オーディオシステムおよび部屋の概況

 オーディオシステムおよび部屋の概況 :一戸建ての3階、12畳程度の直方体の部屋で、**という渋谷の業者に防音工事をしてもらいました。内壁は石膏ボードで、天井には石膏ボードの直ぐ裏に鉄板が入っているようです。

 音響的にはかなりライブで、響きが強く、少し音量をあげるとうるさい感じがします。フラターエコーだと思います。手を叩いたり、「あーっ」と発生すると音がこもります。




 
こもりの原因で最も多いのが壁と天井の振動によるミッドバスの輻射音の増加です。壁を叩いてドワ〜ン、ドワ〜ンと振動の持続音が聞こえるようであれば、壁振動によるミッドバスの輻射音が残響音に重乗してブーミングを誘発していると推測できます。しかし音響工事のプロの設計施工であれば、遮音にも影響がでる壁強は確保されているにちがいない、と考えると、フラッターエコーが怪しいように思えます。

 スピーカーは長方形の床のみじかい辺を背面にして設置しており、背面にはカーテンをつり、スピーカーの後ろのコーナーにはASCのタワースリムがおいてありますが、これらにもかかわらず中高音(と、自分ではかんがえていますが)の響きが強すぎてうるさく、ゆったりした気分になれません。

 カーテンを壁から200〜300mm離して、大きな襞をつけて吊れば150Hzくらいまでの吸音効果が期待できますが、壁に沿って吊るしたカーテンでは吸音帯域の下限は400Hz止程度です。
http://www.kyoto-heian.com/curtain/kinou/kyuon.php

 写真にみられるカーテンの使い方では、ブーミーな音の原因になる125〜250Hzの音は吸音されずに残り、高音域の残響時間だけが短くなって、相対的に強くなるミッドバスの残響音や、中音域のフラッターエコーによる不快感が耳に付くようになります。「中高音の響きが強すぎて・・・」とのことですが、400〜500Hz付近のフラッターエコーのことを指しているのでしょう、中音域のフラッターが強く、高音域の残響時間が短いと、総ての楽器の音がうるさく、煩わしく、癇に障る音に感じられます。

 音の甘さ、硬さは、直接音と間接音の帯域エネルギーを合算して聴覚が感じるものです。音楽再生で好まれる(生演奏でも同じです)クリアでありながら耳障りの優しい音は、高音域の残響エネルギーが充足しているときに得られるものです。木造の部屋にカーテンは「百害あって一利なし」です。

 アンプ系のイコライザーで高音域を強調すると、オーディオ的な分離は改善されますが、楽器の音に神経質な堅さが伴うようになります。一方ルームアコースティックで高音域の残響時間を長くすると、楽器の音の倍音が豊かになって、音色は華やかに、そして佇まいも明確になりますが、オーディオ的な音質はソフトに甘く感じられるようになりキツさがとれます。

 以上でお分かりのように、カーテンを外せば高音域の残響時間が長くなり状況は大きく改善されるものと思われます、・・がフラッターエコーが増えたのでは、フラッターによる音のキツさが顕著に現れて、トータルではマイナスに陥る可能性もあります。フラッターの発生を抑えつつカーテンを外す方法をひねり出す必要があります。

 定位感はそれなりにありますが、(1)音をすっきりさせ、少々音量をあげてもうるさくなく、(2)しかも、定位感などにおいて高密度で分析的な音を求めています。

 LVパネルを斜めに配置すれば、フラッターが減少し、ゴチャゴチャした余韻が取れて楽器の音がすっきりします。フラッターエコーが減れば音量を上げたときのうるささも減少します。
 高音域を拡散反射するLVパネルの効果で楽器の倍音が増えれば、音の密度が上がって楽器の佇まいが見えるようになり、音の解像度も上がります。

 自分ではあまり知識もなく、また週の半分は単身赴任して遠方におり、あまり時間がかけられません。プロの方に是非お出で頂き、御指南いただければ幸いです。予算も十分とりたいと考えています。

機器 : アンプ:アキュフェーズC2800+マッキンMC300,CDプレーヤ:エソテリックX−1,スピーカー:エグルストンワークス アンドラ


ルームチューン実施



 やはり音響工事のプロ仕事はその効果を十分に発揮してくれました、ミッドバスの輻射音が少なかったため、久し振りに最小構成のパネルでルームチューンが完成しました。センターが1300mm、SP背後が1800mm、左右が900mmです。

 フロントのコーナーにタワースリムを配置し、パネルで覆って高音域の吸音性を殺して低音域の吸音効果のみ利用しました。パネルの数を減らすことに貢献してくれました。

 天井が吸音テックスで上方からの反射音が不足しています。オーナー自作のマイ・スカイラインも取り付け位置を変更して使用しました。

 本日は遠方よりわざわざおいで下さり、有り難う御座いました。ホームページで皆様異口同音に仰るように、小生にとっても、村田様のルームチューンクリニックは、大変有意義でした。実際にルームチューンをすることにより、拙宅での必要機材が決定され、またそれらが美音を醸しだす確信が得られたのもさることながら、何より、ルームチューンとはどういうもので、オーディオの音作りのなかで、どういう位置を占め、どのくらいの支配力をもつのかがわずかながら理解できたことが、大きかったと思います。  小生は**というショップに出入りしていますが、分析的でステレオイメージを重視する店です。オーディオショップの主人は皆様知識も豊富でこだわりがありますが、多変数による多項式で成り立つオーディオの音のうち、部屋の項を定数項としている弱みがあります。これは自分の店で試聴をくりかえすことから当然といえますが、いうまでもなく部屋は変数であり、しかもその影響力はアンプの項に並ぶほど大きく、部屋の問題をかたづけてからでないと、アンプやCDプレーヤのグレードアップは無意味な場合さえあることが理解できました。

-- 中略 --

あのあと、自作のマイ・スカイラインを左右スピーカの真上からやや後ろ、及びスピーカーの中央の天井に張ったところ、特にスピーカーの中央のものが、低音のしまりに対して抜群に効きました。また、試聴位置の天井の頭よりやや後ろにマイ・スカイラインをとりあえず1枚張ったところ、音場のひろがりが得られ、音かまろやかに響くようになりました。


-- 後略 --



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