.19 1.16 1.22 1.33 1.36
周波数 2.5k 3.15k 4k 5k 6.3k 8k 10k 12.5k 16k 20k
フラッターレス・エリア、h:1800mm 1.11 1.12 1.09 1.00 0.89 0.76 0.61 0.45 0.34 0.26 -
フラッター・エリアh:600mm 1.38 1.37 1.30 1.19 1.06 0.88 0.68 0.51 0.37 0.28 -

フラッターレス・エリア : 壁に斜めパネル(Gallery-mono)がある室空間上部のエリア
フラッターレス・エリアの実測残響データ
フラッター有り・エリア : 壁に斜めパネルが無い室空間下部の床に近いエリア
フラッター・エリアの実測残響データ

 フラッター・エリアに比べ、フラッターレス・エリアの残響時間は20〜30%短い(フラッターの回り込みがあるので、完全フラッターレスであれば更に差が開くはず)。平行壁が大量のフラッターエコーを発生することを示している。

 フラッターは直方体の部屋特有の癇に障る音の源泉であり、SPのバッフル平面(二次元平面)に凡ての楽器を集めてしまう特性がある。ボーカリストが生息しているような佇まいを醸し出す三次元音場とは正反対の音場。




水平拡散処理をした空間の残響時間を測定

SPと最小限のアンプ類を設置


壁面下部の平行面が見えなくなる量の機器類を設置(フラッターレスになった)
 

床面積 : 17.5畳
室容積 : 4040W×6075D×3000H = 73.629u
最適残響時間 : 0.53秒

周波数 16Hz 20Hz 25Hz 31.5Hz 40Hz 50Hz 63Hz 80Hz 100Hz 125Hz 160Hz
SPとアンプ設置 -sec 1.90 1.80 1.05 1.00 0.81 0.71 0.65 0.60 0.44 0.52
機材多数設置 1.7sec 1.6 1.5 0.74 0.61 0.60 0.51 0.52 0.50 0.45 0.55
周波数 200Hz 250Hz 315Hz 400Hz 500Hz 630Hz 800Hz 1k 1.25k 1.6k 2k
SPとアンプ設置 0.47sec 0.52 0.54 0.58 0.54 0.53 0.56 0.61 0.65 0.68 0.74
機材多数設置 0.42 0.34 0.38 0.40 0.36 0.39 0.39 0.43 0.49 0.51 0.52
周波数 2.5k 3.15k 4k 5k 6.3k 8k 10k 12.5k 16k 20k
SPとアンプ設置 0.76sec 0.75 0.73 0.68 0.59 0.53 0.46 0.36 0.30 0.24   
機材多数設置 0.55 0.54 0.53 0.52 0.50 0.49 0.46 0.39 0.36 0.31  

● SPと最小限のアンプ類を設置したときの実測残響データ
● 機材が壁を覆うように設置された常用時(フラッターレス)の実測残響データ


 17.5畳の壁面が総て埋まるほどの量の往年の名機がずらりと並んでいる。プロ機器が多いのでキャビネットは大半が鉄板仕上げで、残響の実測データの各所に鉄板の共振と思われる不自然な曲がりが表れている。機器類を半分くらいに整理できればちょうど最適残響時間に乗ると思うのですが・・・、オーナーさんご一考を・・・。

 中高音域の積極的な吸音処理ゼロの部屋だが、壁や天井の板材が高音域を吸音するので中高音域の残響時間は最適値を下回っている。オーディオルームにカーテンなどの高音域の吸音材は不要であることを示している。

 4kHz以上の帯域の残響時間が短いが、SVパネルの初期反射音に高音成分が多いので残響音の高域不足を感じることはない。

適切な設計をした木造のオーディオルームの場合、吸音が必要な帯域はミッドバスだけ

 木で内装したオーディオルームはフラッターエコーが無ければ残響音が最適残響時間を超えることは非常に稀で、越えたとしても実害が出るレベルにはなりません。

 不具合の可能性がある帯域は板材の共振現象が関与する400Hz以下に限られ、多くのケースで壁材の振動音である125〜250Hzの吸音が必要になります。


■調整完了■


●フラッター有りのエリアの残響特性 -O-O-O-O-
 壁の上部に背丈1800mmのGallery-monoパネル(3度傾斜パネル)を固定し、フラッターエコーを減らしたただけの全面反射の部屋。

 壁の下部約1/3にはGallery-monoパネルは無く、前後・左右の平行壁によるフラッターエコーが盛大に発生している。

 マイクロフォンを床から600mmの高さに設置してフラッターの多いエリアの残響時間(フラッター時間が正しい表記)を計ったものが-O-O-O-O-のグラフ。

 ミッドバスから中音域の広い範囲に渡る残響時間の盛り上がりはフラッターエコーによるもの。

●フラッター無しのエリアの残響特性 -O-O-O-O-
 マイクロフォンを床から1800mmの高さに設置してフラッターの少ないエリアの残響時間を計ったものが-O-O-O-O-のグラフ。

 フラッターエリアからの回り込みがあるので、壁が全面フラッターレスであれば残響時間は更に短くなります。



●StainVeiLパネル設置後の残響特性 -O-O-O-O-
 リスナーの後ろは大きな開口部で、アクリルガラスの大きな引き戸です。フロントとリアを合わせた傾きが3度(上部2/3)と0度(下部1/3)なので左右に比べフラッターエコーのレベルが高い。

 そこにStainVeiLパネルと音研の巨大なSPが入ってフラッターが急減。残響特性が最適値に近づいた。

 2〜4kHzのピークが目立つが、一般に残響時間の高音域が長い(フラッターでなければ)のは極端な数値でなければ無害。
 8kHz付近の残響時間が中音域に比べて短いとツイーターのバランスがシビアになる。上げ過ぎればツイーターの存在感が強くなり過ぎ、少し足りないと音楽の躍動感が不足する。

 録音の良いCDでツィーターのバランスを取るとその他のCDで高音域が物足りない。その他のCDでバランスを決めると録音の良いCDでは高音域が目立ってしまう。

 2dB程度(TVのリモコンの1ステップくらい)の狭い範囲のシビアなバランスが要求される。 --> 石田健一さん<その3>*サーロジック効果を聴く*


●機材フルセット後の残響特性 -O-O-O-O-
 この部屋のオーナーは、オーディオ再生のみならず、アマチュア録音もこなし、真空管アンプも自作してしまうバリバリのオーディオマニア。そのため機材の量が半端ではない、17.5畳が満タン。

 プロ機が多数あるので、鉄板の板金仕上げの機器の振動音が残響音に付加されている可能性あり。機器設置後のデータが残響時間を示すデータと言えるのか? 不明なところがありますが、十分及第点です。






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